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Direct Train Connections – ヨーロッパの「直通」列車を調べられる地図

🇪🇺 Zug-Direktverbindungen(Direct Train Connections) は、ヨーロッパにある駅を指定すると、その駅から直通電車で行ける駅を全部地図上に表示してくれるwebサービスです。

direct train from Munich

ミュンヘン駅を基点に表示してみた地図。ドイツ国内の各所への直通列車があるようです。オーストリアやイタリア北部へも多数。ハンガリーやクロアチア、オランダなどへ行く列車もあるようです。

終着駅は所要時間に応じた色でプロットされていて、10時間以上かかる列車も。

こちらはミラノ中央駅からのプロット。イタリア国内とは言えシチリア島のシラクサまで20時間弱の列車が表示されたので、「橋なんてあったっけ?」と思って検索したら、メッシーナ海峡では切り離した車両をフェリーに積んで先へ進む列車があるんですね。

陸で国境がつながっているヨーロッパらしい結果かと思いましたが、いろいろと見てみると国境を越える列車はそこまで多くなく、国によっては首都からのほとんどの列車が国内止まりなところもありました。国境近くの駅から国境をまたぐ列車も当然あろうとは思いますが。

スペインの首都マドリッドからは、すべて国内行き。

ベラルーシの首都ミンスクからの地図。ほとんどの隣国には直通列車の終点はありませんが、ロシア国内向けには北極圏のムンマルスク行きや黒海沿岸のアドレル行きなど超長距離列車が。どちらも40時間越えの乗車時間です。

ヨーロッパの駅は一つの都市に方面ごとに別の駅があることが多く、駅単位で表示させても「その都市から直通で行ける駅のすべて」が一度に表示されないこともあるのは注意が必要です。

国境線や鉄道路線図だけではわからない都市と都市との結びつきや、隣国との関係性なども遊んでいると浮き上がってくるような気がして、面白いサービスだなと思いました。

ソースコードはGitHubで公開されています。データはドイツ鉄道のAPI経由で取得しているそうですが、ヨーロッパ中のすべての鉄道データを、特に小さな鉄道会社のデータまでは網羅してるとは言い切れないそうです。

via Maps Mania

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欧米のラウンドアバウト率をオープンデータから求める

ラウンドアバウト、信号を使わずに縦横の交通を通すための仕組み、日本でも2014年から地方中心に導入されて何度もニュースになっているようです。

僕はイギリスの田舎にいた時に会社が借り上げた車で通勤していたため、交差点のほとんどがラウンドアバウトな街で運転していた経験があります。最初は慣れずに怖いと思ったこともありましたが、慣れてくると信号待ちが無くて楽だなという感想を持ってます。

データで仕事をしている、というエリンさん(Erin)がブログで公開したのは、そんなイギリスのラウンドアバントの全てを地図にプロットするという個人プロジェクト。

OpenStreetMap のデータを使ったということですが、このデータ、ラウンドアバウトについてのデータは存在するものの、普通の交差点のデータは含まれていないそうです。そこで、道路データと別の道路データが同じ地点で交わっているところを交差点として抽出する作業を行ってまず交差点の位置を得る必要があったと。

ヨーロッパ(対象がイギリス外にも広がってます)の交差点を抽出するのに、ラップトップPCで2週間掛かったということ。また、アメリカの交差点については、米国勢調査の別のデータTIGER/Line Shapefilesから同様の処理を行ったと。

ヨーロッパから9か国と米国のデータを処理して、ラウンドアバウトと交差点の比を求め、また地図上にラウンドアバウトをプロットした地図ができています。

僅差ですが、フランスが交差点81か所につきラウンドアバウト1か所で、これらの国の中でもっともラウンドアバウト比率が多い、ということです。スペインやイギリスも多い。また、アメリカは636対1と、ヨーロッパに比べてとてもラウンドアバウトが少ないことがわかります。

前記のように求めた交差点は、住宅街の中、家と家を結ぶ小路の分岐もすべて当てはまりそうなので、街と街をつなぐ街道で見ればもっとラウンドアバウトは多いのではないかな、とも自分の少ない運転経験からは思ったりもします。

エリンさんはまた、人口に対するラウンドアバウトの数、という計算も行っており、これで計算したラウンドアバウト率の高い街の上位25位のほとんどはヨーロッパなのですが、1位はアメリカ インディアナ州のカーメル市となったということです。このカーメル市、1990年代から信号交差点をどんどんラウンドアバウトに置き換え続け、今では125か所以上のラウンドアバウトを持つ米国一ラウンドアバウトの多い場所となっているそう。事故も激減してるそうですが、これができるのは交通量がそこまで多くないというのもあるんでしょうね。

ブログ記事を見ていると、欧州と米国で入手できるデータが異なったり、データを使える形に揃えることが大変だったよう。他の国々についてもわかればもっと興味深いでしょうが、なかなか国ごとに整備されたり公開されたりしているデータがまとまっていないとか、見つかりにくいとか、そんな感じなのかもしれません。

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ヨーロッパの主要都市から「何時間でどこまで行けるか」を示した Isochrone Maps of Europe

ある地点から同じ所要時間で到達できる地点を線で結んだ地図のことを等時線図(アイソクローン地図)と呼びます。

ウィーン大学博士課程のピーター・カルペジェブ( Peter Kerpedjiev )さん作ったのは、ヨーロッパの主要都市から、鉄道に乗って何時間でどこまで行けるかを示す等時線図。

train-isochrone-map-from-paris-by-emptypipes

2時間ごとに色分けされていて、22時間以内では辿り着けないところが白です。パリから電車に乗ると、22時間でスコットランド(本土)の北端、ポルトガル中央部、ポーランド東端、イタリア(本土)南端からシチリア島、ぐらいまで行けることがわかります。

isochrone_madrid

スペインの首都マドリードからだとこう。イベリア半島を出るだけで6時間掛かるため、一日では東欧やローマにも行けません。

isochrone-berlin

こちらはドイツのベルリンから。

作者ブログでは、主要25都市からの等時線図を見ることができます。なお、鉄道を降りてからは5分間で1キロメートル歩けるとして徒歩移動も含まれています。1キロメートル/5分は時速12キロメートルになるので、元気に歩く、どころの速度ではなくどちらかというとランニングではないかと思います。

鉄道の整備や接続が不便でも高速バスが速いというところもあるでしょうし、LCCで飛行機に乗れば鉄道より早く安く飛ぶことができる都市も多いでしょう。「鉄道だけ」という縛りはあまり実用的ではないかもしれませんが、ヨーロッパの鉄道の整備状況やその速度などを感覚的に掴める点では面白い地図かと思います。

これらの所要時間のデータは、スイスの公共交通機関APIを使って集めたものを基にしているそうです。時刻表データがオープンに公開されていてAPIでアクセスできるのはいいですね。

日本では、今年の4月にヤフージャパンが発表した、東京駅からの到達所要時間ビジュアライゼーションマップがあり、話題になっていました。「ある一箇所から」の等時線図を作るのと「任意の場所から」の等時線図を作るのはまったく手間が違う話ですが、いずれはそういう地図を日常的に使えるようになると嬉しいですね。

via The Guardian