カテゴリー
ネットの事件

Googleのヘルプに書かれたサンプルドメインが失効、乗っ取られる

Googleの G Suite サービスのマニュアルで使われているドメイン名が失効してしまい、他人に取られたという話。そのドメインを取った人自身が説明しています。

G Suite のオンラインマニュアルに、独自ドメインを設定してもうまくいかない場合の確認方法について書かれているのですが、

設定済のドメインとして、spottedfig.org というドメイン名が使われています。これを、Google は当初は維持していたようなのですが、更新忘れで失効してしまっていたということ。

マニュアルの中の例としてのドメインで、リンクが貼ってあるわけでもないので、日頃運営しているwebサービスが乗っ取られるとかそういった致命的なミスではないですが、spottedfig.org の新オーナーがもし偽の誘導ページ等を置けば、中にはそれがGoogleのサイトだと勘違いして指示に従ってしまう人もいるかもしれません。

Google のような大企業でもサンプルドメインとして適当なものを使ったり、それを更新し忘れたりするんですね。

spottedfig.org が他人に取られたことを受けて、英語版のG Suite のマニュアルではサンプルドメインが solarmora.com に変更されています。このドメインにアクセスしても、Google のエラーページが表示されます。しかし、日本語版ではまだ以前のまま、spottedfig.org ですね。

spotted fig は、まだらのイチジク、という意味でしょうか。なんでこんなドメインを例にしたんでしょう。

カテゴリー
技術

履歴書の機械学習が女性差別になってしまい、Amazonが止めたというニュース

ロイターの記事 “Amazon scraps secret AI recruiting tool that showed bias against women

アマゾン社の中の人による匿名の情報ということだけれど、2014年に組まれたチームが、求職者からの履歴書を機械学習して(アマゾンレビューのように)星5つでランク付けをしたら、ソフトウェア開発者や他の技術者の高評価が男性に偏ってしまうことに気づいた、ということです。

学習に使った過去10年の求職者に占める男性の割合が多かったために、男性的な言葉を多く使った履歴書が優秀とされてしまったそうです。入力にバイアスが掛かってれば、結果にも掛かるのはある意味当たり前ですね。アマゾンに限らず、アメリカのIT企業で社員の男女比や有色人種比率が公表されたり比較されたりしている中で、これまでのやり方をベストとして強化すれば、属性にこだわらず優秀な人を取るということができなくなってしまいそうです。

記事によれば、結局、このチームは解散となったということ。今は別のチームで、重複したデータを削除するとか、多様性が保たれるようにスクリーニングするとか、よりマイルドな使い方を追及しているということです。

カテゴリー
ネットの事件

「機械に解雇された」人の体験談

The Machine Fired Meは、イブラヒム・ディアジョさん(Ibrahim Diallo)がブログに綴った、突然会社から解雇された時の体験談です。

3年契約で半年以上働いていた会社で、突然以下のようなことが起こったということです。

  • ある朝、現職を紹介してくれた転職業者から「大丈夫か?」とメッセージ
  • 社員証がオフィスの入り口でエラーになった(なじみの守衛に通してもらった)
  • 翌日、駐車場のゲートが社員証で開かない(係員のカードで入った。翌日からはUberで通勤に)
  • 上司に壊れた社員証の再発行を依頼。臨時の当日社員証を印刷してもらう
  • JIRA にログインできなくなる。同僚は入れて、自分のユーザー名に(inactive)と表示されてることに気づく。上司は驚き、アカウントの復旧をどこかへ依頼
  • 転職業者から「あなたが解雇されたというメールを受け取った」と連絡
  • 翌朝、臨時社員証が発行できなくなった、と守衛に言われる。上司下まで迎えに来る
  • 部長に「自分は解雇されたのか?」と訊く。部長は笑ってどこかへ電話、今日中にはすべて直ってるので仕事するように、と
  • 自席のWindowsが自動で再起動され、ログインできなくなった。仕事用のCentOSマシンで作業する
  • 部長は「明日も出社するように」と言ってくれたが、翌朝は自分のLinuxマシン以外のあらゆるアカウントにログインできなくなる
  • ランチ時に、顔なじみの守衛2人がやってきて、無理やり社外に追い出される
  • 上司も部長も、ディアジョ氏を建物外へ出せ、という脅しのようなメールを受け取る
  • 続く三週間、自宅から上司や部長よりもっと上の人たちがやりとりするメールの議論をCCで受け取り続けるが、誰もこの問題を解決できない

3週間経った後で、転職業者から「また出社できるようになった」と連絡を受けますが、3週間家にいた分の給料は無し。

会社の説明では、一度解雇プロセスに入ってしまうと、システムが次々と解雇のための手続きを自動的に進め、カードを無効にしたりアカウントを止めたりするようになっているということ。一つの処理が次の処理を呼び出し、途中で止めることはできなくなっていると。

止められたアカウントを復旧する方法もないので、ディアジョ氏は「新しい契約社員」として採用されなおすことに。最初の入社時に書かされたあらゆる書類を、もう一度書く羽目になったそう。

解雇のプロセスが決して止まらない自動作業だったことは置いておくにしても、なぜそれが誰も問題にしていないディアジョ氏に襲い掛かったか、という点については、採用直前にこの会社がより大きな会社に合併された際の、レイオフされた前任のマネージャーの作業放置の結果、ではないかということだそうです。

ディアジョ氏は結局、良く貢献もし周りから感謝もされていた職場で、捕まった泥棒のようにビルから追い出されるという体験をしました。その影響で、なぜそんなことになったかという経緯を周囲に説明したり、一部の人たちからは距離を置かれたりしたりして、最終的にはしばらくしてその会社を退職、今の会社に移ってしまいました。

昨年身の上に降りかかったこの一連の体験をやっと落ち着いて話せる気分になったそうで、今回ブログで公開した、ということです。

What I called job security was only an illusion. 安定した職業、だと思ってたものは幻影に過ぎなかった

と結ぶ彼の話、会社員にとっての一つの悪夢でしょうね。

via BBC and TheNextWeb