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ネットの事件

公式で星3以上のレビューをするまで使えないiPhoneアプリが登場(そして発禁)

プロアップストア評論家(そんなのあるの)のコスタ・エレフセリオさん(Kosta Eleftheriou)がツイッターで報告した UPNP Xtreme という iPhone アプリのすごい挙動がこれ。

App Store のレビューダイアログが出ますが、

  • 「後で評価」をタップしてもダイアログは閉まりません
  • 星を3つ以上つけると、”Submit”ボタンが有効になりレビュー投稿されます
  • 星1,2個はタップできず、Submitもキャンセルも効きません

つまり、星3個以上のレビューを投稿しない限り、先へ進めない=アプリを使えないということ。

UPNP Xtreme は、DLNA や UPNP に対応したスマートテレビにiOS 上の動画コンテンツをストリームで送るアプリだそうで、エレフセリオ氏によると7000近いレビューを受け、1500万ダウンロードを誇っていたそう。氏のツイッター上での告発の後にアプリは公式アプリストアから取り下げられたそうですが、このようなインチキを通しているアプリは他にも多数あるのだとか。

こちらのユーザーの解析によれば、このアプリは iOS のレビューダイアログを呼び出した後、ダイアログが可視になるのを監視し、キャンセルボタンや星1-2の部品上に別の何かを置くことでタップできないようにしているようだ、とのこと。

タイミングによってはすり抜けられるようで、星1つでこの不正について報告していたレビューもあったようです。この人はタップではなくドラッグを使って星1つでSubmitできることをデモしています。

多くの利用者は良いレビューをしないと使えないことから、レビューして先へ進んでいたのでしょうね。そしてレビューの数も多く平均点も良い(そりゃそうだ)ことから、さらにダウンロード数が増え、また良いレビューが増える、と。

エレフセリオ氏は、アプリストアは信頼できる場所ではないし、常に用心深くする必要がある、と警告しています。

公式アプリストアへの怒りから開発者が不正ハンターに

The Vergeによれば、エレフセリオ氏がプロのアプリストア評論家となって日夜このような不正を告発し続けるようになったのは、ご本人のAppleウォッチ用キー入力アプリ FlickType に関して、後発のとんでもなく高価な、しかし出来は良くない競合アプリがフェイクの星5レビューを連発して彼のFlickType を抜き去っていったことがきっかけだそうです。

氏はこれまで100以上のこういった不正アプリをアプリストアからの撤去に追い込んだそうなのですが、アプリストアの運営者として手数料を取りながら不正レビューの取り締まりに本腰を入れることなくもっと多くの不正を放置している、と今年初めに Apple を訴えてもいるそうです。

via Hacker News

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ネットの事件

中学校の校長と副校長が学校でイーサリウム採掘し逮捕される – 中国

学校に持ち込んだ高性能PC 9台で暗号通貨イーサリウムを日夜採掘し続けていたことが発覚し、中国湖南省のとある中学校の校長・副校長が逮捕されたそうです。香港のHK01が報じています

学校の電気代が高騰し、夜中の騒音もひどかったことから構内を巡視した結果、この違法採掘が発覚したそう。

校長は最初自宅の機械でイーサリウムを採掘していたのですが、電気代が非常に高くつくことに気づき、場所を自分の職場である中学校の空き部屋に移したということ。また、副校長に高性能PCを売って採掘に引き入れたのもこの校長なんだとか。この校長は懲戒解雇され、副校長は注意を受けたということです。

以前なら、電気泥棒といっても盗んだものを貯めたり運んだりするのも難しく、生活する場で即消費できないと意味がないことから、電力にアクセスできたとしてもそこから私的な利益を得ることは簡単ではありませんでした。しかし、暗号通貨の採掘が電気をお金に換える道筋を作ってしまったことで、電気の管理や監視の手間が世界中どこでも増えてしまっているのでしょうね。今回はやり方も雑だったのでしょうけれど、いろいろなところでもっと巧妙な盗電採掘がおこなわれているかもしれません。

TheNextWeb

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「マラソン探偵」、有名フードブロガーのマラソン近道をすっぱ抜く

「ハーバード大で学び」「米ハフィントンポストにも寄稿し」「3万人以上のインスタグラムのフォロワーを持つ」24歳の有名フードブロガーが、ハーフマラソン大会で2位の好成績を収めたものの、ネットからの指摘によってコースのショートカットをしていたことが暴かれ赤っ恥をかく、という事件が起こりました。

