カテゴリー
ネットのサービス

AdBlock Radio – 機械学習+ユーザー投稿でラジオ番組の広告やトークを飛ばす

AdBlock Radio は、名前の通り、ラジオ広告をブロックするためのサービス/ツールです。音声データから、ラジオ番組のトーク、音楽、そして広告を判別させ、広告やトークの部分を除外することができます。

広告抜きpodcastラジオ再生ツール buffer

AdBlock Radio を使ったwebアプリ buffer の Docker 版を手元で動かしてみました。起動して localhost をブラウザで開くと、カタログから podcast ラジオ局を最大4局まで選ぶ画面になります。

4局について、「音楽を飛ばす」「トークを飛ばす」のチェックを入れて開始ボタンを押すと、サーバアプリケーションが podcast データをバッファしていきます。

バッファされたラジオ音源は上のように色分けされていきますが、青が音楽、緑がトーク、赤が広告と思われる箇所となります。トークや広告を聴かない設定にしておくと、緑や赤に再生が差し掛かったところで、次の青まで再生が飛ばされ、音楽が終わっても次の音楽がすぐに続きます。

とは言っても判定も完全ではなく、ところどころに灰色の「何かわからなかった」部分がまだらに入ったりもします。CM の一部が音楽として再生されたり、ラップなど言葉が多い音楽ではトーク(緑)や不明(灰)の細かい帯のようになったりしました。

最初、なんで4局選ばせるのかな、と思ったのですが、CMやトーク部分を飛ばしてずっと聴いていると、その局の再生が最新に追いついてしまうから、次の局、次の局へと切り替わっていく作りなんですね。4局分のデータを使って、音楽だけを途切れずに流し続ける仕組みということになります。

ラジオ局の情報はCommunity Radio Station Boardから取得したものをベースにしているようです。このサイトにはコミュニティFM局を中心に日本のラジオ局も多数載っていますが、Adblock Radio のリストには日本の局は含まれていないようです。

トークやCMの判定はスペイン語など英語以外のラジオ局でもそれなりに動いているのを確認したので、おそらく登録して試せばそこそこ動くのでしょうね。

影響

ラジオ局は広告料もテレビやネットに比べて安いそうですし、こんなadblockツールを使う人が増えたら広告料への影響が大きいでしょうね。

個人的には、ラジオにCMが入るのは昔からなので慣れているというか、ウェブ広告やYouTube の広告などに比べるとそれほど気になりません。

ウェブ広告はポップアップや全画面広告、動画広告などいろいろなヤンチャが過ぎたために、広告ブロックツールを使う人を増やしてしまった歴史がありますが、ラジオ局が無くなってしまうような影響が出るのであれば、この Adblock Radio のようなツールは少しやりすぎなのではないかなあ、とも思います。

まあ、それとは別に、放送内容を自動でカテゴライズして切り出すというアイデアは面白く、何か他にもいい応用があるかもしれません。

via Hacker News

カテゴリー
ツール

Netflix Hangouts – 仕事してるフリで映画鑑賞する、ビデオ会議風 Netflix ビューワ拡張

Netflix Hangoutsは、ビデオ会議をしているような画面を再現する Chromeブラウザ拡張です。

4つに分割されたブラウザ画面には話をしている人物の顔が動画で映っていて、傍から見ればビデオ会議中に見えます。

しかし、右下のカメラをよく見ると、Netflix の映画が再生されています。

Chromeブラウザにこの拡張をインストールしたら、Netflix で好きな映画を再生し、再生中に右上の拡張ボタンを押すだけで、この4分割状態となります。

Excel上でツイッターをするとか、Outlook 風画面で reddit 掲示板を読むとか、この手の偽装ツールはいろいろとありますね。

映画はさすがに無理ではと思っていたのですが、人物の顔のアップが多いようなジャンルの映画だと、意外に大丈夫なのかもしれません。

用意されている4つの動画の人物が、全員ヨーロッパ系なところが日本での利用に問題といえば問題でしょうね。職場で外国人たちとビデオ会議してたら、普通にネットフリックス観てるよりも目立つかもしれません。

via The Verge

カテゴリー
ネットの事件

フリーな Photoshop のライバルツール GIMP の名前の由来。そして何度も出てくる改名提案

有名オープンソースツールの名前と政治的正しさに関する揉め事です。

“gimp” は悪い言葉か?

“GIMP”という名前をより攻撃的でない(less offensive)名前に変えよう というチケットが GIMP のGitlab に投げられていました。

“gimp”という単語の意味自体を知らなかったので、まずこの人の説明する悪い意味と言うのを調べてみます。

“gimp” には「組み紐」という意味の他に「不自由な足取りの人」「役立たず」といった意味もあるそうです。なるほど。この意味で使われる時は他者を軽んじたり攻撃したりが多い、ということ。

今回は、改名を支持するコメントに10個以上の「いいね」がついているようですが、このチケットに別の掲示板からリンクが張られていて、その掲示板の読者が集団でやってきて「いいね」を押しているのではないか、という意見も出ています。普段GIMPの開発に関わったりユーザーだったりではない人々に操作されているのでは、ということですね。

チケットは短時間で「対処しない」とクローズされていますが、どうも、この改名提案は不定期にGIMPプロジェクトに寄せられ続けている、よくある提案なようです。

GIMP の名前の由来

GIMP の作者、スペンサー・キンボール氏(Spencer Kimball)とピーター・マティス氏(Peter Mattis)の1997年のインタビュー記事で、

当時、映画「パルプフィクション」が話題になってて、そこからある一つの単語が思い浮かんだんです

At the time, Pulp Fiction was the hot movie and a single word popped into my mind while we were tossing out name ideas.

と答えています。当該のシーンはこちら。全身黒の拘束具に包まれた男性を「gimp を連れてこい」と箱から出させています。(シーンの解説)

右の黒づくめの男性が “gimp”

スラング情報を集積している Urban Dictionary のサイトによると、こういった奴隷的な扱いを受ける男性のことも gimp と呼び、これが広く知られるようになったのは「パルプ・フィクション」のこのシーンによるものらしいです。

作者たち自身が「このシーンからつけた」と言っちゃってますので、「一つの単語にいろいろな意味が」とか「GNU Image Manipulation Program (画像操作プログラム)の頭文字だよ」という言い訳も今さらでしょう。

ちなみに、現在 CockroachDB の CockroachLabs社の CEOがキンボール氏、CTOがマティス氏CEO。「ゴキブリDB」ですから、ネーミングのセンスが常に逸脱気味な二人なのかもしれません。

GIMP の FAQ に「名前を変えてほしい」に対する公式回答が載っています。20年以上の歴史で、嫌になるほど問題提起されてきたんでしょうね。そして、それで改名されてないので、このままずっと GIMP は GIMP で行くのでしょう。

今後、GIMP(ツール)について人に説明する時に一緒に紹介できるような、できないような、名前の由来トリビアでした。