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ネットのマーケティング

[動画] 「ダイヤモンドは永遠」

「ダイヤモンドは永遠」(Diamonds Are Forever)は、架空のダイヤモンド・オンラインというwebサービスで、ダイヤモンドの婚約指輪を購入する、というドラマ仕立ての動画です。

とあるカップルは、オンラインで婚約指輪を注文します。注文したダイヤモンドの状況をPCやスマートフォンから追跡できるトラッカー機能がついていて、いろいろな通知を受けることになります。

「おめでとうございます。少年奴隷のキンウェイがあなたのダイヤモンドを掘り始めました」「クール!」

「キンウェイは反政府軍のヤクブにダイヤモンドを引き渡しました。ヤクブは怪我しているキンウェイをダイヤモンド鉱道へ戻しました」

「ヤクブはダイヤモンドを内戦で組織的に地元市民を殺戮するための武器や現金と交換しました」

このあとダイヤは、密輸業者によって南アフリカから持ち出され、その船も海賊に奪われ、海賊は偽のダイヤモンド証明書をゲットし、ベルギーのダイヤ会社へ送られます。

パキスタンのサッカーボール工場とか、アフリカのコーヒー豆農園やチョコレート農園とか、先進国で気軽に買えるものの背後に児童労働や搾取が存在する、というニュースは良く見ますね。ダイヤモンドにもそういう経緯で流れてきたものと、そうでないものがあるのでしょう。

ダイヤモンドの発掘や流通に関わる人たちの悲惨な状況を、幸せそうな日常生活の中で受け取り、それを「クール」とか「そうでなくてはね」みたいに淡々とスルーする様子が、サイコパスのようで恐ろしくもあります。

動画は、消費者が生産・流通の過程をトラッキングできるという最近ありがちなオンラインショッピングの機能をうまく使って、搾取の存在をうまく啓発しているなと感じました。

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ネットの事件

フェイスブックCOOシェリル・サンドバーグ氏の女性キャリア支援NPOが無給のインターンを募集して炎上中

FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグ氏は、おそらく今のネット業界で最も成功し、力のある女性でしょう。

女性がもっと社会や企業の上位に進出すべきだ、という主張を書いたLean Inは、今年の3月に発売され、ベストセラーとなっています。3ヶ月遅れで日本語にも翻訳され、こちらもベストセラー化しているようです。

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲

サンドバーグ氏は、その本と同名のNPO団体 LeanIn.org を立ち上げ、キャリアを追求する女性を支援する活動を率いていました。

その NPO LeanIn.org の総合編集者ジェシカ・ベネット氏がフェイスブックページでインターンの募集をかけたのが14日。

Wanted: Lean In editorial intern, to work with our editor (me) in New York. Part-time, unpaid, must be HIGHLY organized with editorial and social chops and able to commit to a regular schedule through end of year. Design and web skills a plus! HIT ME UP. Start date ASAP.

募集: ニューヨークで私と一緒に LeanIn で働く編集インターン。パートタイムで無給。編集とソーシャルな観察に優れ、年末までスケジュール通りに働けることが必要。デザインとウェブの技術があればなお良し! 連絡ください。今すぐでも開始

女性の地位向上を目的に立ち上がった組織が、若い女性をタダでこき使おうとしているように見えますね。Facebookのコメント欄ではすぐに疑問の声が上がり、すぐに英語圏のネット中に義憤あふれる声が広まっていきました。「これは誰に対してであっても恥知らずな搾取だ。まして女性相手ならなおさらのこと」。今日は多数のブログがこれを取り上げました。

サンドバーグ氏がフェイスブック株9100万ドル(100億1000万円)を売却し、大金を手にしていたニュースが先週流れたばかりだったのも印象が悪かったようです。自分の力で稼いだ株を現金化しただけで、それ自体は責められるものではないでしょうが、それだけ稼いだ人が「女性はもっと積極的になるべき」と本を書き、そのための団体を組織したのに、口は出しても資金援助はしていないのか、と突っ込まれました。

LeanIn総合編集のベネット氏は「これは私の『個人的な』投稿で、ニューヨークで『私を』補佐するボランティアを募集しただけです。多くのNPO団体が無料のボランティアを受け入れています」と追加のコメントを出しましたが、これには「うちもNPOだけどインターンには州の最低賃金以上を払ってます」とか「無給のインターンなら定期的に出社することを強制したりはしません」などの反論が。

VentureBeatによれば、アメリカでは若年層の失業率が16.2%に達し、30%に近い大学生が無給のインターンシップを経験しているという数字もあるそうです。職につくのが大変なことから、無報酬であってもその後のキャリアに繋がるかもしれないと考えて応募するそうなのですが、それを悪用し、単なる無償の労働力としてこき使う企業もあるのだとか。

著書での意見や団体の目的を考えれば、やはりこの無償インターン募集は迂闊だったように思いますね。

# ここまでの騒ぎをサンドバーグ氏が黙殺できるとは思えないので、何か反応が出たらまた書きたいと思います。

via Internet pitchforks come out for LeanIn.org as it attempts to hire unpaid intern | VentureBeat