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写真素材の黒人の顔だけを白人に挿げ替えることは問題か?

米パナソニックがネックスピーカー SoundSlayer の宣伝に使った画像について、人種問題を挙げているThe Verge の記事を読みました。

Panasonic neck speaker guy
Panasonic neck speaker ad

このビデオゲームでエキサイトしている白人男性の宣伝画像がGetty Images の「ビデオゲームをプレイする」画像を加工して作られたものではないかと。実際、EXIFデータにも「ピザを食べビールを飲みビデオゲームで遊ぶ若いアフリカ系アメリカ人」と合ったそうなのでそうだろうとは思います。

The Vergeで問題にしているのは、写真の加工が「宣伝したいネックスピーカーを付け加え」るだけでなく「顔を白人男性に差し替え」ているところです。首や手の肌についても顔と合わせるために変化させているのかもしれません。

twitter の反応では、元の黒人男性の顔の表情が宣伝の目的と合わなかったから挿げ替えをしたのであって、人種差別的な意味はないだろう、というものもあります。うまく合いそうな他の黒人男性の写真が見つからず、デザイナーがあるものでなんとかしようとしただけかもしれません。

記事ではマイクロソフトが2009年に会議の写真素材中の黒人男性を白人男性に差し替えて問題になった件(英ガーディアン)を類似の失敗例として挙げていて、そちらは確かに何でそんなことをしたのか、という差し替えなのですが、今回の件は差別の意図が有ったとは言えないのではないかと。意図の有無ではなくそう見る人がいるかどうかなのかもしれませんけど。

記事の記者からの連絡を受けた米パナソニックでは、今回の宣伝画像から人物を含む画像を削除したそうです。

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ネットのマーケティング

World White Webプロジェクト – 手足など人物の画像検索に人種的多様性を持たせようという活動

World White Web 、World Wide Web のワイドとホワイト(白)をかけたキャンペーンでは、”hand” や “foot” といった体のパーツ名で画像検索した時に、白い写真ばかりが出てきてしまうのでは、というのを問題として提起しています。

world-white-web

試しに”hand”でグーグル画像検索してみると、以下のようになりました。

hand-image-search-on-google

確かに白っぽい手ばかりです。

世の中には色々な色の手や足があるのに、画像検索でそれが出てこないとすれば、何かしらの理由はあるのかもしれませんね。

英語をメインで使っている国の中で白人の割合が多いことが、白人モデルの写真の多様と画像検索トップの占拠につながっているということかもしれません。たとえば、「顔」とか「腕」といった漢字での検索では、英語での画像検索に比べれば、アジア系の顔や腕が多く出てきます。

nose-in-japanese-google-image-search

とはいえ、広告等で白人が良く採用されるからか、あるいは西洋文化が幅を利かせているからか、白人の写真もちらほらと出てきます。黒人の画像はなかなか出てきません。

World White Web がこの「問題」を解消する方法として提唱しているのは、彼らのサイトに置かれた非白人の手や足の画像にリンクしたり、ソーシャルでシェアを勧めたりというもの。要するに画像SEO になるのですが、このやり方で実際にトップページに彼らの希望する画像が入ってくるかというと、ちょっと難しいような気がします。

ブログや新聞記事を書くときに、多様な肌の色の写真を使いましょう、という呼びかけは、テレビドラマの配役で人種の多様性の配慮が求められるアメリカらしさを感じますね。

via TheNextWeb

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「普通の」アメリカ人のアジア系への偏見を描いた What kind of Asian are you?

