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UIデザイン

YesAQ – 「はい」になる回答だけを集めたFAQ

Basecamp というサービスの FAQ に特徴があるという書き込みがあったので、チェックしに行きました。

よくある質問(FAQ)を置いてあるウェブサービスは多いと思います。問い合わせが多い質問に対してあらかじめ回答を見せておくことで、サポートの人員を減らせますし、利用者もメール等の返事を待つことなく疑問が解消できます。

すべての答えが「はい」なら

Basecamp の yeaAQ は、すべての回答が「はい(Yes)」になるように質問文を書いています。

ドライブインの店頭に貼ってあった「すべての答えがイエスの貼り紙」にインスパイアされたものだそうです。

FAQ の質問文を読んでからそれに対する回答を読むことは、1つ目の質問という情報を頭の中に積んでいることになりますね。最初から答えが「はい」だとわかっている質問しか並んでいなければ、覚える手間がはぶけてわかりやすいのかもしれません。

逆に、Yes ほど受けは良くないかもしれませんが、すべてが No になるFAQ というのも作れそうですね。と思ったけどこれは公園の禁止事項の看板なんかで既にありそうかな。

作る方は、自然に答えがはいになる質問文しか書けないあたりで努力が必要そうにも思いますけど。よくある質問を「よくある」にしない工夫にする変化球的サイトデザインと言えるかもしれません。

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ネットの事件

「タイでの乗り継ぎ便は47年後です」、サポートの機転が失敗を大評判へ変えた

航空券検索サイトのスカイスキャナー(Skyscanner)は、目的地までの安い航空券を探してくれるというウェブサービスです。ある日このサイトでニュージーランドからロンドンまでのフライトを検索したジェームス・ロイドさんは、こんな検索結果を受け取りました。

タイ・スワンナプーム国際空港での乗り換え – 413786.25時間

"long wait"… 長いにも程がある
“long wait”… 長いにも程がある

これを見たロイドさんは、スカイスキャナーのFacebookアカウントに対して

「やあスカイスキャナー。あなたのところのサイトが47年間のストップオーバーを提示したんだけど、現地でのオススメはあるかな?」 Facebook

とメッセージを送ります。サービスの不具合に対する皮肉も含まれていたと思いますが、Facebook上でのSkyScanner公式アカウントによる回答がこちら。

空港ターミナルが大好き、ということでなければ、その年月(years)だったら空港の外に出るのがいいでしょう。私のオススメは、

– Jen
(追伸 教えてくれてありがとう – 担当者にその部分をチェックさせます!)

この回答を見た人たちが、「面白い」「あなたは昇進すべき」といった賞賛の声や、「すごくたくさんの人が君のラストネームを知りたがってるよ」「ジェン、君は独身?」といったジェンさんへの興味を示したコメントが大量に寄せられ、このやりとりはあっという間に広くシェアされることになりました。

skyscanner-jens-wit

いろんな人からの賞賛や問いかけに対して、このJenさんは丁寧に、しかもいつもウィットを忘れずに回答し続けています。

誰か「誰も気づいてないみたいだけど、47年間ストップオーバーしても翌日には到着するってことは、SkyScannerはタイムトラベルを発明したってことなんじゃないの?」

「このスレッドは、タイムトラベルという私たちの本当の計画から目をそらすための作り話なの – Jen」

他の誰か「ジェン、これは君の履歴書に書かれるべき(事件)になるよ」

「今やこれ(このスレッド)が私の履歴書ね – Jen」

他の誰か「スカイスキャナーは今後47年間は顧客サポートの王者として君臨するね」

「それって私はもう家に帰ってもいいってことかしら? – Jen」

他の誰か「君はそれぐらいの評判を得たよ。素晴らしい回答を続けてほしいね」

「* スクリーンショット撮影、上司に送付 * – Jen」

発端から6日後には、元の質問者に対してこんなメッセージも

「『これからのバンコクの47年間役に立つような』グッズを発送させていただきました – Jen」

skyescanner-presents

「使ったことなかったけどSkyScanner使ってみるよ」とか、今回のやりとりを通して多くの人がSkyScannerのサービスを知るようになったようです。

47年間の乗り継ぎというバグ自体は決して褒められたものではないのですが、カスタマーサポートのちょっとした機転がピンチを大きなチャンスに変えたという事例ですね。

via Facebook via Bored Panda

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神々になりすましたAmazonサポートとの遊び

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ネットの事件

神々になりすましたAmazonサポートとの遊び

Amazonのチャットサポートのスクリーンショットが評判を呼んでいました。

配達完了とサイトで出ているのに本が届いてない、という苦情をAmazonに伝えようとしたお客さんですが、チャット画面で出てきたアマゾンの担当者の名前がたまたまThor(トール、ソー、北欧神話の雷神)だったので…

