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ネットの事件

インスタグラムでのリア充アピールが過ぎた共和党議員の若きホープが窮地に

イリノイ州選出の共和党議員、初の80年代生まれで若手のホープと目されていたアーロン・ショック(Aaron Schock)議員が、税金や選挙キャンペーンで集めたお金をプライベートジェットでの海外旅行、コンサートチケット、マッサージ等に使ったというのがニュースになっていますが、AP通信がジェットの飛行情報とつきあわせて調査したのが彼のインスタグラムの写真とその位置情報というのが非常に今風です。

CNN では、Insta-brags (インスタグラムとbrag = 自慢、を組み合わせた造語)が原因で叩かれた? として報じています。

議員だって旅行を楽しんで構わないとは思うので、楽しげな旅行の写真を載せてもいいとは思うのですが、

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#montalcino big barrels

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これらが自腹じゃなかったとしたらまずいでしょうね。

この議員、先月には、自分の事務所をドラマダウントン・アビー風に改装した、というニュースでお騒がせしていたようで、

上がその事務所、下がダウントン・アビーに出てきた家。

downton-abbey-interior

「なんか金遣いが荒くないかこの人?」みたいな疑惑からジャーナリスト達の更なる調査を呼び込んだのかもしれません。

議員が不自然なほどの旅行や出費をしていたという話、最近日本でもあり、謝罪会見は世界を巡るニュースになりましたが、あちらが空出張メインだったのに対して、ショック氏は本当にプライベートジェット機に乗ってあちこち飛び回っていたようです。

アメリカ大使館の公開している2012年米国選挙を特集したジャーナルの日本語版 [pdf] で、このアーロン・ショック議員が大々的に取り上げられていました。(10~14ページ) 若き政治の天才、という経歴ですね。

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via The Verge

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書評

書評: つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの

アメリカのソーシャルメディア研究者ダナ・ボイド ( @zephoria氏の著作 It’s Complicated の邦訳。

ソーシャルメディアを使う若者への多数のインタビューなどを元に、大人がソーシャルメディアや現在の若者社会について持っている誤解などを解いていっています。

以下、特にハッとさせられた部分。

p.48 治安の悪い地区からアイビーリーグの大学へ願書を出した黒人少年の話。マイスペースではギャングのような発言をしたりしている。大学の審査担当者は願書の中の志のある少年が嘘ではないかと疑うが、著者はそのように自分を見せないとうまく生きていけないコミュニティで苦悩する若者という可能性を提示する

日本でもツイッター等で本来公に見せるべきでないような行動を誇示したり写真を載せたりして炎上している若者が多いが、その中には若者の世界での中の友人関係をなんとか維持しようとするあまりに、本当は自分がそうしたいというわけでなくても社会から見たら問題となるような行動をとってしまうことがあるのでは、という観点。

p.132 「インターネット中毒」という言葉を初めて使った精神科医イヴァン・ゴールドバーグ氏は本気でそれを病気としての中毒と考えていたわけではなかった。何かに熱中してやりすぎる人は何にでもいる。 p.157 ネット中毒という言葉は、子供をネットから遠ざけたい大人の便利な道具となっていないか。

「中毒」ということにしてしまえば、そこで相手を「自分とは別物」と切断してしまえます。自分の趣味は「熱心」で、理解できない趣味は「中毒」と言っているだけなんじゃないか?

p.178 子供の性犯罪被害。実態としては加害者の多くがネットと無関係な知人や家族なのに、メディアはネットの向こうの狡猾な性犯罪者の危険を煽る

p.196 ソーシャルメディアで自分の苦しみを訴えている子供は多いのに、大人がそれを見つけて必要な手助けをすることができていない。

「ソーシャルメディアで若者を騙そうとする悪い大人がいる!」から、「だから使わせるな!」に行くのではなく、「ソーシャルメディアで若者を導こうとする良い大人はもっといる」とでもなればいいのでしょうけど、それをどうやって実現すればいいのか。今のネットで「若者の声を代弁」みたいなことを言っている大人に、良い大人のフリをした悪い大人みたいなのがいるのも事実でしょうし。

p.257 Kinnectのようなシステムが、肌の色が濃いユーザーで認識率が落ちてしまうこと。新しい技術が新たな不平等を産むことがある。

日本の状況と違うところもあるが、おそらく共通する点も多いでしょう。子供が自由に外を歩き回らなくなっている、忙しすぎてオンラインぐらいでしか友達と社交をする暇がない、というアメリカの状況も、日本にやってくるのはすぐのようにも感じます。

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ネットのサービス

イベント情報サービスのUpcoming創業者がYahooからドメインを返還され、もう一回やりなおしを宣言

upcoming-org-teaser

かつて、Upcoming.orgというイベント告知サービスがありました。2003年に開設されたUpcomingは、Web2.0ブームの中で他のイベント情報サービスMeetup.com やEventbrite らと競争しつつ成長し、2005年にはYahoo!に買収されました。

Upcomings創業者のアンディ・バイオ氏は、2007年にはYahoo!を退社したのですが、その後もYahoo!の元でのUpcoming が成長することはなく、昨年2013年にサービスは閉鎖されています。、

ちなみに、2007年のスクリーンショットはこんな感じ。

(credit: Wikipedia)
(credit: Wikipedia)

結果的に、del.icio.us や MyBlogLog らと同様、米Yahoo! が買ったサービスをうまく生かせなかった事例の一つ、ということになってしまいました。

ただ、どうしてかはわからないのですが、今回の閉鎖に関してYahoo! はかなり気前の良いところを見せました。閉鎖した Upcoming.org ドメインを、元創業者のバイオ氏に最低限の値段(ドメイン代?)にて引き渡す提案をしたのです。

バイオ氏はこれを受け入れ、ドメインを取り戻しました。そして今回の Kickstarter による再始動プロジェクトが始まったというわけです。

今回のプロジェクトの大きな違いの一つは、ソーシャルの活用です。Upcoming の初期には、TwitterやFoursquare どころか、Flickrすらも存在しませんでした。新バージョンのUpcoming では、これらソーシャルなサービスとの連動を行い、外部サービスでできることはそちらに任せるように作るということです。

新サイトでは、オープンなAPIの提供やオープンな標準の採用、自分が投稿したデータは自分のものであり続ける、といった方針が維持される予定。そして今回もう一つの大きな約束が、

I won’t sell it again.

「もう二度とUpcomingを売ることはない」との宣言です。

Kickstarterでは$30000(330万円)の呼びかけに対して3倍以上の10万ドル(1100万円)が集まり、バイオ氏はフルタイムで新生Upcoming の開発ができることになりました。来年2015年の公開が予定されているそうです。

via Upcoming, The Social Events Database, Is Planning Its Rise From The Dead – ReadWrite