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ネットのサービス

taxsim.app – 過去60年間のアメリカの所得税額を計算できるサイト

資料として面白いサイト。taxsim.app はアメリカ合衆国の各州における所得税額をシミュレートしてくれるwebサイトです。

今年だけでなく1960年から現在まで、それぞれその年の税率で計算してくれるというところに特徴があります。

年度や州、年齢や婚姻状況、そして年収を入力すると、連邦税と州税の額が表示されます。

カリフォルニア州、2000年に25歳、独身、年収9万ドル[acc value="90000" currency="usd"]として税率を計算

控除に影響する様々な追加の設定もすることができます。また、設定からdevモードにすると、このデータを表示しているAPIに対するrequest/responseを確認することもできます。

この税額計算ができる TAXSIM というソフトウェアは Fortran で書かれていて、これまでもいろいろな方法で動かされてウェブUIも何度も変更されているらしいのですが、現在の実装は Fortran のオリジナルコードを WebAssembly/LLVM で動かし、今回の UI は Vue や Tailwind.css を使っているそう。ソースコードも公開されています。

過去の税率や控除がどうだったかをウェブ上で自分でいろいろと確かめられるのはいいですね。同じ年収で年度を進めていくと、年収にもよるのでしょうけど1980年代とかに比べて連邦税の金額が減少傾向にあるんだな、など変化を実感することができます。

適当な値を入れて税金がどう変化するかを試してみましたが、1960年代から今までの税率の変化は、ずっと増え続ける、とか、ずっと減り続ける、とかいうことは無く、長いスパンで増えたり減ったりしていたようです。年収のレンジなどによっても傾向は変わるのかもしれませんが、政権党の交代とか景気の変動に対して変わってきた結果なのかもしれないですね。

いずれにしても、「昔はもっと税金が高かった」あるいは「安かった」という n=1 の回想というのは、その人のいた業界が伸びたかとか、個人の昇進や転職がうまくいったかどうかとか、家族の増減とか、色々な要因に影響されていて必ずしも世の中全体の変化を映してはいないかもしれません。こういったツールでモデルケースをいろいろ遡れるのは、議論のための正確な証拠が取れるという意味でいいですね。

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ネットのマーケティング

IKEAの1950年からの毎年のカタログが見られる公式アーカイブ

昨年末に紙のカタログを廃止することを発表し、2021年度版が紙としては最後のカタログ発行になったイケアですが、1950年代からの毎年のカタログ(スウェーデン版)をデジタル化して公開しています。

紙カタログ廃止のリリースでは1951年が最初とありましたが、アーカイブは1950年から始まっていますね。

1950年のカタログでは、食器やカバン、ネックレスやネクタイなど雑多なものを売っていて、後半が家具になっていますね。

こちらは1989年のカタログから。家具を置いた部屋全体を見せるのは今のカタログでも見ますね。

暦年のカタログが全部見られるというのは、インテリアの流行や人気の家具の変遷などを追えるということで、資料としても面白いですよね。70年分ですから。

Hacker News のスレッドでは、「スウェーデンでは郵便受けに『広告不要! ただしイケアのカタログは除く』というステッカーが良く貼られていた」という証言が出ていて、ステッカーの画像も紹介されていました。

ingen reklam tak! Men garna IKEA Katalogen. (広告はご遠慮ください! IKEAカタログ以外)

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ネットの事件

Internet Explorer 3.0 チームにいた若手エンジニアの回想ツイート

子供がオンラインでプログラミングを学習できるサイト Hour of Code の創立者である ハディ・パルトヴィさん(Hadi Partovi)は、Internet Explorer 3.0 の開発者の一人だったのですね。初期の「ブラウザ戦争」にマイクロソフトという巨大企業側から関わった経験をツイートされています。

パルトヴィ氏は22歳の時、たった9人だった IE開発チームに入っています。初期のワールドワイドウェブ(WWW)の標準的な地位を占めていたネットスケープナビゲーターのシェアは95%。当時のIEはというと、技術的には2年近く遅れていたと。

以下、長連文ツイートから面白かった箇所を抜き出します。

  • チームは採用を絞りに絞った
  • ボスの言葉「できるといったやれ、できないのは構わない。できないことを引き受けて失敗するとチームが止まる。ノーと言うことを覚えなさい」
  • モチベーターとしてのビル・ゲイツ氏のメモ
  • IE3.0開発の発表日は真珠湾攻撃にちなんだ1995年12月7日。先制された戦争をやり返すためならAppleやAOLとも組んだ
  • Netscapeのマイク・アンドリーセン氏の次の言葉を壁に貼って闘志を燃やした「Netscapeによって、Windowsはもうすぐ品質の悪いデバイスドライバ集みたいなものになるだろう」
  • 3食を共に取り、深夜にフーズボールで遊んだ
  • 離婚や壊れた家庭や不眠症その他の悪い事も起こったが、2万人の会社内に人生を賭けた100人のチームがあった。(この部分と働きすぎの描写については、後で誇張しすぎたという訂正記事を出されています)
  • IE5で勝利した後、マイクロソフトは勝利したと考え、パラノイド的であることを止め、IEはジョークの対象になってしまった
  • だめになっていくIEを見るのがつらく、1999年に退社した

エキサイティングな環境に22歳の移民として入り、すばらしいメンバーと一緒に短期間で勝利を収めたことへの誇らしさが伝わる体験談でした。結果成功したから良い思い出になったという見方もできますが、馬車馬のように働ける時期に働くに足るチームと出会えたことがプラスになっているし、その後の起業等の成功にもつながっているのでしょうね。