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女性だけを対象としたUberのような配車サービス – Chariot for Women

個人ドライバーの配車サービスUberのドライバーをしていたマイケル・ペレツさんが近く始めるという Chariot for Women は、Uber と全く同じように個人ドライバーを組織化してタクシーのように他のユーザーを載せるサービスですが、運転手も利用者もどちらも全員女性だけ、という点だけが違うサービスだそうです。

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“Driven by women. Exclusively for women”(女性の運転。女性だけのために)というこのサービス、ペレツさん(この人自身は男性です)がUberで初めて、「呂律が回らずどこに行くのかもはっきりしない20代ぐらいの怖い客」を乗せた体験から、「女性のドライバーだったらもっと怖かったのでは」と考えたのが発端だそうです。

夜中にタクシーが必要になった女性が女性ドライバーの車に乗りたいとか、夜中に働きたい女性ドライバーが女性の客だけを乗せたいとか、アメリカの治安の悪い地域のことを想像すると、確かにそういう希望を持つ利用者は、運転手の方にも乗客の方にもいるのかもしれません。

あえてユーザー層を限定することで、Uberやその競合Lyftのような巨大なサービスが拾えないニッチを拾うというビジネスはあり得るでしょう。Chariot for Women はアメリカの多くのメディアで取り上げられ、4月19日に開始予定というサービスには、既に1000人以上の女性ドライバーの申し込みが届いているそうです。

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ただし、ボストングローブ紙が指摘するには、特定の性の利用者を拒絶するようなサービスの設計は、差別として違法になる可能性が高いということです。

女性に積極的に広告を出して、女性の利用者ばかりになるように運営することは法に触れないにしても、男性が利用したいとしてきた時にそれを断ると、断られた男性と法的なトラブルになる可能性があるそうです。ましてやドライバー側は雇用の話になるので、男性は雇用しない、となるとこれは明らかに差別となるそうです。

なお、女性刑務所や空港セキュリティの職員など、接触がある場合には女性のみ雇用することは違法にならないそうです。女性専用フィットネスクラブについては裁判があり、その結果ボストンでは適法となったという事例もあるのだとか。

via USA Today

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ネットのマーケティング

Rent-a-Minority 多様性のためにマイノリティを貸し出すサービス

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Rent-a-Minority(マイノリティ貸します)は、会社のサイト/パンフレットやイベントのパネリストが白人男性ばかりになってしまい困っている人のために、マイノリティを派遣してくれるという新サービスです。

構造的な不平等を解消しようとして何かしら意味のある活動をするのは大変です。それよりもレント・ア・マイノリティーを使いませんか?

Actually doing something meaningful to disrupt institutional inequality would be way too much work; so why not just Rent-A-Minority instead?

トップページでは3人のマイノリティがフィーチャーされています。イスラムの女性(ISISをサポートしてない)、快活な有色人種の女性、知的な黒人男性の3名。

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シェアリング・エコノミーは、あらゆることをマネタイズできるという新たな世界を開きました。私たちはあなたの肌の色、ジェンダー、性的指向、宗教を活用しようと思います。

With the sharing economy opening up a whole new world in which everything can be monetized, we’d like to put your skin colour/gender/sexuality/religion to work!

派遣されるマイノリティーは、「黒人過ぎる」「イスラム教過ぎる」「フェミニスト成分が強すぎる」などといったことが無いように吟味されているため、気まずい思いをしなくて済むでしょう。

サイトへの「賞賛の声」では、セシル・ローズ氏ルディー・キプリング氏のコメントが寄せられています。

と、ここまで読めば気づくと思いますが、このサイト自体がジョークであり、ウェブサイトやイベント、重役会などで表面だけマイノリティを混ぜて多様性があるように見せようとしている企業への皮肉となっています。

近年では、会社サイトのトップや経営陣紹介が白人男性だらけにならないように、女性や非白人を混ぜ込むことに気を配る企業が増えていますが、そこは本質ではないでしょう、と。

Rent-a-Minorityの提案する本質的な改善案は、一朝一夕に達成できるものではないですが、以下のようなものです。

  1. 問題が存在することに注目する
  2. インターンは有給で雇う。無給インターンに参加できるのはお金に余裕がある人だけ
  3. 仲良しクラブの輪の外から才能のある人を探せるようにする
  4. 才能のある社員のキャリア形成を、人種/性別/宗教に関わらず支援できているかチェックする
  5. 探し方を学ぶ

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がいこくじんレンタル解説 (英語)

via Hacker News

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英語学習

Alex – 政治的に正しくない英単語の利用をチェックできるツール

Catch insensitive, inconsiderate writing (心無く、浅はかな文章を捕らえよう) というキャッチで公開されている Alex は、JavaScript/Node.js ベースで書かれた英文チェックツールです。いわゆるポリティカル・コレクトネス(PC)に反する、政治的や社会的に差別や偏見のある単語が使われていないかを見つけてくれます。

ウェブですぐに動作を試せるデモが公開されているので、それを見てみるのが一番早いでしょう。

alexjs-demo

「カメラマン」「チェアマン」みたいな男女差別につながる言葉、”he”とか”she”とかの男女を決め打ちで書いた主語、master/slave など人種差別の時に使われる表現、などを見つけ、赤でハイライトしてくれます。

下部には、「ではどんな単語を使えば問題ないのか」も表示してくれます。

# ワンクリックで全部置き換えるボタンもあっても良さそうなものですが

GitHub 上でソースは公開されていて、修正提案や用語の追加なども受け付けています。

JavaScript のソースをローカルでコマンドラインで動かすこともできるし、Atom や Sublime といった著名なテキストエディタや、gulp からマニュアルファイル等のチェックをするために呼び出すためのインテグレーションコードも紹介されています。

話題になっている Hacker News でも、GitHub の Issues でも、「なぜこれがダメなのか」とか「判定がおかしい」という文句が出ていて、問題の難しさが垣間見えます。

機械的に処理しているのだから誤検出も多く、指摘されたことを全部書き換える必要はない(しするべきでもない)ですが、僕ら非ネイティブからしたら「そんな問題があったのか/気にしてる人がいるのか」という情報を簡単に得られるという点で、英文のメールやリリースを書いたときに通してみる意味はあるように思います。

それが配慮なのか、それとも言葉狩りになってしまっているのか、検出結果を見て判断するのもまた非英語話者にはたいへんなことではありますが。

[追記 2022-10] 7年経った今でもツールは更新されているようです。7年間のうちに130個以上の issues がクロースされており、意外にライブラリとしていろいろなところで使われているのかもしれません。

via Hacker News

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