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不倫サイトの流出データから、嘘をつく人に人気の高い「ニセの誕生日」の傾向がわかった

不倫希望者マッチングサービスAshley Madisonの利用者データ流出がニュースを賑わしています。世界中の3600万人ユーザーの登録データがBitTorrentなどのファイル共有で流れているということで、この興味深いビッグデータを使った解析や評論などもぽつぽつと登場しています。

米ワシントンポストが取り上げたのが、登録者の誕生日情報

https://www.washingtonpost.com/blogs/the-fix/files/2015/08/Dates.png

[更新 2022-11] 参照していた twitter が消えていたので、画像へのリンクに変更しました。

左の赤い表が、流出ユーザーの誕生日の設定の多寡。横軸が月、縦軸が日の一年間で、色の濃いところほど、平均よりも多くのユーザーが誕生日と指定している日となります。

人がいつ生まれるかはおおむね平均化されているとすれば、ある一日を見たときにその日が誕生日の人は全体の1/365の割合でいるはず。しかし、一番集中している元旦1月1日は、利用者全体の実に12分の1が誕生日と指定していたそうです。

他に赤色の濃いところを見ていくと、月を1月にしたまま日だけを変更したケース、日を1日にしたまま月だけを変更したケースとして、表の左端と上端が濃くなっています。また、2月2日、3月3日… と、ゾロ目の誕生日も登録者が多いです。

他に多いのが記念日系。2月14日のバレンタインデー、4月20日の大麻の日、7月4日のアメリカ独立記念日、なども、覚えやすい嘘の日として愛用している人がいるようで、うっすらと濃くなっていますね。日本人だと何の記念日を使うかもわかると面白そうです。

右の青い表は生まれ年の分布ですが、こちらは実際に利用者が多い1980年代を中心に分布しているものの、末尾が0や5とキリの良い年が少し多かったりします。一番多い生まれ年は1978年だったそうですが、これはもしかしたら登録時のデフォルトだったのかもしれません。

ワシントンポストも、「この統計からネットユーザー一般が同じ傾向で嘘の誕生日を使うとは断言できない。なんとなれば、このデータは(妻や夫に対しての)嘘つきを集めたものだからだ」とまとめているので、嘘の誕生日を使っている人の率は多少一般より高いかもしれません。

ただ、僕もそうですが、明らかに正確な生年月日を必要としないだろうwebサービスから生年月日を問われた時に、本当のものではない生年月日を使う人はそれなりにいるのではないかと思います。

ネットのサービスで本当の誕生日を入れるものなのか?

誕生日というのは結構プライバシー的に重要なデータで、役所でも企業サービスでも本人確認の為に求めらることがそれなりにあります。本名と誕生日、電話番号などだけで本人確認としてしまうようなサービスだと、他人に誕生日を知られてしまっただけで自分に成りすまされてしまうということもあるでしょう。

今となっては、「誕生日を知ってるから本人」なんて運用は危険この上ないとは思いますが、ソーシャルネットワークの流行などから後、多くのネットサービスで当然のように誕生日を尋ねてくるようになりました。ソーシャル系のサービスではつながっている友人に対して機械的に友人の誕生日を通知し、交流を活性化させようとしたりもしているので、誕生日の祝い祝われが大事なユーザーは本当の誕生日を入れがちになるかもしれません。

via The Verge

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ネットの事件

「末期癌を自然食品で治した」豪ソーシャルメディア起業家の嘘がばれて炎上

オーストラリア出身のネット有名人でスマートフォンアプリ起業化でもあるベル・ギブソンさんが、「悪性癌から自然食品で生還した」という経歴がまったくの嘘だったことが判明し、多くの批難を浴びて炎上しています。

(from Instagram)
(from Instagram)

現在24歳のギブソン氏、2年前の2013年5月に「17-18歳だった2009年に極めて悪性の脳のガンで余命一カ月と診断されてから4年間、自然食品と代替セラピーを続けて病を克服した」という話をソーシャルメディアで発表してから最近までで、数百万人のフォロワーや20万人以上のインスタグラムのファンを獲得していたそうです。

the-whole-pantry-top

末期癌をも治してしまった彼女の食生活は、ソーシャルメディアで広がり、やがて本として出版されています。

彼女の本The Whole Pantry(完全な食糧庫)と同名のスマートフォンアプリは大ヒットとなり、最近発売されて話題のスマートウォッチ Apple Watch のオススメアプリにも採択されていました

(credit: Mac Rumors)
(credit: Mac Rumors)

重い病気からの生還とその後のソーシャルメディアでの派手な生活の矛盾がいろいろと報道された後、オーストラリアの週刊誌の独占インタビューで氏はついに癌の診断が嘘であったことを認めました。