問題のブロガー、ジェーン・セオ氏は、先週末19日に開催されたフォート・ローダデール・ハーフマラソン大会において、女性2位でゴールしました。

後半のタイムのあまりの加速っぷりに、ゴール直後に運営とも話し合いをしたそうですが、それも切り抜けて2位として表彰台に。当然ながら彼女はその写真もインスタグラムで多数のフォロワーに公開しました。

しかし、ネットでマラソンcheater(不正者)を見つけるのを趣味としているビジネスアナリストのデレク・マーフィー氏(Derek Murphy)は、この怪しげな記録を見逃しませんでした。

セオ氏の当日の記録は、最初の10kmのペースが 7:09分/マイル、残りの11.08km のペースが 5:25分/マイル、と、後半の方がずっと速くなっています。

セオ氏はレース後に移動スポーツの記録を共有するサービス Stravaにタイムを投稿しますが、その投稿はGPSによる走行記録がついてない手動投稿だというコメントがつきました。

しかし、午後遅くにはGPSデータがアップロード、公開されます。


(Strava screenshot via Marathon Investigation)

このGPSデータ上は、彼女の午前中のマラソンのコースに沿っており、またその各ポイントの記録(後半が加速した記録)にも合うものでした。ですが、マーフィー氏は、データに添えられた走行のケイデンスが、マラソンランナーのそれよりも自転車でのそれに見えると、セオ氏の過去のマラソンでのデータと比較しながら指摘します。

さらにセオ氏のゴール後の写真(調査のために、マラソン公式サイトから写真を購入してます)を拡大したマーフィー氏は、セオ氏が腕につけている Garmin の記録デバイスの表示から、彼女の走行距離が 11.65マイル(18.7km)と、ハーフマラソンの距離から1マイル以上足りないことも見つけます。

これらの一連の疑惑を指摘した記事を公開してほどなく、セオ氏のインスタグラムには不正をしたことの告白と謝罪が掲載されることとなりました。マーフィー氏の推測通り、レースの後にGPSをつけて自転車でコースを回ることで、不正の隠ぺいを図った、ともありました。

「気分が優れなくてついコースを省略してしまった」と謝罪の中で述べているセオ氏に対し、マーフィー氏は「気分が優れない人が、ハーフマラソンを走った午後に自転車で同じ距離を走り回れるものだろうか」「ゴール時の写真や表彰式での写真を見ても、調子が良くないとはとても見えない」と手厳しいです。

セオ氏のハフィントンポストへの寄稿は2015年で止まっており最近は寄稿してなかったようですが、皮肉なことにその最後の記事は「とあるレースでマラソン大好きになった私」”How I Learned to Love Running, One Race at a Time”というマラソンに関する記事

というわけで、とあるマラソン大会での個人の不正が一つ、正されたわけですが、それにしても興味深いのはこのマーフィー氏のサイトです。このサイトは、マラソン大会での不正を見つけて公開するという唯一の目的のために運営されているようです。

マラソン探偵の正体

マラソン探偵としてのマーフィー氏を紹介するNBCの記事がありました。先月のものです。

マーフィー氏がNBCに語ったところでは、ショートカット以外にも、ビブスをたすきのように次々と元気な人に回して好タイムを叩き出したり、追跡用のタグだけを足の速い夫に渡して同時にゴールしたように見せたり、市民マラソン大会ではいろいろな不正の手段がまかり通っているということです。

氏は趣味としてこのマラソン探偵をやっているようですが、サイトでは活動を支えるための小口の寄付を募っています。この寄付を使って、怪しいとにらんだランナーの写真を買うなどされている模様。

氏は昨年末のホノルルマラソンでも、通過記録が欠落していて、不自然な高速ペースで走り、好成績を収めている13人のランナーを抽出しています。

GPSや心拍系など多数のデータが公開共有されるようになってきたので、昔よりも不正をするのは難しいのでは、とも思いますが、それもデータにおかしな点がないかチェックする仕組みがあってのことですね。

個々の参加者を疑ってチェックするのはスポーツマンシップとはかけ離れた考え方かもしれませんが、ネットで称賛されたい、褒められたい、という動機で不正を考える「スポーツマン」もまた、増えていたりするのかもしれません。マラソン探偵の活躍する機会はまだまだ増えそうです。

via Miami New Times