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欧米のラウンドアバウト率をオープンデータから求める

ラウンドアバウト、信号を使わずに縦横の交通を通すための仕組み、日本でも2014年から地方中心に導入されて何度もニュースになっているようです。

僕はイギリスの田舎にいた時に会社が借り上げた車で通勤していたため、交差点のほとんどがラウンドアバウトな街で運転していた経験があります。最初は慣れずに怖いと思ったこともありましたが、慣れてくると信号待ちが無くて楽だなという感想を持ってます。

データで仕事をしている、というエリンさん(Erin)がブログで公開したのは、そんなイギリスのラウンドアバントの全てを地図にプロットするという個人プロジェクト。

OpenStreetMap のデータを使ったということですが、このデータ、ラウンドアバウトについてのデータは存在するものの、普通の交差点のデータは含まれていないそうです。そこで、道路データと別の道路データが同じ地点で交わっているところを交差点として抽出する作業を行ってまず交差点の位置を得る必要があったと。

ヨーロッパ(対象がイギリス外にも広がってます)の交差点を抽出するのに、ラップトップPCで2週間掛かったということ。また、アメリカの交差点については、米国勢調査の別のデータTIGER/Line Shapefilesから同様の処理を行ったと。

ヨーロッパから9か国と米国のデータを処理して、ラウンドアバウトと交差点の比を求め、また地図上にラウンドアバウトをプロットした地図ができています。

僅差ですが、フランスが交差点81か所につきラウンドアバウト1か所で、これらの国の中でもっともラウンドアバウト比率が多い、ということです。スペインやイギリスも多い。また、アメリカは636対1と、ヨーロッパに比べてとてもラウンドアバウトが少ないことがわかります。

前記のように求めた交差点は、住宅街の中、家と家を結ぶ小路の分岐もすべて当てはまりそうなので、街と街をつなぐ街道で見ればもっとラウンドアバウトは多いのではないかな、とも自分の少ない運転経験からは思ったりもします。

エリンさんはまた、人口に対するラウンドアバウトの数、という計算も行っており、これで計算したラウンドアバウト率の高い街の上位25位のほとんどはヨーロッパなのですが、1位はアメリカ インディアナ州のカーメル市となったということです。このカーメル市、1990年代から信号交差点をどんどんラウンドアバウトに置き換え続け、今では125か所以上のラウンドアバウトを持つ米国一ラウンドアバウトの多い場所となっているそう。事故も激減してるそうですが、これができるのは交通量がそこまで多くないというのもあるんでしょうね。

ブログ記事を見ていると、欧州と米国で入手できるデータが異なったり、データを使える形に揃えることが大変だったよう。他の国々についてもわかればもっと興味深いでしょうが、なかなか国ごとに整備されたり公開されたりしているデータがまとまっていないとか、見つかりにくいとか、そんな感じなのかもしれません。

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Citylines – 世界各都市の公共鉄道網の変遷を見られる歴史地図

citylines.coは、世界の都市鉄道の路線がいつ開設されたか、をプロットした地図です。

1920年東京周辺の鉄道網
1920年東京周辺の鉄道網

△の再生ボタンを押すと、その都市の初めての鉄道ができてから現在までの時系列での鉄道網の変化を見せてくれます。東京は1960年代の都電の廃線が印象的でした。

1920年大阪周辺の鉄道網
1920年大阪周辺の鉄道網

二つの都市を並べて見るモード(Compare)もあります。これは1945年の東京とニューヨークを並べたもの。

日本では東京、大阪、名古屋と長崎の4都市のデータが入っています。名古屋は現在の地下鉄データのみ、長崎はデータが空でしたが。

データはオープンデータとして公開されています。自分で足りないデータを貢献することも可能。

日本のデータはまだまだ少ないので、調べて追加してあげるのもいいですね。鉄道好きの子供なら夏休みの自由研究とかにもできそうです。

via Maps Mania

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アメリカ銃乱射地図

Voxメディアが公開している、インタラクティブな銃乱射記録地図です。

2012年のサンディー・フック小学校乱射事件以降の銃乱射事件のデータが使われていて、新しい乱射事件が起こるたびに更新されているようです。今日の時点、2012年からのたった7年弱で、2178件の乱射事件が記録されているということ。

州別に人口比の発生頻度で塗ったもの。マウスカーソルを当てると件数が見られます。ほとんどの州で乱射事件が起こっていることがわかります。

横軸が人口100人あたりの銃の数。アメリカは一人に銃一つなんですね。縦軸は10万人あたりの銃による死亡者数。アメリカは1万人に一人以上。国別でみるとダントツに他の先進諸国を離して右上に君臨しています。日本は左下、ほぼゼロに近いところ。

他にも、乱射事件で亡くなった人数は全体からみるとわずかで、その他の殺人や自殺に銃が使われていること、2012
年から乱射事件のある日に色をつけたカレンダー、など、パッと見るだけで異常な状態がわかる資料がよく可視化され、まとめられています。

銃事件の元データは、銃暴力アーカイブ(Gun Violence Archive)というサイトのものを使っているようです。こちらのサイトでは、今年2019年に銃乱射で亡くなった被害者が既に253名とわかります。

via Maps Mania