「歴史」タグアーカイブ

Remember the Fire – ビリージョエルの”We Didn’t Start the Fire”の歴史的事物をグラフ化

Remeber The Fire は、ビリー・ジョエルの1989年のヒット曲 “We Didn’t Start the Fire”(ハートにファイア) の歌詞をグラフにしたものです。

歌詞をグラフに? どういうこと? と思われるかもしれませんが、この曲はとても変わった曲で、メイン部分の歌詞はほとんどが歴史的な事件や有名人などの固有名詞の羅列なのです。時代的には、第二次世界大戦後からベルリンの壁崩壊までの冷戦時代、彼が生まれてからそれまでの世界の歴史を彩った事柄を、若干アメリカ中心ではありますが、並べて歌ったものでした。

今回のグラフは、それらの事件や人物を「ウィキペディアで検索された回数」という観点でグラフにしています。

2019年1月と2014年1月の二つを同時に表示させると、この5年間で検索回数が増えたキーワード・減ったキーワードを見つけることもできます。

それぞれの事件や人物の解説は、ハートにファイア – Wikipedia がやはりわかりやすいでしょう。

ハットピン・パニック – 20世紀初頭の「帽子ピンで痴漢を刺しましょう運動」

安全ピンで痴漢の指を刺すのは正当防衛か過剰防衛か? という話がツイッターで盛り上がっていますが、同様の話がビクトリア朝時代のイギリス、アメリカ、オーストラリア等で100年以上前に発生していたそうです。

credit: Europeana Fashion

ハットピン(hatpin)とはこういうもの。大きな帽子を頭に止めておくために使われた大きなピン。19世紀中頃に、それまでの帽子紐に代わって、女性がより活発に動けるよう登場した長いピンで、大きな帽子を髪にしっかり固定するようになります。

その後、産業化に伴う公共交通機関の発達により、鉄道などで単独で旅行する女性が現れました。と同時に、単独で移動する娼婦以外の女性の扱いを知らなかった男性旅行者たちが、キャットコール、じろじろ見る、触ってくるなどのハラスメントをかましてきたと言います。

image credit: oukas.info

そんな中、帽子にハットピンを使っていた「新しい女性」たちは、ハットピンを武器にして、触ってくる男性に対抗したそうです。

1900年の秋には、(翌年にはアメリカ大統領となる)ニューヨーク知事セオドア・ルーズベルトの街頭演説で、自分だけ良く見ようとガードレールによじ登り視界を遮った男性に対し、「ハットピンで刺しな!」と後ろの女性たちから声が上がり、実際にハットピンで刺して追い払ったというエピソードが残っているのだとか。ルーズベルト知事はこれを「いかに勇敢な男でも、ハットピンを持つ腹の座った女性には立ち向かえない」と称賛したとシカゴ・トリビューン紙が伝えています。

しかし、1910年代になると、間違ってハットピンで刺したり、警官に逮捕されそうな女性がハットピンで逆襲したり、といった報道が増えてきて男性を危険にさらす可能性(女性の実害はさておき)、(現代でも根強く残る)「女性が誘っているのが悪いのでは?」論、などから、米国や豪州、欧州の各都市で規制、たとえばシカゴの「ハットピンの長さは9インチ以内」といったもの、が成立したのだそうです。

そうこうするうちに、大きな帽子自体が次世代の女性ファッション、ボブカットやクロッシェ帽子の流行に取って代わられてしまい、ハットピンが使われなくなったことから、ハットピンによる女性の逆襲も歴史の波に消えて行った、のだとか。

ロマノフ朝の最後と、生き延びた人たちを可視化したタス通信のインタラクティブなまとめ

ロシアのタス通信が公開した、ロマノフ朝についてのインタラクティブな資料サイトです。

1917年のロシア革命で倒された王朝、最後の皇帝とその家族は翌1918年に軟禁先で処刑されてしまいます。これを生き延びたと主張する第4公女がその後何人も現れたりしていて、フィクションでも出てくる話なのですが、親戚まで広げると逃げられた人は何十人もいるわけです。

ここでは、その生き残った人たちが、いつ、どの国・都市へ移動し、何歳まで生きたか、という情報が、地図にプロットされ公開されています。

まず家系図。2代前のアレクサンドル2世の兄弟の家族が網羅されていて、矢印で個別の家族を開閉できます。

グレーが革命当時の物故者。オレンジが革命で死亡した人物、水色が生き延びた人物です。

生年・没年をプロットしたタイムスパン図もあります。

革命当時に難を逃れて、一番最近まで生きていた人がこちら。

イタリア人と結婚・離婚し、子供を連れてウルグアイへ移住、2007年に亡くなられたそうです。

王侯貴族で歴史上の事件に関わったからこそここまで詳細な資料が作られるのでしょうけれど、先祖や親戚に関して個人でもこういった情報がまとめられるとしたら、そして色々なデータが電子的に蓄積されて参照できるようになっていけばそれが簡単にできるようになっていくのではと思いますが、面白いですね。

