ヨーロッパの航空機会社AirBus社が取得した特許 (US 9,193,460)が、空港での飛行機の乗り降りの新方式を提案していることを、英ArsTechnicaブログが伝えています。
旅客機の運用の問題の一つに、空港での搭乗があります。狭い場所に大勢の人を、それぞれ指定された座席に詰め込まないといけませんが、限られた搭乗口から案内して全員が着席するまでにはかなりの時間が掛かります。
搭乗の際の乗客同士や乗員と乗客のトラブルによって離陸が遅れたりということもありますし、その遅れが次々と後続のフライトに影響してさらに広範囲で遅れていくのもあります。自動車や鉄道などとの競争においても、遅延やキャンセルの可能性は飛行機の弱点でしょう。
今回の特許は、その搭乗から離陸までに掛かる時間を、予測の範囲内に収めるために考えられたもののようです。
搭乗客は、今のように直接飛行機に乗り込むのではなく、空港に置かれた半円筒型のモジュールに乗り込みます。(荷物や機内食等の積み込みも同様でしょう)
全員の搭乗が終わったら、下に来ていた飛行機に、モジュールごと搭載します。貨物列車やトラックのコンテナみたいですね。
上から釣り下ろして、ドッキング。
[更新 2022-08] 特許の実現イメージをCG化している動画がありました。外部プレイヤーでは表示できない設定なのでリンク先を見てください。わかりやすいです。
モジュールの前後には溝が切ってあったり、横から棒が差し込まれて固定されるようです。
モジュールを乗せるこの新型飛行機、ArsTechnica も書いてますがサンダーバード2号を思い出させます。
# 金沢駅発じゃないほうのサンダーバード2号ね
何かの故障でモジュールごと外れて落ちたりするのが、この新しい方式における乗客の悪夢となるかも。
搭乗する箇所を飛行機に対して多めに作れば、もたもた搭乗していても飛行機への積み込みは一定の時間で完了するわけです。飛行機本体が着陸する前に搭乗が済んでいることまで可能かもしれません。空港の使用効率は上がるでしょうね。
飛行機と空港の両方を新調しないといけないですし、この方式の飛行機は対応していない空港に行くこともできなさそう(普通に乗り降りする口がないでしょう)なので、すぐに実現するとは思えませんが、旅客数の多い路線専用で導入されたりする未来もあるかもしれませんね。