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Tailwind CSS批判ブログ記事の紹介ツイートへの攻撃で作者が炎上

CSSフレームワーク Tailwind CSS の作者の一人であるアダム・ワザン(Adam Wathan)氏の行為を非難する記事が公開され、コミュニティ内で議論が炎上しています。

TailwindCSS: 複雑性を足すだけで、何もしていない」という刺激的なタイトルの4月20日のブログ記事が発端。

記事のタイトルが「釣りっぽい(click-bait)」であることは議論の双方が認めるところですが、この記事をツイッター上で5月7日にリツイートしたのがtwitterで10万人のフォロワーを持つフロントエンド開発者でインフルエンサーのサラ・スエイダン(Sara Soueidan)氏

このツイートは炎上の初期に消されてしまっているのですが、特に追加のコメントもなく上記の記事を紹介しただけだったよう。しかし、このRT に対し、TailwindCSS の作者であるワザン氏が反応。

「@SaraSoueidan
あなたのプラットフォームを使って私の一日を台無しにしてくれてありがとう 🥰」

これに対し、スエイダン氏自身もツイッターで反論をしていますが、(理由はわかりませんが)元のツイートだけ削除されています。

アップルのエンジニアでこれまた有名人のシェール・スカーレット(Cher Scarlett)氏が「性差別、人種差別、嫌にポジティブ(toxic positivity)、そして TailwindCSS」という記事でワザン氏のツイートに含まれる意識してないかもしれないバイアスや問題点を指摘し、こちらのコメント欄でもTailwindCSS 界隈を中心としたコミュニティに属する人々の議論が続いています。(量が膨大で正直追い切れてません)

スカーレット氏の主張は「白人男性(ワザン氏)が自分の作ったツール自体への批判に直接反論するのではなく、それを紹介したレバノン人女性(スエイダン氏)のツイートに対してぶつけたことが問題だ」というもの。

元の釣りタイトルの記事の方もフレームワーク自体やフレームワークを使うのに向いた人向いてない人はどんな人かという議論が進んでいて、より攻撃的でない体裁で別の人が書いた「
Tailwind CSS があなたに合わない場合」という記事も出ています。

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ネットの事件

Linuxのソースコードコメントからf*ckを消してhugにしようと提案するパッチが議論を巻き起こす

ヤルコ・サッキネンさん(Jarkko Sakkinen)がリナックスDRM開発者メーリングリストに提案した33行のパッチは、コメント中の”fuck”を”hug”に置き換えるというだけのもの。提案の変更箇所は以下となり、変更内容はたとえばこんな感じです。


In order to comply with the CoC, replace **** with a hug.

Jarkko Sakkinen (15):
MIPS: replace **** with a hug
Documentation: replace **** with a hug
drm/nouveau: replace **** with a hug
m68k: replace **** with a hug
parisc: replace **** with a hug
cpufreq: replace **** with a hug
ide: replace **** with a hug
media: replace **** with a hug
mtd: replace **** with a hug
net/sunhme: replace **** with a hug
scsi: replace **** with a hug
inotify: replace **** with a hug
irq: replace **** with a hug
lib: replace **** with a hug
net: replace **** with a hug

Documentation/kernel-hacking/locking.rst | 2 +-
arch/m68k/include/asm/sun3ints.h | 2 +-
arch/mips/pci/ops-bridge.c | 24 +++++++++----------
arch/mips/sgi-ip22/ip22-setup.c | 2 +-
arch/parisc/kernel/sys_parisc.c | 2 +-
drivers/cpufreq/powernow-k7.c | 2 +-
.../gpu/drm/nouveau/nvkm/subdev/bios/init.c | 2 +-
.../nouveau/nvkm/subdev/pmu/fuc/macros.fuc | 2 +-
drivers/ide/cmd640.c | 2 +-
drivers/media/i2c/bt819.c | 8 ++++---
drivers/mtd/mtd_blkdevs.c | 2 +-
drivers/net/ethernet/sun/sunhme.c | 4 ++--
drivers/scsi/qlogicpti.h | 2 +-
fs/notify/inotify/inotify_user.c | 2 +-
kernel/irq/timings.c | 2 +-
lib/vsprintf.c | 2 +-
net/core/skbuff.c | 2 +-
17 files changed, 33 insertions(+), 31 deletions(-)

--
2.19.1

「抱きしめるな(don’t hug with this)」とか、「メモリコントローラーを困らせないよう(avoid hugging up the memory controller)」といった置換結果で、コメントが伝えたかったことが通じるのかどうか…

背景

リーナス・トーバルズ氏の謹慎と反省からの復帰もあり、他者への言葉遣いや態度について気を配ろう、という機運が盛り上がっている linux 界隈、インテルの技術者であるサッキネン氏は、アムステルダムからポートランドまでの10時間のフライト中にLinuxの新しい行動規範(Code of Conduct, CoC)を読み込む機会があり、そこからこの「言い換え」を思いついたそうです。

「罵倒・攻撃的・下品な言葉遣いを避ける(use of abusive, offensive or degrading
language)」というCoCの部分を提示していますが、なにしろ開発者のメーリングリストですので、検閲であるとか、まったくlinuxの機能を改善するものでもなんでもないとか、いろいろな反対意見が出てきました。

Code of Conduct には、それをどう解釈すべきかというガイド文書も有り、こちらには「CoCが作られるより前から存在するものには影響しない(Content that already exists predating the Code of Conduct will not be addressed now as a violation.)」という一文があることがメーリングリスト参加者から示され、今回の提案者は引き下がったようです。

行動規範 – The Linux Foundation (和訳)

via Phoronix