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プライバシー

アクセス解析しているマーケッターを混乱させるためのChrome拡張 UTM-Mangler

Chromeブラウザ拡張 UTM-Mangler は、WebマーケターやSEO実施者らを困らせることを目標に開発されたツールです。でもどうやって?

utm-manager-icon

ウェブ上をサイトからサイト、ページからページへ移動していくと、アドレスバーのURLの後ろに”utm_”で始まる長いパラメーターがいくつもついていることがあるのに気づく人は多いでしょう。

UTMはUrchin Tracking Moduleの頭文字で、UrchinはGoogleが買収したアクセス解析のプログラムで、Google Analytics の元となっているものです。これらのUTMパラメーターは、Google Analyticsでアクセス情報を収集する際に、ユーザーがそのページにどこからどういう理由で飛んできたのかというのを記録するために、宣伝担当者などがつけるものです。

リアルな例で言うと、レストランに予約の電話をする時に「食べログで見ました」みたいなことを話すようにしてください、とサイトの方で書いてあったりしますが、これは紹介してるサービスが本当に役に立ってますよ、というのをお店側にアピールする意味がありますね。不動産屋に「ホームズで見ました」というのも同じ。

リアルでは律儀にちゃんと言う人ばかりではないですが、ブラウザのリンクをクリックしたりQRコードから飛んだりする場合には最初から埋め込まれていますから、マーケターがちゃんと設計していればかなり正確な情報が取れることでしょう。

たとえば下の画面、RSSリーダー経由で開いたページ、ブラウザのアドレスバーには、Feedburnerで提供されたRSS経由で来たことが埋め込まれています。

url_original

しかし、UTM-Manglerを入れているとあら不思議。utm_source にはとても開けないようなサイトの名前に変わり、utm_campaign には「拷問」というタグが。

url_changed_by_utm_mangler

アクセス解析でもしこのアクセスを含む結果に気づいたなら、サイトの運営担当者は、「おかしいな、こんなサイトに広告を出したり、紹介記事を書いてもらったりしたことはないはずだが…」と悩んでしまうことでしょう。

自分は知らないけど社内の他の誰かがやったのかな、と、流入元と書いてあるドメインに確認しに行くかもしれません。それこそが拡張作者の張った罠なのですが…

ブックマークレットの作者が述べていますが、このトリックコードが変更するアクセス元サイトのサイト名やドメインは、普通の人なら一生見たくないようなひどいものばかりです。

自分のネットサーフィンの情報を集めようとするマーケッターへの嫌がらせにはなりますが、この拡張を常用していると、多くのサイトから「いつも異常なサイトからのリンクで見に来る」訪問者だという風に見えてしまうかもしれません。

先に作られていたブックマークレット版はこちらで入手できます。常時自分のネットサーフィンに目くらましを掛けたいわけでなく、ここぞというサイト・ページでだけやりたい場合はこちらを使うのがいいでしょう。

関連

ブックマーク等するのでアドレスをキレイにしたい、というだけなら、UTMパラメータを削除したアドレスにリダイレクトさせるChrome拡張もあります。ソーシャルブックマーク(というかはてなブックマーク)で皆と違うURLでブックマークしてしまうのを避けたいというだけならこちらの方が実用的でしょう。ただこちらはリダイレクトなので最初のパラメータでのアクセスも記録され、マーケッターへの嫌がらせにはなりません。

(タイトル画像credit: Wikimedia/Keith Evans CC by-sa)

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ネットの事件

野良WiFiで政治家らのサボり状況を収集した海賊党若手リーダー

スウェーデン海賊党は、スウェーデン国内の議会の議席は今は失っていますが、欧州議会には議席を持っているぐらいの、実在する政党です。

そのスウェーデン海賊党の26歳の青年部会(youth wing)代表グスタフ・ナイプ氏が仕掛けたのが、セキュリティ・防衛関連のカンファレンスでのWiFiハニーポット。

誰でも繋げる無線LANスポットをカンファレンス会場で作成し、それを見つけて接続し、使ってしまった100名ほどの政治家・軍人・ジャーナリストなどのアクセスログを記録してしまったのです。

彼らがカンファレンス中にこのハニーポットWiFiに接続して送ったメッセージやメール、アクセスしたサイトのURL、などの中には、たとえば、軍事・セキュリティの第一人者が「休日」や「森歩き」といった検索をしていた履歴などがあったということ。給料を貰って「仕事としてカンファレンスに参加しているはずの人たちがそういうことをしていたとは恥ずかしいことだ」とはナイプ氏の評。

