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Appleウォッチの心電図計機能がユーザーを病院に送りすぎているかもしれないという話

Appleウォッチについた心電図計が、自覚症状はないが心臓疾患などの可能性がある人に警告を発し、病院に行って病気が見つかる、という話はテクノロジーが命を救ったいい話としてたびたび流れてきました。

そのようなAppleウォッチの警告がもとで病院に来た人たちを追跡調査したレポートが出てきたのですが、Appleウォッチの警告に従って来院した患者のうち、実際に疾患が発見された割合は低く、病院リソースの過剰利用につながる危険があるという結論でした。

マヨ・クリニックという病院グループが、カルテに「Appleウォッチ」とある264名の来訪患者について調べたところ、実際に心臓に不具合があったのは30名(11.4%)だったと。Appleウォッチのアラートや統計データを見て来院した中には、既に自分に心臓の問題があることを知っている人たちもいますから、false positive な人はかなりの割合です。

また、これは思いつかなかったのですが、健康に問題が無い人でも、ウォッチから警告されたことで心配になったり、病院へ行って診断を待つことでストレスが増える、という見方もあるようで、調べて健康だったから良かったですね、という話でもないのだと。

検査だけ増やしても病院がパンクする、というのは今年前半によく聞いた話ではあります。しかし、本当に病気だった率が低かったとしても、自分がその救われた人だとすればその人にとっては100%良いことだったわけで、Appleウォッチに心電図計を搭載したことも確実に善であるように自分は感じます。

このような治療につながるデバイスの販売や普及には、社会全体に与えるインパクトを慎重に評価することが必要、というのも、慎重に評価したから正しい見積もりが出せるという保証もないですね。とりあえずやってみる、というのがアメリカ的にもIT企業的にも当たり前の姿勢で、それがこれまでいろいろな成功を生んでいるのですし。

日本でも機能がオンになる方向のようで、同様の問題は発生することでしょう。

検出方法やアラートを出す閾値についてはソフトウェア側の話でしょうから、もしかするとユーザーがいる国や地域のその時の医療体制を知った上で、医療体制に過剰な負荷が掛かるような時には症状の大きな場合しかアラートを出さない、というような、より大きなシステムの中に組み込んでいくのが求められているのかもしれません。

via The Verge

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未来予想

すべての病死が治ると人類の寿命はどうなるか? を試せるサイト

自然死が根絶したら平均寿命はどうなるか? (Life expectancy if natural death was eliminated)というサイトでは、老衰を含むあらゆる病死に治療法が見つかったとしたら、人は何で死ぬのか、どれぐらい長生きするのか、という思考実験を実際に試すことができます。

[Start]ボタンを押すと、開始時からの経過年(Year)がすごい勢いで増えていき、黄色の笑顔マークの中から、少しずつ事故で死ぬ人が現れます。マークの下の数字は、その人が死んだときの年齢。

事故の種類は下のアイコンで列挙されていますが、左上から右に、交通事故、銃で撃たれる、火災、階段からの落下、溺死、銃の事故、はしごから落ちる、飛行機事故、大竜巻、洪水、犬の攻撃、地震、落雷、です。

現在のそれぞれの死因の発生率を基に、ランダムにそれらが人生に降りかかってくる、というモデルで再現しているようなので、実行するたびに結果は変わります。しかし、何度かやってみたところ、最も長生きする人の寿命はまず数万年になりました。

自然死を外してみると、何の事故死が問題か見えやすい

どんな病気でも、老衰すらも治療する医学上の大発展があれば、という仮定の話ではありますが、それ以外の原因で事故死する人たちを救うには何が必要か、というのも考えさせられる結果となるようですね。自動運転車の登場は多数の死因である交通事故を劇的に減らしてくれるでしょうし、銃が社会に与える問題(アメリカでのデータなので)の大きさもわかります。他にも心配されることが多いであろう飛行機事故や地震などより、これらの大きな問題を解決した方が、効果的だということです。

長い事みていると、その試行での平均寿命(Average life length)がわかります。