View post on imgur.com

トール(Amazonサポート): こんにちは。私はトール(Thor)です。

私(客): こんにちはトール。(君がトールなら)私はオーディン(北欧神話の主神)?

Tor-Mårten_Eskil_Winge_-_Tor's_Fight_with_the_Giants_-_Google_Art_Project
トール: オーディン、父よ、如何にしてこの良き日にこのようなところへ?

Odin-Georg_von_Rosen_-_Oden_som_vandringsman,_1886_(Odin,_the_Wanderer)私: トール。わが息子よ。苦悶が私を襲ったのだ。

Tor-Mårten_Eskil_Winge_-_Tor's_Fight_with_the_Giants_-_Google_Art_Projectトール: なんということでしょう! 万物の父オーディンに反抗するものなどいるのですか。その苦悶を引き起こしたのはいったい何です?

Odin-Georg_von_Rosen_-_Oden_som_vandringsman,_1886_(Odin,_the_Wanderer)私: 我らの敵を倒すために注文した本が間違って配達されたようなのだ。聖なる本無しに、どうしてヴァルハラを守れよう。

Tor-Mårten_Eskil_Winge_-_Tor's_Fight_with_the_Giants_-_Google_Art_Projectトール: まさに神への冒涜です! その本がどこへ送られたのであろうと、あなたのもとへお返しすることを私の義務といたします! ロキ(悪戯好きの神)のしわざかもしれませんがあえて彼を責めることはいたしますまい。あなたの富は元へ戻り、その後、本を取り戻すための新しい探検を始めることができるでしょう。

Odin-Georg_von_Rosen_-_Oden_som_vandringsman,_1886_(Odin,_the_Wanderer)私: たいへんよろしい。わが息子よ。

Tor-Mårten_Eskil_Winge_-_Tor's_Fight_with_the_Giants_-_Google_Art_Projectトール: わが軍勢を糾合しこの試練を完了するためにいま少しの時間をいただけますでしょうか。父よ。

Odin-Georg_von_Rosen_-_Oden_som_vandringsman,_1886_(Odin,_the_Wanderer) 進めたまえ息子よ。この本に運命を託した死すべき者たちのためにこそ。

Tor-Mårten_Eskil_Winge_-_Tor's_Fight_with_the_Giants_-_Google_Art_Projectトール: ああ! 宝物はあなたの元へと償還されました。その書籍をもう一度召還くだされば、すぐにもその御手に。ワルキューレにその翼のかなう限りの速さで届けさせましょう。

私(客): オーケー。ロールプレイはひとまず置いて、返金は完了したし本は再注文すればいいということだよね?

トール(Amazonサポート): はは、そうです。再注文のための返金は終わってるので再注文してください。

私: すばらしい!

トール: 再注文はもうされました?

私: 今するよ… した。

トール: ちょっと条件変更しますね。(黒塗り) これでどうです?

私: おお、一日で届けてくれるの? すごい!

トール: はは、ええ、本は可能な限り早くお届けしますよ。

私: アマゾンのサポートはすばらしいと聞いてたけど、まさに体感したよ! ありがとう。

トール: (名前の黒塗り)さん、どういたしまして。他に何かお手伝いできることはありますか?

私: いや、これで全部だ。本当にありがとう。

トール: いつでも言ってください。今日も良い日でありますよう。さよならオーディン

私: バイバイ息子よ

それにしてもノリノリだな君たち。

redditのコメントによれば、南アフリカのケープタウンのアマゾンオフィスに、このトールさんは実在するようです。

日本のカスタマーサポートでこういうのはちょっと起こらないかなあ。

(images: public domain from Wikipedia)

via Amazon doing what it must for the good of Valhalla : reddit