アジア系アメリカ人の悩み、を風刺を入れて面白く表現している動画です。23日に公開されたばかりですがもうすぐ300万回再生に到達しそうな勢い。

ジョギングの途中で会った(東アジア系の外見の)女性に話しかけた(白人の)男性。前半は白人男性からの質問で、おもしろいほど会話が噛み合いません。

男: やあ
女: ども
男: いい天気だね
女: ようやくね
男: どこから来たの? 英語がとても上手だね
女: (ちょと間が空く) サンディエゴ… そこでは英語が話されてるのよ(皮肉)
男: (軽くかぶりを振って) あ、いや… (質問の英語がわからなかったのかと思いゆっくりした英語で、身振りも入れて) あなたは、どこから、来たのですか?
女: (ちょっと考えて) ああ、産まれたのはオレンジカウンティ(ロサンゼルスの隣)だけど、実際にそこに住んでたことはないわ
男: その前は?
女: 産まれる前(にどこから来たかですって)?
男: そう。君たち(people)がどこから来たのかってこと
女: (ちょっと固まった後) えーと、曾祖母はソウルから来たわよ。
男: (得心のいった顔で) 韓国人。わかってたよ。君は日本人か韓国人に違いないと。それもどちらかというと韓国人だろうと思ってた
女: (本当に驚いている感じではなく) すごいわね
男: (両手を合わせてお辞儀) ??? [聞き取れず。アジアのどこかの挨拶?] うちのアパートにはいいテリヤキ・バーベキューの店があるんだよ。それに、僕はキムチがとても好きなんだ。
女: いいわね

こっから攻守交替です。

女: で、あなたは? どこから来たの?
男: サンフランシスコ
女: (相手の答えがさもおかしいかのように) そうじゃなくて、どこの出身?
男: アメリカ人だよ
女: あらそう。ネイティブ・アメリカンなの?
男: (強い否定)いや、「普通の」アメリカ人さ
女: (まじまじと見つめる)
男: …あ、ああ、祖父母はイギリスから来たよ [訳注: この時点で曾祖母の代からアメリカに来ている彼女の家系のほうがアメリカには長いのかも]
女: (驚いたふり) へえ、だとしたら
女: (強いロンドン下町訛りで)やあ、旦那さま! いったいどうしたことさね? (アメリカ映画に出てくるわざとらしいイギリス人風)
女: Top of the Morning! (アイルランド人の朝の挨拶。しかし実際に多用されているわけではなくアメリカ人が想像するステレオタイプなアイルランド人の挨拶)
女: お茶はどうです?お茶は? (イギリス人=紅茶)
女: Double, double, toil and trouble (シェイクスピア – マクベスの一節)
女: (アイリッシュダンスの真似)
女: Mind the gap (=ホームと電車の間のスキマにご注意ください。ロンドン地下鉄のホームで案内される)
女: 切り裂きジャックに気をつけろ!
女: Bloody hell!! (=なんてこったい。イギリス英語)
女: ピップ・ピップ・チェリオー (どちらも別れの挨拶。イギリス英語)
(ここまでテンション高い。ここで素に戻って)
女: あなたのところの人たち(people)のフィッシュ・アンド・チップスは素晴らしいと思うわ
男: …気持ち悪いやつ
女: あら、本当に? 韓国人だからでしょうね (当然ながら皮肉。笑顔で立ち去る)

アジア系アメリカ人は実際にこういう経験をすることが多いようですね。「あるある。自分もこんな経験が」みたいなコメントが大量に。また、アフリカ系やインド系、ラテンアメリカ系など他の(アメリカ合衆国での)マイノリティからもたくさんコメントがついたり、あとはお決まりの人種差別コメントも入り込み、コメント欄が非常に盛り上がっています。

女性のほうは、最初に男性がやらかした失礼をそのままなぞって相手に返してるだけなんですけど、劇中では男性は最後までそのことに気付かず、相手のことを「変なやつ」で済ましてしまっています。

僕自身も、昔サンフランシスコに転職した直後に、どこかのイベントで会ったアジア系の人にこれをやらかした経験があります。アメリカ人に「あなたはどこの国から来たんですか?」と訊いてしまった。サンフランシスコなんて3人に1人はアジア系住民なのに。

日本でも、たとえば、白人が何故かいきなり英語で話しかけられたり、根拠なくアメリカ人と思いこまれたり、というのがたびたびあるようですね。アメリカ人の英語ネイティブな白人は確かに多いのでしょうけど、それに当てはまらない人だってたくさん居るわけで。

動画は面白さで評判を呼んでいるようです。「普通の」アメリカ人はもちろん、誰でもが自分の内にある偏見について考え直す機会を持てるいい作品ではないでしょうか。

via What kind of Asian are you? : videos

[更新 2014-05-16] こちらの新作も面白い