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英語の求人文章から「男性的」「女性的」な表現の偏りをチェックしてくれるサイト

イギリス内閣府とNPO団体 の共同運営するAppliedは、ジェンダー差別や人種差別を廃し、公正で多様性のある採用ができるような支援機能を多数持つ求人サイトだそうです。

そのような機能のうちの一つ、あなたの書いた求人の文章のジェンダーバイアスをチェックしてくれるオンラインツールは、デモとして無料公開されています。

試しに、ネットに公開されているシニア・プロダクトマネージャー募集のサンプルを与えてみたところ、こんな判定が出てきました。

男性的(masculine)と判定された単語は、

  • leader (リーダー)
  • confident (自信いっぱいの)
  • analyze (分析する)
  • lead (リードする)
  • leadership (リーダーシップ)

女性的(feminine)と判定された単語は

  • responsibilities (責任)

求人広告に書かれた文章は、その職務のことだけでなく、企業組織やその文化についてのヒントを応募者に与え得るそうです。Applied は、男性的な言葉ばかり並べた募集の文面は女性の応募を遠ざけ、結果的に多様性の無い組織を作ってしまう、と主張しています。求人を書くときに、無意識にどちらかの性の人物を想定して、言葉を選んでしまっていないか、ということでしょうね。

他にも同様の注意を呼び掛けているサイトはあり、バイアスの少ない文章が求人で重要、という考え方はAppliedだけの発想ではなさそうです。

サービスは最低プランが無料から始まるフリーミアムで、ユーザー1人で使うだけなら無料である程度使えるようです。

海外に支店があったり、グローバライズした製品やサービスを売ったりしなければいけない日本企業では、英語で求人しなければいけない、という状況もあるでしょう。英語で正しく文章を書くだけでも大変ですが、文章に含まれる微妙な偏りや差別については、文法的な正しさとはまた違った知識や経験が必要そうですし、このようなツールに一回かけてみて、あまりに一方的な判定結果が出た場合はちょっと考えてみる、というのは安全のためにもいいかもしれないですね。

via New Scientist

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ネットのマーケティング

Rent-a-Minority 多様性のためにマイノリティを貸し出すサービス

rent-a-minority-top

Rent-a-Minority(マイノリティ貸します)は、会社のサイト/パンフレットやイベントのパネリストが白人男性ばかりになってしまい困っている人のために、マイノリティを派遣してくれるという新サービスです。

構造的な不平等を解消しようとして何かしら意味のある活動をするのは大変です。それよりもレント・ア・マイノリティーを使いませんか?

Actually doing something meaningful to disrupt institutional inequality would be way too much work; so why not just Rent-A-Minority instead?

トップページでは3人のマイノリティがフィーチャーされています。イスラムの女性(ISISをサポートしてない)、快活な有色人種の女性、知的な黒人男性の3名。

rent-a-minority-featured

シェアリング・エコノミーは、あらゆることをマネタイズできるという新たな世界を開きました。私たちはあなたの肌の色、ジェンダー、性的指向、宗教を活用しようと思います。

With the sharing economy opening up a whole new world in which everything can be monetized, we’d like to put your skin colour/gender/sexuality/religion to work!

派遣されるマイノリティーは、「黒人過ぎる」「イスラム教過ぎる」「フェミニスト成分が強すぎる」などといったことが無いように吟味されているため、気まずい思いをしなくて済むでしょう。

サイトへの「賞賛の声」では、セシル・ローズ氏ルディー・キプリング氏のコメントが寄せられています。

と、ここまで読めば気づくと思いますが、このサイト自体がジョークであり、ウェブサイトやイベント、重役会などで表面だけマイノリティを混ぜて多様性があるように見せようとしている企業への皮肉となっています。

近年では、会社サイトのトップや経営陣紹介が白人男性だらけにならないように、女性や非白人を混ぜ込むことに気を配る企業が増えていますが、そこは本質ではないでしょう、と。

Rent-a-Minorityの提案する本質的な改善案は、一朝一夕に達成できるものではないですが、以下のようなものです。

  1. 問題が存在することに注目する
  2. インターンは有給で雇う。無給インターンに参加できるのはお金に余裕がある人だけ
  3. 仲良しクラブの輪の外から才能のある人を探せるようにする
  4. 才能のある社員のキャリア形成を、人種/性別/宗教に関わらず支援できているかチェックする
  5. 探し方を学ぶ

関連

がいこくじんレンタル解説 (英語)

via Hacker News

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World White Webプロジェクト – 手足など人物の画像検索に人種的多様性を持たせようという活動

World White Web 、World Wide Web のワイドとホワイト(白)をかけたキャンペーンでは、”hand” や “foot” といった体のパーツ名で画像検索した時に、白い写真ばかりが出てきてしまうのでは、というのを問題として提起しています。

world-white-web

試しに”hand”でグーグル画像検索してみると、以下のようになりました。

hand-image-search-on-google

確かに白っぽい手ばかりです。

世の中には色々な色の手や足があるのに、画像検索でそれが出てこないとすれば、何かしらの理由はあるのかもしれませんね。

英語をメインで使っている国の中で白人の割合が多いことが、白人モデルの写真の多様と画像検索トップの占拠につながっているということかもしれません。たとえば、「顔」とか「腕」といった漢字での検索では、英語での画像検索に比べれば、アジア系の顔や腕が多く出てきます。

nose-in-japanese-google-image-search

とはいえ、広告等で白人が良く採用されるからか、あるいは西洋文化が幅を利かせているからか、白人の写真もちらほらと出てきます。黒人の画像はなかなか出てきません。

World White Web がこの「問題」を解消する方法として提唱しているのは、彼らのサイトに置かれた非白人の手や足の画像にリンクしたり、ソーシャルでシェアを勧めたりというもの。要するに画像SEO になるのですが、このやり方で実際にトップページに彼らの希望する画像が入ってくるかというと、ちょっと難しいような気がします。

ブログや新聞記事を書くときに、多様な肌の色の写真を使いましょう、という呼びかけは、テレビドラマの配役で人種の多様性の配慮が求められるアメリカらしさを感じますね。

via TheNextWeb