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Snapchatがジオフィルタ機能を使ってアプリ上で競合他社の社員を勧誘

見たら消えてしまう写真を友達に送れるカメラアプリ Snapchat 、世界中の利用者数が一億人を超えたスマートフォンの人気アプリですが、2011年に出来た若い会社でもあり、会社も急拡大で人材を欲しているのでしょう。アプリの機能を使って競合他社の社員を勧誘していたのが判明しました。

その機能とはジオフィルタ。こちらのブログに詳しい解説がありますが、特定の場所で写真を撮り、その写真に適用するフィルタを選ぼうとすると、その場所だけで使える特別なフィルタが出てくることがある、というもの。2014年の7月に追加された機能のようです。

公式デモ動画では、ディズニーランドで”Disneyland”というロゴを写真に載せられるフィルタが出てくる様子などが描かれています。

最近になって見つかったのが、有名IT企業のオフィスで Snapchat を使った時にだけ出てくるジオフィルタ。

Pinterest のオフィスで出てくるジオフィルタを見つけたのがこちらの人。

“Feeling pinned down?”(縛り付けられてる気がする?) は、interest(興味のある)ことをpin(ピンで留める)する Pinterest の社名に掛けて、会社に不満があったら Snapchat に転職しない? と言ってるのでしょうね。

AirBnB のオフィスでは

“Not sleeping well?”(良く眠れない?)。寝る場所の貸し借りをマッチングする AirBnB のサービスに掛けて、「仕事が忙しくて眠れないんじゃないの?(だったらうちにきなよ)」と言いたいのかも。

Twitterではこんなフィルタが出たそうです

https://twitter.com/jonah/status/588774143018962945

“Fly Higher!”(もっと高く飛ぼう!) は、小鳥マークのツイッターに引っ掛けての「飛ぶ」でしょうか。

Facebook本社ではメッセージはないものの通せんぼ。

https://twitter.com/torbahax/status/588882727048499200

オフィスじゃなくてアップルストアですが、

https://twitter.com/MatthewSantoro/status/589985068308889601

Apple Watchらしきイラストに”Time to move on”(次へ行く時間だ)も、アップル社員への勧誘のつもりかもしれません。

Business Insiderの記者は、他のフィルタを捜そうとサンフランシスコ市内の有名IT企業のオフィスを歩き回ったそうですが、Slack, Yahoo, Dropbox, Heroku, Zynga, Adobeなどのオフィス付近ではこのフィルタは出てこなかったとのこと。

自社のサービス上でこういう勧誘をするのは、やり過ぎな気がするのですが大丈夫なのでしょうか。例えば、LinkedIn 上で所属する会社を登録したら LinkedIn 自身から転職の勧誘を受けた、とかだとまずい気がしますし、Gmail でメールの署名を見てグーグルから勧誘が来ても問題になると思います。Snapchat がお遊びのアプリだから洒落で済む、のかどうか。

シリコンバレーの景気の良さと、それに伴う人材不足が背景にあるのでしょうね。

via Forbes and LA Times

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ネットの事件

WhatsAppの共同創業者、FacebookやTwitterへの転職に失敗していた

FacebookがメッセージアプリのWhatsAppを190億ドル(2兆900億円)の大金で買収することになりましたが、そのWhatsAppの創業前後に、創業者とFacebook社の別の弱いつながりがあったという話です。

WhatsAppの共同創業者であるブライアン・アクトン氏は、2009年の5月に、ツイッターへの転職を試みていたそうです。

ツイッターから拒絶された。まあそれはいい。長い通勤時間になりそうだったからね。

最後はちょっと「酸っぱいブドウ」入ってます。

同じく2009年の8月のツイート

Facebookに落とされた。素晴らしい人たちと繋がれる大きなチャンスだったのに。人生の次の冒険を探さなければ。

「次の冒険」が190億ドル(2兆900億円)の巨大サービスを生み出すことになるとは。

もう一人の創業者ジャン・コウム氏とYahooを退職したのが2007年、WhatsAppという名前を決めたのが2009年の2月。リリースしてみたWhatsAppが伸びなくて諦めようとしていたコウム氏を、自分もうまくいってないアクトン氏が激励するという状況だったそうです。

アクトン氏がYahooの元同僚たちから出資を得てWhatsAppに正式に合流したのが2009年の11月1日ということ。

TwitterかFacebookがアクトン氏を採用していたら、WhatsAppは共同創業者と最初の出資を失っていたかもしれないですね。そうなった場合にはたしてWhatsAppが今のような人気サービスになっていたかどうか。

かといってアクトン氏がFacebookに入っていたら、Facebookの中からWhatsAppのようなサービスが生まれていたというわけではないでしょう。

この逸話は、FacebookやTwitterのような勢いのある企業でも、できそうな人材を見極めるのがいかに難しいか、というのを示していますね。

WhatsAppに入り損ねた人の話

最近までFoursquareでエンジニアをしていたピート・ノフェルトさんは、昨年LinkedInで届いていたメッセージの話を披露しています。

whatsapp-recruit-ignored

WhatsAppの創業者であるジャン・コウム氏から、「やあ、Foursquareではどんな調子だい?」というメッセージを受け取っていたのですが、これを無視してしまっていたということ。「返事をするべきだったメッセージ」というフォルダに入れて保管することにしたそうです。巨額で買収されたとはいえ、WhatsAppはいまだ社員50人程度ということですし、返事をして転職でもしていれば、この人も買収の恩恵に預かれたかもしれませんね。

もっとも、ノフェルトさんはFoursquareでの仕事を楽しんだし、後悔はしていない、ということですが。

リアルタイムの記録が多数残る世界に

成長した企業の創業初期のエピソードは面白く、アップルやマイクロソフト、グーグルなどの初期の話もいろんなところで書かれていますが、それらは当時の初期メンバーや周辺の人の思い出を聞き取ってまとめる形で成立していることが多いかと思います。今回の買収では、ツイートやLinkedInなどのソーシャルメディアの当時のメッセージが、周辺や本人の手によって発掘されてサイドストーリーとなって報道にも出てきていますね。

via Facebook turned down WhatsApp co-founder Brian Acton for a job in 2009 – The Next Web, WhatsNotApp: When Ignoring LinkedIn Messages Is a Bad Idea | Re/code