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Twitter の買収した Scroll は、広告が出ないことにお金を払うサブスクリプション

Twitter が5月に買収した Scroll というサービスを調べてました。

この Scroll は毎月$5(550円) のサブスクリプションサービスですが、これを購読すると Scroll に参加しているニュースサイトで広告が表示されなくなります。Scroll のサイトで紹介している例だと

こんな風に広告がいっぱい表示される提携ニュースサイトが

こんな表示に変わります。

これだけだと Ad Block などの広告ブロッカーとどう違うのかということになりますが、この広告を消す機能はニュースサイト公認の上で提携しているというところが違います。Scrollの会費からの収入が、読まれた量に応じて提携するニュースサイトに分配されるので、Scrollユーザーに対しては広告を表示しなくても、ニュースサイト側は収入が見込めるということ。

Scroll の説明では、広告表示よりも Scroll 参加の方がサイト側の収入が40%は多くなった、と言っています。

お金を払うと読めないニュースが読める、というのは新聞社のサイトなどが有料会員にだけ読めるペイウォールを設けていますが、それとは違い広告を我慢すれば読めるニュースではあります。

無料でもアクセスできるけれど、毎月お金を払うと広告が無くなる、というモデル、どこかで聞いたことがあります。YouTubeミュージックがそうですね。無料であることでユーザーの量を確保し、しかし無料だと不便な点(YouTube だと広告動画が差しはさまれる)を解消する有料メニューを提供する。

毎月固定額を払って広告が消えるのはいいけど、見に行くサイトが対応していなければ価値も半減だと思います。しかし、Scroll の対応サイトにはBuzzFeed, USA Today, Gizmodo, Slate など有力ニュースサイトが多数載っており、アメリカ・英語でニュースを見ている分にはScroll の効果を感じられる機会も多そうです。

広告ブロッカーのようにブラウザ拡張で実現しているのかと最初は思ったのですが、そうではなく Scroll にログインして cookie 経由でほとんどの場合は動くということ。(Safari は拡張機能のインストールが必要) これで済んでしまうのはサイトとはどうしても敵対的になる広告ブロッカーのサービスと違って、Scroll とニュースサイトとの連携が取れるからですね。

連携が取れるということはユーザーの情報が流れていく可能性を排除できないからということでもあり、Safari で拡張機能のインストールが必要なのはサードパーティークッキーへのアクセスに関する制約がSafari では強いからなのでしょうけれど。

買収についてブログでは将来はこの Scroll のような機能が Twitter 自身のサブスクリプションに入りうる、といったことも述べられていますが、今のところの Twitter はニュースの入り口ではあってもニュース本体はリンク先を開いて Twitter の外で読まれることが多いですね。このあたりも何かしようとしているのでしょうか。Twitter の有料会員はリンクを開いた先で広告が少ない、といった程度の連携なのかもしれませんけれど。

via The Verge