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街中の街灯、ポスト、電柱、バス停などに振られた番号を使って遊ぶ、イギリス・ブリストルの Hello Lamp Post プロジェクト

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イギリス西部の大都市ブリストルで、ケータイのショートメッセージと都市全体を組み合わせた実験プロジェクト Hello Lamp Post (こんにちは電灯)が7月15日から始まりました。

街のいたるところには、電灯、ポスト、電柱、バス停、橋、配電盤、パーキングメーターなどの、市や公共サービスが管理する設備があります。これらの設備には、管理のためにユニークな番号が振ってあるということなのですが、一般市民がそんな番号のことを気にすることはまずないでしょう。

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このプロジェクトでは、街中のそれらの設備に対して、「何か一言」を残すことができます。実際には、プロジェクトの番号に対してSMSのメッセージを送ります。

ハロー 設備の名前 #設備のどこかにある管理番号

と送ることで、その設備との会話(!)が始まります。その郵便ポストが、「調子はどう?」とか「どこに住んでもいいと言われたら世界のどこに住みたい?」とか「あなたのことが見えないな。どこに立ってます?」とか「門限は何時意?」とか、ランダムな質問をSMSで返してきて、回答することで会話を続けられます。

SMSの向こうに人工無脳的なプログラムが居て、会話することでローカルな住人のメッセージを集めるわけですね。

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同じ郵便ポストに対して以前に答えた人の回答が紹介されたりと、場所や設備を通じた他の住民とのインタラクションもあります。

サイトのトップページでは、実際に参加した住民との質問・回答のセットがランダムに表示されています。「他の質問(Fine me a new question)」、「他の回答(give me another answer)」をクリックすると、別の質問・回答を読むことができます。

こちらは、これまでに「語りかけられた」設備のランキング。電灯、郵便ポスト、バス停が人気のようです。

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追加アプリ等不要で誰でも参加できる

アプリを作って配って、ということをすれば、もっと気の利いたゲームを展開することも可能なんだろうとは思いますが、この仕組みであればSMSが使える携帯電話を持っている人なら誰でも、すぐに参加することができますね。プロジェクトの存在と、SMSを送る電話番号については告知しないといけませんが。

街中に既にたくさんある、管理用の番号を使う、というのもアイデアで、昔流行したバーコードバトラー(食品のパッケージなどにたくさんついているバーコードを、ゲームのタネに流用した)を思い出しました。ゲームのセットアップにまったくコストが掛かりませんし、ブリストル市に限らず世界中の街で同様のゲームを開始することも簡単にできますね。

SMSの送受信については、APIでSMSへの応答がコントロールできるTwilioが利用されているようです。Twilioの利用料金は掛かりますが、市全域という広い場所で、市民全員を相手に動かすサービスとしては、たぶんかなり低予算でできているのではと。

単に人工無脳とチャットするだけでは面白さがいまひとつという気がするので、この仕組みの上にさらに面白くて中毒者が出るようなゲーム性を付加できれば、街起こし的な何かも作れるのではないかな、という気がします。

via Ushering in the age of the living city | DVICE

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ネットの事件

イギリスのRubyカンファレンスBritrubyが人種・性別差別問題で開催中止に

英国ルビーカンファレンス(BritRuby)が、登壇者の人種・性別問題によって中止される、というニュースをVentureBeat経由で知りました。

BritRubyは、来年の3月中旬の2日間、イギリスのマンチェスターで開催が予定されていたRuby on Railsコミュニティによるカンファレンスで、500名の参加者、20名のスピーカーを見込んでいたようですが、この登壇者がすべて「白人の男性」だったことが、今回の開催キャンセルの遠因のようです。

HackerNewsでの議論の中で指されている問題の開始点がこの一連のツイートだというのが本当であれば、「参加者が全員白人男性なのだけが残念だ」というつぶやきに対する応答の中で、主催者側が「実力で選んだらそうなっただけ」と答え、「マイノリティは実力が無くて選ばれなかったのか?」となったあたりから、炎上しているようです。

この炎上が起こったのは昨日11/18のようですが、(もう消えてしまった)「性差別&人種差別という言及のせいでスポンサーが手を引いた。お金がないので開催できない」というつぶやきが中の人っぽい人(女性のようですが)によってされていて、ゴタゴタを嫌ったスポンサーの意思が影響したのではという観測もあります。

[追記] 公式ツイッターにも類似のツイートがありました。こちらは削除もされていません。

https://twitter.com/BritRuby/status/270221926490857474

「BritRubyの中止の決断は、主に、ツイッターで起こった件を発端とした財政的な問題によるものです」

スポンサー絡みだ、と言う主張は同じですね。

イギリス国内でやってて、イギリス人の多くが白人なら(香港系、インド系、ジャマイカ系などいろいろなイギリス人がいるけれども)、本当にたまたまそうなった可能性もあるのではと思いますが、突っ込んでる側に言わせると、イギリスの他の同様のカンファレンスではもっと多様性はあるよ、ということ。前記のようなソーシャルメディアでの応対が一番まずかったのでしょうかね。

関係者による意見表明がgithubで起こったりしているのが技術コミュニティらしいところで、そこでは、「ただ多様性を得るためだけに他の人種や女性スピーカーを招待すべきなのか? それはそうやって招待された人への侮辱ではないか?」という意見も出ています。

# そうやって、バランスを取るために形ばかりに入れるマイノリティのことを”token minority”、そういう女性のことを”token female”などと言うみたいですね。知りませんでした。

Rubyのコミュニティなら、Rubyを作ったのは非白人なことは知ってるだろうに、と思いましたが、@BritRuby オフィシャルは

https://twitter.com/BritRuby/status/269853833503588352

「まつもとゆきひろ氏を数ヶ月前に招待したけど、まだ返事を貰っていない」

と言い、当のまつもと氏は

「昨日メールをもらったばかり」(= 数ヶ月前の招待というのは貰ってないか、気づいてない)とつぶやいていまするので、非白人の切り札として急遽招聘しようとしたのでしょうね。

[update] @BritRuby の言う「数ヶ月前の招待」はまつもと氏は受け取っていたそうです。再度の招待メールを受けたのが昨日18日で、メールの時刻から、人種差別の指摘の後にメールが送られていた、つまり、炎上したからという理由であらためて催促したわけではないのではということです。

東京で技術カンファレンスを開催して、登壇者が全部日本人で男性だった、なんてことは普通にありそうですが、東京なら外国人や女性のエンジニアだって多数いますし、先々同じようなことが日本でも起こるかもしれませんね。主催者は日本人男性ばかりにならないように、女性や外国人も含まれるように気をつけるべきなのか、そういう候補がいても実力が足りないと思った際には下駄を履かせるべきなのか、など悩みは尽きなさそうです。