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Phantom Islands – 実は存在しない、とわかって地図から消えた島をまとめた世界地図

Phantom Islandsは、一度は地図に載っていたのに現在の地図からは消えてしまった、存在しなかった島を集めたインタラクティブ地図です。

「嘘の多かった探検家の手記から信じられ、一時は日付変更線がその島にあわせて変更されたりもしていた島」、「アメリカとメキシコの国境策定時に、有利に領海を得ようとメキシコが必死で確認しようとした島」など、それぞれの存在しない島の成立事情は興味深いです。

プトレマイオスの世界地図にあったインド沖のタプロバナ島があるなら、徐福伝説の蓬莱島も有ってもいいのかなと思いますが、あまりに古い時代の情報だと地図上の位置も元々あやふやだし、こういった地図の形に一緒にまとめるのは難しいかもしれないですね。

サイトは音が鳴るようになっていて、選んだ島の様子にあわせたBGMや、鳥や虫の鳴き声や、波や風の音が鳴ります。といっても存在しない島なので本当はそんな音は鳴ってないのですが。

via Maps Mania

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データ可視化

Chronas – Wikipediaの歴史データをインタラクティブな世界地図上にまとめるプロジェクト

Chronas.org では、西暦1年から2000年までの各国の変遷を、グーグル地図風のインタフェースで見ることができます。

[更新 2022-08-12] 最初に選べる言語に「日本語」も増えていました。学校の世界史で習った日本語表記で出てくると、ますますわかりやすいですね。

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ウィンドウ下側にある年表上のバーを移動することで、任意の年における国や宗教の勢力図が見られます。

Chronas_Basic_Features

地図上の勢力や、人物、紛争などのアイコンをクリックすると、それに関するWikipediaの内容が表示されます。

他にも、勢力範囲の大きさと人口の変化を見せるチャートなど、

chronas-rulers

データを様々な切り口で表したチャートも多数あります。

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おおまかな機能解説のビデオがこちら

10月に公開されたこのベータ版は、216名のメンバー(7名のモデレーター候補含む)によって作成されたもので、今後は一般ユーザーがデータを更新して貢献できるようにしていくことも検討されているそうです。

via Maps Mania

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救急車の実際の到着時間を地図上で可視化したロサンゼルスのオンライン地図

アメリカの新聞ロサンゼルスタイムスがオンライン版で公開した地図は、救急医療の反応の速さをロサンゼルスの市街地図に重ねて可視化した興味深いものです。

ロサンゼルス市全域が六角形のヘックスで区切られ、救急車の到着までに掛かった時間に応じて色分けして塗られています。緑は6分以下。赤は6分以上で、掛かった時間が長いほど濃い赤色で塗られます。

6分というのは、ロサンゼルス市消防局の目標値だそうです。アメリカには何分以内という共通の目標値は無いということですが、ニューヨーク市の10分という目標よりも短いということ。記事では、特に心停止状態が4分続くと脳にダメージが与えられる可能性があることから、この到着時間が短いことがとても重要だと言っています。

データは、過去5年間の100万回以上の出動を解析したもので、特定のヘックスにマウスを置くと、911(日本でいう119+110)通報を受けてから救急車が出発するまでの平均時間、救急車が現場に着くまでの平均時間、がわかります。

到着時間が遅い赤色のヘックスが多いのは、山間部や他の市との境界に多いようですね。記事では、山肌や丘の上の豪華な家に住むお金持ちのところには救急車が来るのが遅く、街中の密集地に住む庶民は良い救急医療を受けられる状態になっている、というのを、多少皮肉交じりに伝えています。

このような可視化は、健康に不安のある人がどこに住むかを考えるのにも良さそうですが、将来の消防署の配置(地図のlegendのLAFD fire stationにチェックを入れると黒い■で表示されます)を計画する際にとても役立つでしょうね。赤いところを狭くするように配置したり、近隣の市町村との間で入り組んでいるところでは、お互い越境して近いところをカバーする、みたいな運用もできるのではないでしょうか。

このインタラクティブな可視化は、消防局が作って発表したわけではなく、ロサンゼルスタイムズの地方セクションが自前でデータを集め、作っているそうです。新聞社がどこにどんな問題がありそうかを自ら考えて、それを浮き彫りにするためにテクノロジーを活用していると言えるでしょう。

また、元となるデータが入手できるようになっている、というのも大きいでしょう。すべての出動の記録が残っていて、それを閲覧できるから、外部の第三者がこのような地図を作れるので、一個人でもやる気があれば同様の調査ができるということになります。

政府自身にデータを解析したり整理したりする余力がなくてもいいから、せめて生データが使いやすい形で(とはいっても、アメリカでもやっているでしょうが個人情報は隠さないとですね)公開されていれば、こういう可視化が出てきていろんなことが検証できる、という良い実例かなと感じました。

via Medical response time lags in many pricey L.A. neighborhoods – latimes.com via