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ネットのサービス

米アニメエキスポで評判を呼んだ「俺の嫁(Waifu)自動販売機」

Waifu Labs は、一点もののアニメ風の少女イラストを機械学習によって生成してくれるという webサービスです。

内部の生成の仕組み自体は、Gwern さんのThis Waifu Does Not Exist (解説) を流用しているもので、StyleGAN による自動生成された「存在しない(=既存作品等に無い新規の)アニメイラスト」画像です。

今回のサイトは、完全なランダムで一枚を生成するというオリジナルとは違い、生成の段階で16種類提示される「最初の好み」「色の傾向」「細部」「ポーズ」を選んでいくことで、自分が選択した好みのオリジナルのイラストが得られる、というものになります。

生成された一点画像は、枕やポスターとして購入できる、というのがサイトの狙っているビジネスモデルでしょうか。

作者チームはこのシステムをアメリカ・ロスアンゼルスの Anime Expo に持ち込み、ブースを設けてカスタムのイラストを販売(英語圏でいうところの commission)し、希望者の長蛇の列を作ったのだと、ブログで裏話が公開されています。

ツイッター等のソーシャルメディアでアイコンをこういったアニメ絵にしてる人が特に日本語圏では多く、既存の作品から切り取ったものを使ってる場合は著作権や利用権について突っ込みが入ることも多いと思います。こんな風に自分の希望から他にないイラストが自動生成できてしまうのですから、こういったものを使えばその問題も解消しますね。

また、これぐらいのイラストが数分で無料で手に入ってしまうとなると、ちょっとしたカットを描くような仕事にも影響がでるかもしれませんね。

それから、著作権やオリジナリティという意味では、こういった自動生成のデータを大量に公開し続けておくと、後から人力で描かれたイラストと非常に似たものも存在し、「先行公開していた」と主張することだってできるかもしれません。機械的な自動生成が簡単に使えるようになることで、いったい著作権って何だ、というような騒動が起き、仕組みの対応も迫られる近未来があるかも。

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ネットの事件

デザイン系の人気Facebookページが「著作権問題」で閉鎖

The Cool Hunterは、かっこいい建築やファッションなどのデザインを豊富な写真で紹介する英語圏の人気ブログですが、そのThe Cool Hunterによる78万人のファンを集めていたFacebookページが、公式から停止されたようです。

The Cool Hunter側で今回の経緯を説明していますが、Facebookページは8週間前に、前触れなく突然存在しなくなったということです。毎日1500-2500人のファンが増え、1万人以上がページ経由でブログに訪問していたということですから、ブログメディアとしてはビジネス的にも大打撃だったでしょう。

The Cool HunterはFacebook側に問い合わせしたようですが、「著作権侵害が繰り返されていたため」という返答を受け取っただけで、どのテキストや画像が著作権侵害なのかといった具体的な情報は得られず、一旦はコンテンツがすべて消えた状態で空のページだけが復旧したものの、それも5日後でまた停止されてしまったとか。

以前にもFacebookが他のFacebookページを「著作権侵害との報告を受けた」として突然無効化したことがあるそうで、この時はやりとりの後に復旧したページもあるようなのですが。

ウェブでデザイン系の画像を紹介するブログ、ともなれば、そこには多数の画像が絡んできます。元記事にリンクをつけての引用ならOK,とするブログも多いですが、実際には個々のオリジナルの作者や撮影者によって、何を許して何を許さないかというポリシーはバラバラでしょう。The Cool Hunter側は2件については確かに侵害があったようだ、と言っていますが、その2件が本当に問題とされたのか、誰がその著作権侵害をFacebookに通知したのか(本当の著作権者か、著作権者のふりをした第三者か)、など、不明なことが多すぎます。

また、実際問題として、Facebookのような巨大なプラットフォームで、運営側がどれがどう違反しているのか調べ上げて教えてくれる体制を作れるとも思えません。このあたりはYouTubeでも起こっている問題だと思いますが。The Cool Hunterは、まだ70万人ものファンがいるからこうやってニュース化して、ページを復活させるように働きかけてくれるファンもいるでしょうけれど、もっと小さなところが同じようなトラブルに陥ったら、まず打つ手はなさそうですね。

The Cool Hunter の本体はブログで、FacebookページはFacebook上でのファンや読者を増やす出店だったでしょうから、今回の事件ですべてをいきなり失ったわけではないでしょうが、本体のドメインやブログを持たずにすべてをFacebookで活動しているようなサイトは、著作権について突っ込まれるようなコンテンツを載せないようにしたり、著作権侵害だという報告をされないように注意しないとリスクが高そうですね。

TwitterやGoogle+であっても同様ですが、人が集まっているソーシャルメディアで活動しないとファンは増やせないし、かといってソーシャルメディアに依存してしまうと今回のようなトラブルで一気にウェブ上での存在感を失ってしまうリスクがあったりと、判断の難しいところです。このあたりは自分のドメインでブログを運用するか、大手のブログサービスでブログを書くか、といった選択でも過去に悩んだ方は多いかと思いますが。