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Google はコンテンツを作らない

Google Base 、相変わらず使えない。今日はログイン画面までは行けるようになったが、パスワードを入れてもどのページにも遷移しないため、実際に試すことはできていない。

というわけで、昨日の予想(Google Base は広く説明されているようなクラシファイド広告サービスではない)の続きで書き進める。Google Base は汎用データベースアプリケーションをウェブアプリケーションとしてネット公開したものだとみている。

Google はコンテンツを作らない。ただ集めるのみ。

Google 検索の結果で Google 社自身についてのページが出てくることはほとんど無い。
Google ニュースには Google 自身が書いたニュースは一つも無い。
Google グループや Bloggers のデータはユーザが書いたものだし、
Google ディレクトリは Open Directory Project のデータそのままだ。(なんで Googlepedia をやらないんだろうな)
Froogle の商品データはすべて売主がアップロードしたもの。

ユーザにコンテンツを作らせること、が Google の商売の基本にある。人力でコンテンツを整備しないと成立しないというなら、そんなサービスは参入しなくていい、と思っているだろう。例のフレーズ「邪悪なことはしない(Don’t be evil)」じゃなくて「コンテンツを作らない」こそが社是なんじゃないかと思うぐらいだ。

こんな風に考えることはできないだろうか? ワールドワイドウェブ(WWW)というスペースは、Google が作ったわけでも運営しているわけでもない。だが、結果として、ウェブは、Google で検索できて Google が広告を載せるための巨大なホスティングサービスと化している。

これが他社であれば、無料ウェブページサービス、無料ブログサービス、無料ブックマークサービス、無料ソーシャルネットワークサービスなどを自社ポータルで運営し、ユーザに登録させてコンテンツを作らせ、そこに広告を置いて商売しているところを、Google は、場を運営するコストをかけること無しに、広告だけばらまいて設置することに成功した。広告を置くためのページは、数多ある他社の無料サービスが維持してくれる。

Google Base の場合も、もちろんコンテンツを作るのはユーザだ。インターネット上の共有データベースを提供し、その中のコンテンツはユーザに提供させる。データベースの中身が有用ならそれはいい。しかし、たとえ集まったデータが玉石混交でも、さらに石石混交であったとしても、制御できる(==広告を置ける)ページが増えて訪問者が増えればいいのだ。

無料ウェブスペース(Geocities とか)でも、ブログの登場でも、ネット上のページは爆発的に増加してきただろう。でもまだ足りない。紙のファイルや Excel 、頭の中にしまわれている表を、インターネット上に引きずりだすんだ。

検索しなければいけないページが増えれば増えるほど、Google に取って代わることは難しくなる。インデックスされたページ数での競争はひとまず収まったが、膨大なデータをクロールし、解析し、反応よく検索結果を返すために必要なリソースは増えるばかり。検索技術に特化して検索技術で勝負し続けることが、マイクロソフトやヤフーと戦う、あるいは新規の参入者を諦念させるための鍵なのだ。それが続けられるようにするために、あれほどの人材を収集し続けているのだ。

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Google Base はクラシファイドではない。Wiki のデータベース版だ

Google Base のサービス内容を予想するネタで Blogsphere は大盛況のようだ。

ShinBlogや、SW’s memoPOLAR BEAR BLOGPosting, Subscribing, Tagging AND Searchなどで、Google のクラシファイド広告(個人広告)への参入という見方がされている。

しかし、これらの Google Base vs Craigslist という構図は、Google Base の流出スクリーンショットにたまたま Craigslist 的なテーブル設計画面があったことからくる誤解ではないか。

たしかに、「こんなこともできますよ」の一例としてクラシファイドっぽい入力画面が出ているが、フォームの右側にフィールドを削除するための [X] ボタンがついていることに注目してほしい。いろんなウェブデータベースを、フィールドを増減させて作るサイボウズ・デヂエの管理画面と非常に似ている。