同意無しにログを集めたことに対するソーシャルメディアでの批判も出たようですが、ナイプ氏としては個々のユーザーのプライバシーを暴く目的ではなく、全体として統計処理をしてジャーナリスティックに扱うことに問題はないはずだ、というスタンス。むしろ罪があるとすれば、政府のサーバ等につなげられるような人が野良WiFiに接続してしまうことの方では、と辛辣です。

海賊党といえば、著作権や特許などの権利が強すぎる、もっと弱めるべき、といったネットユーザーの主張から始まった政治勢力で、「海賊」という名前も「海賊版」から来ているわけですが、著作権強化への反対だけでなく、個人のプライバシーを守ることや、インターネット上の監視や検閲を無くすことも主張していて、今回の活動はそのアピールの一つのように見えます。

インターネット上に流れるデータを政府や軍は監視可能であるべき、といった安全保障上の主張に対しても、海賊党は反対の立場を取っています。今回の行動は、必要があるから自由に監視して良いのだ、という主張をする人に対する皮肉な反撃となったようです。

まあやってることは際どすぎるようにも思うのですが、日頃「監視せよ」「監視したい」と主張している立場の人が今回のWiFiに繋げてネットアクセスをしていたら、肝を冷やしているかもしれません。

via Ars Technica

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ネットのサービス

Ello – 新たなFacebook対抗ソーシャルネットワーク

Ello という新しいソーシャルネットワークサービスが招待者のみのベータ運用で始動しているのだとか。

今日あたりは、ツイッターやフェイスブック上の英語圏で「誰か Ello に招待してくれないか?」というメッセージが多数飛んでいるようです。

ello-beta-top

招待されてないので中には入れていませんが、マニフェストによれば、Ello は「広告主に支配されていないソーシャルネットワーク」を目指すもののようです。

「投稿・友達・フォローのすべてが追跡・記録され、広告主がそのデータを買い取るようなソーシャルネットワークでは、あなた自身が売買される商品なのです」というのは、Facebookなどについて良く言われるところです。

Ello は利用者が商品にならないネットワークを目指すということ。現在は広告が載っているフェイスブックやツイッターなども、最初は広告が無かったではないか(=人気が出たら広告載せるんでしょ?)という想定質問に対しては、広告が嫌いで Ello を始めたし、ユーザーページには大きく「アカウント削除」ボタンを置いてあるので、Ello の方向性が望ましくない方へ変わったと思ったらいつでも退会してほしい、と言っています。

では広告やデータ販売無しにどうやって運営するつもりなのか、ですが、有料での追加機能を販売することを検討しているようです。ユーザーに合わせたさまざまな異なる小さな機能を売ることで、大多数のユーザーが無料で使い続けられるようにしたいとのこと。

過去のFacebook対抗ソーシャルネットワーク

「フェイスブックの良くないところを解消した新しいソーシャルネットワーク」はいくつも出てきましたが、一番ニュースになったのは Diaspora でしょうか。ニューヨークの学生4人がクラウドファンディングで立ち上げた Diaspora は、利用者のプライバシーを尊重するという触れ込みで多くのニュースで取り上げられました。オープンソースベースで開発が続けられ、今はコミュニティ管理となっているようです。複数のDiaspora サーバを建てて、それを既存の Diaspora ネットワークにつなげる分散型です。

OneSocialWeb は、開発はアクティブではないが、続いてはいる模様。こちらも分散型のネットワークです。

Anybeat (旧 Altly )は匿名性を売りに立ち上げられましたが、CEO のdmitry Shapiro さんがGoogle の Google+ チームに移籍し、閉鎖。ドメインは別のスタートアップの予告サイトに転送されてしまっています。

プライバシー重視、広告無し、匿名性保証など、フェイスブックに対する不満から対抗サービスを作るというのは定期的にニュースになりますが、ここまで多くなったフェイスブック利用者にとって、既にそこに友人たちのネットワークが存在するという点を考えると、そのためだけに別の新しいネットワークに移るのはなかなか難しいでしょうね。プライバシーや匿名性などについても、それほど気にならないとか、仕方が無いと思っている利用者が実は多数派なのかもしれません。

さてこの Ello は伸びるのでしょうか。もしそれなりの人気を博すことがあったとしても、日本に入ってきた時には名前で困りそうだなあ。