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アメリカ ネットの事件

HttpsとTorで守れるデータ、守れないデータ – 電子フロンティア財団(EFF)の作成した図の読み方

電子フロンティア財団が作った、HTTPSとTorを使った時に通信の何が守られるのかを表すダイナミック・チャートがよくできています。

図の登場人物に日本語の訳をつけてみましたが、リンク先で実際に左上の「HTTPS」と「Tor」をオン・オフしてみて、httpsやTorでwebサービスにアクセスすることで、インターネットの途中の通信路にアクセスできる第三者に対して、あるいはアクセス先のwebサービスのサーバにアクセスできる人に対して、何を隠すことができるのか、を見ることができます。

eff-privacy-with-tor-and-https-diagram-with-japanese

ユーザー名/パスワード(USER/PW)と通信内容(DATA)については、図の中の項目は分かれていますが、実際のところ、どちらか一方が読まれてしまう場合にはもう一方も読まれてしまうことがわかります。HTTPSを使うことにより、途中の経路でそれらが盗聴される心配はなくなりますが、末端のwebサービス側では、それらを監視することは可能なので、もしwebサービスの運営者・管理者が弁護士や警察とデータを共有(datasharing)しているのであれば、そこではデータは隠せないということになります。

ちょうど今、アメリカ政府/NSA(国家安全保障局)がGoogleやFacebookなどの主要サービス事業者のサーバーに自由にアクセスできるPRISMという秘密プロジェクトを実施している、という内部告発が英ガーディアン紙などからリークされGoogleFacebookのトップは大急ぎでそれを否定する声明を出しています。

これが事実なら(アメリカ政府は否定する声明を出しています。)、オバマ大統領の弾劾にもつながるのでは、というぐらい大きなニュースですが、この告発では、右下の黒いSite.comに対して、アメリカ政府が自由にアクセスできるようになっていた、と主張しているわけですね。この場合は、Tor+HTTPSの両方をオンにしていても、エンドユーザーの接続元以外はすべて知られてしまっているということになります。

通信路や通信元を隠すことができるHTTPSやTorという技術に対して、何ができて何ができないのかを知るのに、とても良い図ではないかと思いました。

via HackerNews

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英語学習

「普通の」アメリカ人のアジア系への偏見を描いた What kind of Asian are you?

アジア系アメリカ人の悩み、を風刺を入れて面白く表現している動画です。23日に公開されたばかりですがもうすぐ300万回再生に到達しそうな勢い。

ジョギングの途中で会った(東アジア系の外見の)女性に話しかけた(白人の)男性。前半は白人男性からの質問で、おもしろいほど会話が噛み合いません。

男: やあ
女: ども
男: いい天気だね
女: ようやくね
男: どこから来たの? 英語がとても上手だね
女: (ちょと間が空く) サンディエゴ… そこでは英語が話されてるのよ(皮肉)
男: (軽くかぶりを振って) あ、いや… (質問の英語がわからなかったのかと思いゆっくりした英語で、身振りも入れて) あなたは、どこから、来たのですか?
女: (ちょっと考えて) ああ、産まれたのはオレンジカウンティ(ロサンゼルスの隣)だけど、実際にそこに住んでたことはないわ
男: その前は?
女: 産まれる前(にどこから来たかですって)?
男: そう。君たち(people)がどこから来たのかってこと
女: (ちょっと固まった後) えーと、曾祖母はソウルから来たわよ。
男: (得心のいった顔で) 韓国人。わかってたよ。君は日本人か韓国人に違いないと。それもどちらかというと韓国人だろうと思ってた
女: (本当に驚いている感じではなく) すごいわね
男: (両手を合わせてお辞儀) ??? [聞き取れず。アジアのどこかの挨拶?] うちのアパートにはいいテリヤキ・バーベキューの店があるんだよ。それに、僕はキムチがとても好きなんだ。
女: いいわね

