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ネットの事件

React.js – 「ブラックリスト」は人種差別?

「ブラックリスト」の利用は侮辱的である!

The use of “blacklist” is offensive! #13604

という React のGitHub Issues におけるバグレポート。

報告者は、「人種差別的や、家父長的な背景のある用語を避けよう」という主張で、こちらのツイッターを引いています。

  • ブラックリスト → 否定リスト
  • ホワイトリスト → 許可リスト
  • キラーアプリ → 愛されアプリ
  • マスター/スレーブ → プライマリ/レプリカ

本気か、と思いましたが、たった2時間のうちに、Dan Abramov氏が「もちろん。いいね」と、多少文言を変えて修正し、チケットはクローズされました。

ちなみに、ブラックリストの語源には、人種的な意味はなさそうです。

まあ、言い換えの効かない単語ではないし、ささっと変えてしまえば済むといえば済むんでしょう。ソースコードチェックツールにこの手のセンシティブな単語のチェッカが入るようになるかもしれないですね。

# もしかしたらもう入ってたりするのかな。

via Hacker News

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データ可視化

[可視化] ヨーロッパ各国で「子供の恋人が○○人でも気にしないか?」を訊ねた結果の地図

reddit の地図セクションで bezzelford さん発表したヴィジュアライゼーション。

この地図は、「あなたの子供が黒人と付き合っていたとして、問題ない(comfortable)と思いますか?」に対する回答で、問題ない人の割合が高いほど緑に、低いほど赤に塗り分けられています。

緑が濃い国ほど、気にしていないということですね(あるいは「気にしてないように振る舞う」可能性もなくはないですが)。同じヨーロッパと言っても、8割は気にしないスウェーデンやイギリスの寛容さと、7割が気にするチェコ・スロバキア・ブルガリア等では大きく違うことが見て取れます。

ヨーロッパで黒人がどう扱われようと、日本人の自分には関係ない? ではこちらはどうでしょう

「あなたの子供がアジア人と付き合っていたとして、問題ない(comfortable)と思いますか?」への回答。

黒人とアジア人の許容度の差は平均で5%ぐらいなので、「子供の交際相手として黒人はだめだがアジア人ならOK」という人の割合は、ヨーロッパ人が20人いる中で1人ぐらいということなんでしょう。人種差別の少ない社会は、日本人にとっても助かる社会と言えるのでは。

reddit のコメント欄では、「国によってその国の言葉で訊ねただろうから、翻訳のニュアンスが違うせいでこんな差がついたのでは?」と言った意見も出ています。「さすがにこんなひどくないだろう」という人もいれば「私も○○人だが、○○人の多くはレイシストだ」みたいな人も。

また、「アジア人(Asian)と言っても国によってさまざまで、たとえばイギリス人ならインドやパキスタン人を最初に思い浮かべるのでは?」とか、「そんなことはない、中国人や日本人をまず思いつく」という議論もありました。

元の投稿では、イスラム教徒、ユダヤ教徒についての地図もあります。

元データについて

このデータ、適当なアンケート結果ではなく、EU が実施した「EU における差別 2015年」という大きな調査 [pdf] の中の一部のようです。

24ページ目に、地図を塗り分けた元データの表があります。

東欧諸国の方で興味深いのは、「子供の恋人が白人だったら?」という質問ですら、「問題ない」が90%を割るところがいくつもあるところで、仮定の質問でも子供の恋人なんて考えたくない、のかもしれません。(ちなみにEU平均でも92%)

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ネットの事件

顔認識がアジア系男性を「目が開いてない」と拒絶 ニュージーランド

Facebook上でニュージーランド人のリチャード・リーさんが公開したメッセージがこれ。

パスポートの更新をしようとオンライン手続きをする際に、自分の顔写真をアップロードしたところ、「被写体の目が閉じています」というエラーになって受け付けてくれなかった、という事件です。

多数の既存の顔写真を機械学習させた結果で、目を閉じている写真をエラーにしているのだと思いますが、教師データとして世界中の顔写真ではなく、ヨーロッパ系やマオリ系が多数というニュージーランドの顔データを使ったのかもしれません。

アジア人の目をことさら取り上げたり強調して描いたりすることは、人種差別として厳しい批難を受けるようになってきています。10月に欧州連合の委員が巻き起こした事件は記憶に新しいところ。

欧州連合(EU)のギュンター・エッティンガー欧州委員(デジタル経済・社会担当)=ドイツ=が、中国人を「つり目」と呼ぶなど差別的な発言を繰り返していたことが暴露され、批判にさらされている。

差別発言に批判=欧州委員、中国人を「つり目」:時事ドットコム

上の記事がYahoo!ニュースに転載されていた時に寄せたコメントが掲載終了で見えなくなっているので、こちらに転記しておきます。

つり目(slant-eyes)は、西洋において東アジア人の顔面の特徴を揶揄する際に使われる典型的な差別表現になっています。2008年にはスペインのバスケットボール・ナショナルチーム、2009年には歌手のマリー・サイラス、2013年にはスペインのバイクレーサー、マルク・マルケスがこの表現で炎上しています。

今回は中国人を指してのものですが、マルク・マルケスの時は日本人が対象でした。

今回のリーさんは、笑い話として共有して世界中に広まりましたが、そのコメント欄でやはり差別的な書き込みをするような人も出てくるわけです。

ニュージーランドのパスポートセンターも、悪気があってシステムを作ったわけではないと思いますが、機械学習のための元データの選定についても学習させるデータのセットが本当にそれでいいのか、というのを考えないといけないのでしょうね。

via Bored Panda