クラシファイドっぽい Google Base のスクリーンショットは、Google Base でいろいろできることの一例にすぎないのではないだろうか。

Craig Newmark の切り開いた classified == 個人広告サービスは、Web1.0 バリバリのサービスだ。デザインの無骨さや気合の入らなさからすると、Web1.0 未満といってもいい。それが米国都市部の個人ネットユーザに大きな影響を与えているのは、ひとえにそこにユーザがいるからでしかない。

ユーザが集まらなければ意味がないクラシファイドサービスで、フィールドをカスタマイズされたオーナーの異なるページが乱立するような作りはありえない。クラシファイドサービスは、一箇所で人を大量に集められてはじめて機能するものだからだ。

それを踏まえると、Google Base は、やはり、最初に見たときの感想のように、サイボウズのデヂエIntuit の QuickBase といった、社内情報共有向けのウェブデータベースを、イントラネット向けに解放したサービスではないかと思う。

QuickBase なんかは、条件によっては(オープンソース開発チーム向け、とか。)無料でインターネット上にテーブルを作るようなことも一時はさせていた。Google Base のような規模で、広告と結びつけるパスがなければビジネスモデルが成立しないのか、今みたら有料の ASP しか残っていないようだが。

僕は、Google Base は、価格.comぐるなびをみんなで作れるサービスだと思っている。そこで作られたサービスは、業種に特化して設計された上記のような専門サイトに比べるとできることは限られている。しかし、検索が可能でレスポンスも早く(Google の技術)、またターゲットを絞った広告を載せることができる(AdWords/AdSense)。

Google Base は、テーブルという道具を軸に自社の影響が及ぶコンテンツページを量産させるための新しい仕組みではないか、と思う。

というようなことを思う根拠は以下。

  • Google が今さら Craigslist の後追いをするとは思いにくい。
  • Craigslist のカバーする領域だけでは Google が必要とするほど儲からない
  • 僕自身が構想したことがある

最後の理由、自分でも同種のサービスを考えたことがあるのも、Google Base == DB 版 Wiki 説に肩入れする理由だ。ま、実現してない企画に価値はないが。

Google Base の登場は、実際にそのサービスが僕の予想通りであればだが、嬉しい反面、悔しくも思う。逆に、Google Base がクラシファイドや商店主からの商品アップロードスペースだけでしかなかったら、物足りないというところだ。仮にも尊敬する Google なのだから。

# Movable Type が不調でトラックバック機能がエラーになるため、言及した各ブログへのトラックバックは省略させていただく。いずれ復調したら打つ予定。

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Google Base

via techcrunch

googlebaselogo.jpg

Google Base という Google の新サービスが登場間近との噂ドメイン自体はアクセスできるが、今のところエラーが返ってくるだけ。

なので、いったいこれらのスクリーンショットはどこから入手したのか、と思うが、これらのスクリーンショットが本物だとすれば、この Google Base という新サービスはウェブ上でデータを集積できるウェブ・データベースのように思える。

この画面なんかは、データベースの設計画面みたいだが、サイボウズのウェブデータベースであるデヂエの管理画面とそっくりだ。

もちろん、Google がデヂエのまねをしてる、という話ではない。アイデア自体は昔からあるし、たとえば英語圏では QuickBase なんてのもある。日本語で商用製品となるとまずデヂエがくるとは思うが。

デヂエを知らない方のために簡単に説明すると、ブラウザで共有できるエクセルシートみたいなものだ。Google がインターネット上でやるからには無料+広告なんだろうし、成功すれば日本語対応も早いだろうから、デヂエにとっては脅威になるかもしれない。今までなかなか商品特性を説明できてなかったのもあるだろうから、逆に「社内でデータを管理できる Google Base みたいな製品です」となるかもしれないが。

追記: 本社社長の青野(通称: 青ちゃん ほんとか?)が、今ちょうどデヂエの話を書いてた

Google Base、アキヒトさんのところでとっくに紹介されてた
Googleがデータベースのホスティングサービスを開始?
Google Base 続報

そればかりか CNET Japan に翻訳記事まで
グーグル、「Google Base」の実験開始–イーベイと衝突の可能性も