Phantom Islands – 実は存在しない、とわかって地図から消えた島をまとめた世界地図

Phantom Islandsは、一度は地図に載っていたのに現在の地図からは消えてしまった、存在しなかった島を集めたインタラクティブ地図です。

「嘘の多かった探検家の手記から信じられ、一時は日付変更線がその島にあわせて変更されたりもしていた島」、「アメリカとメキシコの国境策定時に、有利に領海を得ようとメキシコが必死で確認しようとした島」など、それぞれの存在しない島の成立事情は興味深いです。

プトレマイオスの世界地図にあったインド沖のタプロバナ島があるなら、徐福伝説の蓬莱島も有ってもいいのかなと思いますが、あまりに古い時代の情報だと地図上の位置も元々あやふやだし、こういった地図の形に一緒にまとめるのは難しいかもしれないですね。

サイトは音が鳴るようになっていて、選んだ島の様子にあわせたBGMや、鳥や虫の鳴き声や、波や風の音が鳴ります。といっても存在しない島なので本当はそんな音は鳴ってないのですが。

via Maps Mania

超大陸パンゲア上での日本の場所を特定できるサイト

イアン・ウェブスターさん(Ian Webster)の制作したAncient Earth globeは、太古からの地球の大陸移動をブラウザ上で閲覧できるというサイトです。

昔の大陸の地図に、今の国境の線が引かれていて、2億年前の大陸のどの部分が、今どの大陸や島になっているのか、というのを追うことができます。右上の検索ボックスに”Japan”など地名を入れると、今その場所になっている当時の陸地の位置が表示されます。

# 学問的に今までわかっている範囲での予想、であることはもちろんですが

キーボードの左右のカーソルキーで、年代を移動することができて、これで連続で切り替えていくと、大陸がどのようにわかれて、今のような大陸の配置になったのか、が見て取れます。

ウェグナーの指摘した海岸線の形の類似しているところの人には興味深い大陸移動説やパンゲアですが、現在の地名や国名から太古の昔の位置を見ることができると、世界のいろいろな場所の人にとっても興味を喚起することができるかもしれないですね。

via The Verge

ニューヨークタイムズ160+年分の一面を55秒で見せる動画

ニューヨーク、ブルックリンのデータ芸術家(data artist)ジョン・ベグリー氏によるたった55秒の動画は、1852年からの160年以上のニューヨーク・タイムズ紙の一面の変化を圧縮したもの。

5×9の45個並べられた一面が、猛スピードで切り替わっていきます。

最初は字ばかり、たまに図や絵が入るぐらいなのが、3分の1辺りから写真という飛び道具を得て、そこから長い間かけて写真の量も増え、やがて写真があるのが当たり前、となっていきます。

最後まで数秒のところで、カラー写真が登場。これもあっという間に毎日のこととなっていきます。

via Technical.ly Brooklyn

地球45億年の歴史をフットボール場で可視化。人類の登場はどこか

100ヤード(90メートル)のアメリカンフットボール競技場を使って、地球ができてからの歴史を解説するという動画です。

左端のゴールラインを地球誕生の45億年前、右端のゴールラインを現在とします。そうすると1インチ(2.54cm)が約130万年になるんだと。

生命の誕生、光合成、酸素の生成あたりで既にハーフラインまで来てしまいます。

敵陣13ヤード地点(6億年前)あたりから、キノコ類、イソギンチャク、軟体動物が現れ、そこから魚類、陸上の植物、昆虫、サメ、両生類と続き、ゴールまで5ヤードを越えて初めて哺乳類や恐竜が登場します。

我々がテレビや動物園などで見聞きする動物たちの登場は、ほとんどエンドゾーンの近くになります。

人類の登場は? 3:55 頃になります。

フットボール場という良く知る場所を使って、地球の歴史の長さや人類の歴史の短さをうまく表していますね。

1994年アマゾン創業期の人材募集メール

1994年、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が、Usenetのミシガン州の採用に関するニュースグループに投稿した人材募集のメールが残っています。

資金豊富なスタートアップが、インターネット販売の先駆者を助けてくれる非常に才能のある C/C++/Unix 開発者を探しています。巨大で複雑(だが持続可能)なシステムの設計と構築についての経験が必要で、世間で競争力のある人たちが見積もるのの3分の1程度の時間でそれをこなせなければいけません。計算機科学かそれと同等の専攻での学士・修士または博士を持つこと。一流のコミュニケーション能力は必須。webサーバーとHTMLに詳しければなお良いが必須ではありません。

才能があり、自発的で、集中力があり、興味深い同僚たちを期待できます。シアトル地域への引っ越しは覚悟してください(引っ越し代は支払います)。

報酬には会社の相当の持ち分が含まれます。

履歴書とカバーレターをジェフ・ベゾスまで送ってください。

メール: be…@netcom.com
fax: 206/828-0951
US mail: カダブラ社.
10704 N.E. 28th St.
ベルビュー, ワシントン州 98004