こっから攻守交替です。

女: で、あなたは? どこから来たの?
男: サンフランシスコ
女: (相手の答えがさもおかしいかのように) そうじゃなくて、どこの出身?
男: アメリカ人だよ
女: あらそう。ネイティブ・アメリカンなの?
男: (強い否定)いや、「普通の」アメリカ人さ
女: (まじまじと見つめる)
男: …あ、ああ、祖父母はイギリスから来たよ [訳注: この時点で曾祖母の代からアメリカに来ている彼女の家系のほうがアメリカには長いのかも]
女: (驚いたふり) へえ、だとしたら
女: (強いロンドン下町訛りで)やあ、旦那さま! いったいどうしたことさね? (アメリカ映画に出てくるわざとらしいイギリス人風)
女: Top of the Morning! (アイルランド人の朝の挨拶。しかし実際に多用されているわけではなくアメリカ人が想像するステレオタイプなアイルランド人の挨拶)
女: お茶はどうです?お茶は? (イギリス人=紅茶)
女: Double, double, toil and trouble (シェイクスピア – マクベスの一節)
女: (アイリッシュダンスの真似)
女: Mind the gap (=ホームと電車の間のスキマにご注意ください。ロンドン地下鉄のホームで案内される)
女: 切り裂きジャックに気をつけろ!
女: Bloody hell!! (=なんてこったい。イギリス英語)
女: ピップ・ピップ・チェリオー (どちらも別れの挨拶。イギリス英語)
(ここまでテンション高い。ここで素に戻って)
女: あなたのところの人たち(people)のフィッシュ・アンド・チップスは素晴らしいと思うわ
男: …気持ち悪いやつ
女: あら、本当に? 韓国人だからでしょうね (当然ながら皮肉。笑顔で立ち去る)

アジア系アメリカ人は実際にこういう経験をすることが多いようですね。「あるある。自分もこんな経験が」みたいなコメントが大量に。また、アフリカ系やインド系、ラテンアメリカ系など他の(アメリカ合衆国での)マイノリティからもたくさんコメントがついたり、あとはお決まりの人種差別コメントも入り込み、コメント欄が非常に盛り上がっています。

女性のほうは、最初に男性がやらかした失礼をそのままなぞって相手に返してるだけなんですけど、劇中では男性は最後までそのことに気付かず、相手のことを「変なやつ」で済ましてしまっています。

僕自身も、昔サンフランシスコに転職した直後に、どこかのイベントで会ったアジア系の人にこれをやらかした経験があります。アメリカ人に「あなたはどこの国から来たんですか?」と訊いてしまった。サンフランシスコなんて3人に1人はアジア系住民なのに。

日本でも、たとえば、白人が何故かいきなり英語で話しかけられたり、根拠なくアメリカ人と思いこまれたり、というのがたびたびあるようですね。アメリカ人の英語ネイティブな白人は確かに多いのでしょうけど、それに当てはまらない人だってたくさん居るわけで。

動画は面白さで評判を呼んでいるようです。「普通の」アメリカ人はもちろん、誰でもが自分の内にある偏見について考え直す機会を持てるいい作品ではないでしょうか。

via What kind of Asian are you? : videos

[更新 2014-05-16] こちらの新作も面白い

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データ可視化

フェイスブックがスーパーボウルに向けてNFLファンの分布を解析

Facebookのデータ科学チームが、来週のスーパーボウルを前に、Facebook上でのアメリカンフットボールのプロリーグNFLのファン活動のデータを解析した結果を発表しています。

アメリカ合衆国のフェイスブックユーザーのうち実に3500万人(全人口の1/10以上)が、32個のNFLチームのFacebookページのどれかにイイネ!をしているということで、フットボールはアメリカ人にとっての国民的スポーツといっていいでしょう。

チームが勝っている時やプレーオフに進出している時は、通常よりもイイネ!の増え方が速い、ということで、それを除外した上でどの州・郡の人がどのチームを一番イイネ!しているか、という地図がこちら。

nfl-fans-on-facebook

アメリカのプロスポーツはどれもそうですが、それぞれのチームの根拠地(フランチャイズ)周辺では、そのチームのファンになって応援する人が多い、というのが現れていますね。

とは言っても、読売とかヤンキースみたいに全国的な人気の球団というのもあって、チームが無い州とかでは、ハワイのPIT(ピッツバーグ)とか、アラスカのGB(グリーンベイ)とか、あらゆる過疎地に現れるDAL(ダラス)などが人気を得ているようです。

Facebookはまた、プレーオフの進展にあわせて、勝ち残ったチームだけを残してプロットしたらどうなるか、という地図を見せてくれています。人気面からは、サンフランシスコ対ニューイングランド(ボルチモアに敗退)のスーパーボウルを期待してた地域が多かったと読むこともできるかと。

また、Facebookらしいソーシャルグラフ(友人関係)のデータを使った面白い分析も。あるチームのファンは、(同じチームのファン、というケースを除いて)どの他チームのファンの友達が多いか、というチャートです。

nfl-common-fan-friends

SF-OAK, NYJ-NYG, CHI-GBなど、フランチャイズが近かったりライバル関係があったりというチームのファンが、友人には多い、というのは自然ですね。また、STL, KCなどは、「どのチームのファンの友達としても少数(=上位5位に入ってこない)」という、孤立傾向があるのだとか。

大量の嗜好データを持つフェイスブックならではの分析記事ですね。日本のプロ野球でも計算してくれると、きっと面白い特徴が浮かび上がってくるのではないかと思うのですが。

via NFL fans on Facebook, based on likes