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姓がない人をWebのフォームでどう扱えばいいか

世界の姓名データを集めるプロジェクトに関する Hacker News の突っ込みを読んだ中に出てきて面白かったのは、世界には姓が無い人がいるという話。

世界に姓がない人がいる(日本にもいますが)のは知っていたけれど、それがアプリやブラウザ上の入力フォームでどう扱われるか、扱われるべきなのか、というのは考えたことがありませんでした。

妻は姓を持たず、アメリカに来るたびにすべてのフォームで「ファーストネーム」と「ラストネーム」を問われることに困惑しています。彼女のパスポートには「名前」欄しかないのに

というコメントに対し、同じようにgiven nameしか持たずアメリカに来て、銀行口座の開設、車の購入、結婚証明の取得、などの手続きごとに窓口で揉め、結局心理的に大きな抵抗を持ちながらも改名することになった話なども出ていました。

上はミャンマー人の話のようですが、インド人からも、インドを構成する多数の言語利用者の中には名前が一つしかない人達もいるのに、政府は名前欄を2つ設けて入力させるのを強制している、多数派の想像力不足だ、というコメントが出ています。この人はまた、アメリカ領事館の査証発行システムにこのような姓のない人が登録する場合に、姓の部分に”LNU”(Last Name Unknown)と入れたり、逆の場合(!)にはファーストネーム欄に”FNU”(First Name Unknown)と入れたりした例を見たそうです。

また、2語からなる姓だけを持ちgiven nameを持たない人が、ファーストネーム+サーネームの入力をかいくぐるために姓の最初の語をファーストネーム、2番目の語をサーネーム「ということにして」乗り切ったが、ドイツに移住した際に両方とも姓ではと指摘されてしまい(ドイツっぽい)、サーネームに正しい2語の姓を、ファーストネームには(無い、という意味で)”-“を入れるように変更された話とか。

日本で名前を登録するようなサービスを作るとしたら、姓名のどちらかが空欄だとエラーになるようなフォーム、普通に作ってしまうと思いますが、それは海外由来の名前を持つ人にとっては本名を登録できない欠陥フォームになりうるんですね。

ただ、ほとんどの場合ユーザーは姓と名両方あるので、単純に空欄で受け入れるとこんどは誤入力だらけになる。エラーで止めるのではなく、本当に姓や名が無いのかを確認するような特別なフローに遷移するとかが正しい実装なんでしょうか。

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ネットのマーケティング

1HappyBirthday.com – 3万曲以上の名前入り誕生日ソングを無料公開するサイト

グレッグ・メイさん(Greg May)が2006年に開始したプロジェクト 1HappyBirthday.com は、彼自身が作った誕生日を祝う複数のオリジナル曲「ハッピーバースデー」に様々な名前を入れて公開し続けるというものです。

1happybirthday-com-top

有名なあの「ハッピーバースデー」ではなく、オリジナル曲です。やたらと「ハッピー・バースデー」と呼びかける名前の回数が多いことの他に、一か所スペイン語の「誕生日おめでとう」(Feliz cumpleaños)が入っていることと、彼の犬シナモンの鳴き声が入っていることが特徴です。

25000種類の違う名前を入れ込んだ25000曲

YouTubeの1HappyBirthdayチャンネルに登録されている、パーソナライズされたハッピーバースデーの動画は現時点で31,313本あるそうです。パティに対するPatty, Paty, Pattiのような、同じ発音の名前の字幕違いはそれぞれ動画が作られているそうなので、そのような重複を除いた純粋な曲の数はその8割ぐらい、ということですが、それでも25000曲あることになります。

2006年にこのプロジェクトを始めたメイさんは、ロス・アンゼルスのスタジオを借り、プロの歌手を雇って、よくある名前400個について録音を開始。当初は「コカコーラとかペプシとかが、グローバルなスポンサーになってくれてビジネスになるのでは」と思っていたそうです。

しかしそのようなことは起こらず、それでも名前を増やしてはレコーディングの注文を続け、今では年間に4000曲、4000の新しい名前を入れた歌をリリースしているということです。一曲の録音に6ドル(660円)支払っている、ということなので、25000曲で15万ドル(1650万円)の出費となりますね。