私たちは採用において差別を行いません。

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「予測するより作ってしまう方が簡単だ」 – アラン・ケイ
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Well-capitalized start-up seeks extremely talented C/C++/Unix
developers to help pioneer commerce on the Internet. You must have
experience designing and building large and complex (yet maintainable)
systems, and you should be able to do so in about one-third the time
that most competent people think possible. You should have a BS, MS,
or PhD in Computer Science or the equivalent. Top-notch communication
skills are essential. Familiarity with web servers and HTML would be
helpful but is not necessary.
Expect talented, motivated, intense, and interesting co-workers. Must
be willing to relocate to the Seattle area (we will help cover moving
costs).

Your compensation will include meaningful equity ownership.

Send resume and cover letter to Jeff Bezos:

mail: be…@netcom.com
fax: 206/828-0951
US mail: Cadabra, Inc.
10704 N.E. 28th St.
Bellevue, WA 98004

We are an equal opportunity employer.

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“It’s easier to invent the future than to predict it.” — Alan Kay
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“most competent people think possible”の3分の1でやれ、というのは強烈ですね。

Wikipediaによるとアマゾンの前身カダブラ社の創業は1994年7月5日。このメールは1994年の8月22日ですから、会社の形ができて翌月のことです。

ジェフ・ベゾス氏が連絡先として書いている netcom.com ドメインはウェブサイトは無く、Earthlinkという別のプロバイダに転送されます。

まだ今の Amazon の影も形もない時期に、これだけ高い要求を満たせる人でアマゾン社に身を投じた人はどんな人だったのか、今同社の中枢にいる人だったりもするかもしれません。興味ありますね。

via Geek.com

Chronas – Wikipediaの歴史データをインタラクティブな世界地図上にまとめるプロジェクト

Chronas.org では、西暦1年から2000年までの各国の変遷を、グーグル地図風のインタフェースで見ることができます。

chronas-battle-of-arsuf

ウィンドウ下側にある年表上のバーを移動することで、任意の年における国や宗教の勢力図が見られます。

Chronas_Basic_Features

地図上の勢力や、人物、紛争などのアイコンをクリックすると、それに関するWikipediaの内容が表示されます。

他にも、勢力範囲の大きさと人口の変化を見せるチャートなど、

chronas-rulers

データを様々な切り口で表したチャートも多数あります。

chronas-static-view

おおまかな機能解説のビデオがこちら

10月に公開されたこのベータ版は、216名のメンバー(7名のモデレーター候補含む)によって作成されたもので、今後は一般ユーザーがデータを更新して貢献できるようにしていくことも検討されているそうです。

via Maps Mania

中世から現代まで、21万枚の絵画に使われている色の変化をRで可視化したグラフ

過去から現在までの大量の絵画データを使い、「時代の色遣い」があるかどうかを調べようとしたマーティン・ベランダーさん(Martin Bellander)のブログから。

大量の絵画データの取得先は、グーグルのアート・プロジェクトWikiアートなどいくつか候補があったのですが、英BBCのサイト Your Paintings を選んだということです。このBBCのサイトにはイギリスを中心にヨーロッパ絵画が収められていると思われます。

paintings-bbc

21万枚を越える絵画データが閲覧できるということで、Windows上のR言語スクリプトで全絵画ファイルのURLを取得し、そこから、画像ファイル、描かれた年(年代で示されているものは最初の年)、油彩かアクリルかテンペラか混合技法か、などの情報を取得保存しています。

ファイルが壊れているものなどを自動・手動で除去した後で、描かれた年ごとにまとめ、各絵画から100個の点をランダムにサンプリングし、色相・彩度・明度を調べ足しこみます。

colors-history-of-paintings

グラフの左側にある白い部分は、その年代の絵画が無かったからですね。全体的に、絵画に使われている色の多くが赤・オレンジ・黄色で占められているというのがわかります。

また、20世紀に入ってから青や緑の量が増えていることがわかります。これについてもベランダーさんは考察し、いくつか仮説を立てています。

  • 「青」という色や名前が他の色と比べ新しい概念・認識である(Business Insiderの記事)
  • (グラフでカウントしてない)暗い色・黒を、青として取ってしまっている
  • 古い絵画ほど、経年変化で青色の樹脂が失われている
  • 昔は青い絵の具が高価だったが安くなって使われるようになった

他にも、全体的な絵画界の流行としてそうなった要素もあるかもしれませんね。どれも決め手というほどの理由でもなさそうで、コメント欄では議論が続いています。

コメント欄では1914年からの映画ポスターの色を分析したという2012の記事も紹介されていて、絵画だけでなく、20世紀は青色の利用が増えた時代と言えるかもしれません。

via Flowing Data