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Amazonドラマ「高い城の男」の枢軸旗地下鉄ジャック広告が物議を醸す

架空歴史SFの傑作「高い城の男(The Man in the High Castle)」が、アマゾン社によりドラマ化され配信開始されています。アマゾンがニューヨークの地下鉄で実施しているそのドラマの公共交通広告が、リアル […]

架空歴史SFの傑作「高い城の男(The Man in the High Castle)」が、アマゾン社によりドラマ化され配信開始されています。アマゾンがニューヨークの地下鉄で実施しているそのドラマの公共交通広告が、リアルすぎて炎上しているそうです。

1962年に出版されたフィリップ・K・ディックの原作小説は、第二次世界大戦に枢軸陣営が勝利した(!)世界を描いています。そこでのアメリカは、大西洋側をナチスドイツに、太平洋側を大日本帝国に占領され、その秩序の下で我々の知る史実を裏返したような暮らしをしています。

日本や日本人に対する描写も興味深いSFで、小説もおすすめです。

ドラマのほうも原作に沿って制作されているようで、シーズン1の3話から10話までが、先日11月20日にAmazonビデオ上で公開されています。残念ながら日本からの視聴はブロックされていますが。

[更新 2022-08] 英語で最初に出た時は日本国内からは観られない状態でしたが、今は日本語版も作られて、Amazon で視聴できるようになっています。

本編はブロックされていますが、YouTubeでの予告編等は日本からでも見ることができます。「ドイツと日本が勝っていたらこうなっていたかも」というお話が映像化されて見られるインパクトはすごいです。

[更新 2022-08] YouTube での当初の予告編は非公開となっていました( URL https://www.youtube.com/watch?v=e9LKv_r5mxU )。今観られるものにリンクを差し替えます。

アマゾン社は、その異様な世界観をニューヨークの地下鉄に持ち込んで、車両ジャックのプロモーションを開始していました。地下鉄の車内を、ドイツ支配下のアメリカの旗や、日本支配下のアメリカの旗で占拠しています。

場所は、グランド・セントラル駅とタイムズスクエア駅を結ぶ、42番ストリート・シャトル。ニューヨーク地下鉄で最も短い900メートルの路線です。

ドラマの中では頻繁に出てきてギョッとする鉤十字マークはさすがに使われていませんが、ドイツの鉄十字の鷲や日本の旭日旗にアメリカ合衆国の旗をミックスしたような意匠が、座席を覆っています。

この広告キャンペーンを請け負ったニューヨーク市都市交通局(MTA)は、政府系機関なので「人々がどう感じるか、だけで広告を許可したり拒否したりはできない。受付のルールには違反していない」と回答しつつも、反応を受けてアマゾンが広告を取り下げるようだ、と語ったそうですが、続報では、アマゾン側から広告を止めるという動きは出ていない、とも伝えられています

ニューヨーク市長も「無責任で不快だ」とコメントし、広告の取り下げを求めたそうです。

広告自体はテレビニュースなど多数のメディアに取り上げられて拡散したそうで、既にアマゾンとしては大きなプロモーションになっているようですが。

原作小説も、見てませんが今回のドラマも、別にナチスドイツや大日本帝国を礼賛してるようなものではないはずで、むしろifの世界の圧政や息苦しさを広告で表現しようとしたものだとは思いますが、いろいろな人が見ることを思うと、公共交通機関でこういう世界観を再現することにはリスクがあるのですね。

via Variety

[追記 2016-12-13] 日本のAmazonでも吹き替え版が公開されました。

「Amazonドラマ「高い城の男」の枢軸旗地下鉄ジャック広告が物議を醸す」への8件の返信

もう『ユービック』も『パーマー・エルドリッチ〜』も『火星のタイムスリップ』も全部映像化しちゃえばいいのに!!o(`ω´ )o

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