日本人の名前も

民族で絞り込む方法がなかったのでいくつか適当に検索してみただけですが、日本名と思われるものもありました。

ハルミ・チョコレート

ヨーコ誕生歌パラヤビーチ

トシ バースデーケーキパステル

FAQには「ドイツ語やフランス語は発音が難しいものが多い、中国・韓国は名前の種類が多すぎる」と書いてあります。

日本人も名前の種類は多いのでどれぐらいカバーされているかわかりませんが、自分の名前がないか、サイトの検索フォームで(ローマ字で)検索してみてはどうでしょうか。

自分の名前の録音がない場合、サイトからリクエストすることもできますが、リクエストも大量に来ているということでいつ録音されるかはわからないようです。また、録音されることになっても、どう発音するかについてスカイプ等を使って伝える必要があります。

ビジネスモデル

サイトは無料で公開されています。著作権は放棄されていませんが、私的利用は問題ないし、1happybirthday.comへのリンクをつければ自分のサイトで一曲使っても構わないということ。

サイトでは、指定の日の早朝1時にメールでその相手の名前入りの曲を送るようなサービスもあります。これも無料

「自分の名前の曲のCDが欲しいんですが?」という質問には、「mp3でダウンロードして自分でCDに焼きなよ」と答えるなど、商売っ気が無さすぎて心配になります。

英語サイトとスペイン語サイトがあり、毎月400万人の人が曲を聴きに来るそうですが、Google AdSenseの広告では運営費は全然まかなえていないということ。

「何をもって成功とするか」という質問に対しては、「いつか、レストランやラジオやどこかで、この歌で誕生日を祝うのを耳にできたら、それが成功だ」ということ。

15万ドル(1650万円)以上のお金とそれ以外のリソースもつぎ込まれていますが、今みんなが歌っているいわゆる「ハッピーバースデーの歌」と同じように広まって歌われるようになったりすれば、そのうちに大きなリターンとなる可能性もあるのかもしれませんね。

via The Verge

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データ

[アメリカ] 男女性別不明なユニセックス・ネーム

データ処理に関するブログ FlowingData で紹介されていたのは、聞いただけでは女性か男性かわからない、どちらの性別でもつけられることがあるファーストネームの統計結果です。

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1930年以降のデータで男性にも女性にもつけられてきた名前が、もっともどっちつかずだった順番に第1位のジェシー(Jessie)から並べられています。青いのが男性の、赤いのが女性の子供にその命名がされた割合を示しています。白い丸は、その名前の男女比が最も均衡していた、一番半々に近かった年を表しているそうです。

日本でいうと、「かおる」とか「ひろみ」、「あきら」、「しのぶ」といった名前にあたるでしょうか。英語の中性的な名前がどれか、なんて考えたこともなかったので、リストを順番に見るだけでも面白いです。

上から、ジェシー、マリオン、ジャッキー、アルバ、オリー、ジョディー、クレオ、ケリー、フランキー、グァダループ、キャリー、トミー、エンジェル、ホリス、サミー、ジェイミー、クリス、ロビー、トレーシー、メリル、ノエル、レネ、ジョニー、アリエル、ジャン、デボン、クルズ、ミシェル、ゲール、ロビン、ドリアン、ケーシー、ダナ、キム、シャノン。

このような両性的な名前の人は、すべて合わせてもアメリカ人全体からみれば1%にも満たないということですが、聞いたことがあるような名前も含まれていますね。

日常的にアメリカ人と多く接したりしてなければ、日本人が持つこれらの名前に対する性別の印象は、歌手や映画俳優などの外国の有名人に影響されるのではないでしょうか。僕だったら、「ジャッキー」は男、「ジョディー」は女、「マリオン」は女、「フランキー」は男、と思い込んでしまいそうですが、それぞれ、かなりの割合で、その名前で反対の性の人が存在することがわかります。他に、エンジェルは男性の方が多いとか、女性のサミーが半数近くになってきているとかも、僕の感覚とは違っています。

アメリカ人たち自身の子供の命名についても有名人の影響というのは同じようにあり、その名前を持った有名人の活躍で、これらのユニセックスな名前が、ある時突然一方の性別に偏っていくことがグラフからもわかるようです。グラフ中にも特記されていますが、陸上選手のマリオン・ジョーンズのオリンピック金メダル獲得は女の子のマリオンを増やしたし、初の黒人メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの登場は、男の子のジャッキーを増やしています。

24位のアリエル(Ariel)は、ディズニーの人魚姫から僕も女性の名前だと思い込んでいましたが、映画の公開までは男性の方がむしろ多く、映画から後に大きく女性の方に振れたのですね。40歳以上のアリエルさんは男性で、40歳以下のアリエルさんは女性が多い、ということのようです。