The Whole PantryのAndroid アプリはまだ売られていて、レビューの評価も4.2ととても高いですが、iPhoneアプリの方はアプリストアから消えていますし、Apple Watchの方も無かったことにされているようです。

彼女の本を出しているオーストラリア・アメリカの出版社は共に販売停止と廃却を決定し、今月出る予定だった次の本もキャンセルされています。

寄付の約束が守られてないことから綻び

彼女の会社 The Whole Pantry は、アフリカに学校を建てるなどの募金活動をいくつか主催し、本やアプリの売上の一部も寄付することを謳っていたのですが、2013年、2014年に行なわれた寄付キャンペーンで集めたお金が、寄付対象として発表されていた5つの慈善団体のうち実に4団体に届いてないことが判明しています。

ギブソン氏はキャッシュフロー上の問題で寄付ができてないことや会計処理の改善を発表しましたが、同時に、フェイスブックページに寄せられた追求やネガティブなコメントを削除、それらを投じたユーザーをブロックしたことが却って人々の注意を呼び、友人たちからすらも疑われていた末期癌の病歴などの問題が掘り起こされてしまったようです。

ギブソン氏は先週のツイッターで、現在拠点にしているアメリカから、そして追求するメディアから逃げたという噂を否定しています。

https://twitter.com/TheWholePantry/status/591074210413318146

この件、集めたフォロワーの数や、影響を与えた人の数を考えるとかなり大きなソーシャルメディア上の事件ではないかと思います。

本人が「末期癌だった」「食事で治った」と言ったというだけでこんなにも多くの人が信じてしまうのは驚きですし、ここまでの人気になるまでにメッキが剥がれなかったのもすごいですね。英語圏の話なのでわかりませんが、この人の容姿やテレビ等での話し方など、人を信じさせる力が秀でていたのかもしれません。

あるいは、信じたい人が信じたい話に群がってしまうソーシャルメディアの特性が、局所的に作り話を信じたがる人たちが大多数の輪を作り上げてしまい、冷静に突っ込みを入れる人を寄せ付けなかったりしたということもあるかもしれません。

[追記 2017-03-16]

消費者センターの起こした裁判の結果、有罪判決と罰金が与えられるそうです。

「自然療法でがん治癒」とうそ、ブロガーに有罪判決 豪 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

[追記 2017-09-22]

2017/6月に罰金の額が1億円(90万9000ドル)と決まったようですが、彼女に支払い能力があるかは疑問視されています。

また、オーストラリアの法律事務所が、Instagram上の有名インスタグラマーに商品宣伝させることのリスクに関する講演に「ベル・ギブソン要素(The Bell Gibson Factor)」なるタイトルをつけていました。それだけ彼女のついた嘘の影響が大きかったということでしょうね。しかし罪を犯したとは言え個人名をこんな風に使って大丈夫なのかな。

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iOS 7を入れてもiPhoneは防水になりません

2ちゃんねるの血を引く英語圏の匿名掲示板4chanを中心に大掛かりなイタズラが展開されたようで、「iOSを7にアップグレードしたら防水機能がつく」という話を信じてしまった人もいるようです。

4ちゃんねらー達が作った、防水になったiPhoneの広告

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よくできていますね。

フェイスブックではアップルのCEO ティム・クック氏のニセモノも登場

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Due to the increased cpu efficiency algorithm with the update, the iOS7 can now survive 99% of exposure to water accidents. The instant water touches any part of the phone, the new OS begins shutting off air circuitry and power starting nearest the point water contacted the device. The new efficiency allows the update to ‘save’ the phone via extremely quick emergency shutdown and purge mechanisms, after which a small physical trigger disconnects the battery, preventing damage from it malfunctioning.

更新によるアルゴリズムがCPUを効率化したため、iOS7では水の事故に99%対応できるようになりました。電話のどの部分に水が触れても、新しいOSは直ちに水が触れたデバイス部分の空気の取り込みを止め、電源を遮断します。新たな効率化は瞬時の非常時シャットダウンとパージによって電話を救い、バッテリーは物理的に切断し、不具合からのダメージを予防します。

そんな新機能をFacebookで発表するかね。

「防水になったiPhoneをつけて泳いだよ」みたいな体験談を載せる人まで出て、

https://twitter.com/EA_Stripes/statuses/380503634741440512

その結果として、

https://twitter.com/Pretty_Ricky33/statuses/380825793179291649

「誰か知らんがiOS 7で防水機能がつくといったやつ…地獄へ落ちろ!」みたいな人が。

via The Daily Dot – 4chan's fake iOS 7 ads convince users to dunk phones in water