研究

Plurality

みんなが“聖徳太子”になれる社会を
― AIブロードリスニングで支える Plurality 民主主義

Plurality は、AIと自然言語処理を活用して数万規模の市民意見を自動的にクラスタリング・要約し、従来は難しかった大規模な熟議を可能にする研究領域です。SNS時代には情報の洪水の中で少数意見が埋もれやすく、また分断や不信が深まることで政治参加が停滞し、政策立案の透明性も不足しています。Plurality は「AIブロードリスニング」によって多様な声を抽出・可視化し、合意形成を補助することで、こうした社会的課題に挑みます。

この研究は、2023年に Plurality Tokyo を通じて “broadcast/broad-listening” の対比概念に着目したことをきっかけに始まりました。その後、学会誌への寄稿や講演を経て問題意識を共有し、ツール開発へと展開しています。現在は、行政や政党の現場における運用フローの整備に取り組んでいます。

私たちが目指す未来は、「誰もが政策形成にリアルタイムで貢献し、自らの声の行方を追跡できる民主主義」です。Plurality の理念を日本社会の実務に根付かせ、分断を“つむぎ直す”協働のプラットフォームを実現したいと考えています。最終的には、日本語圏で確立した手法やオープンソースソフトウェアを世界各都市がローカル言語で導入できるようにし、チームワークあふれる社会に近づけることを目標としています。

Pluralityとは

PluralityはAudrey TangとGlen Weylたちが提唱している概念です。2024-07-26にサイボウズのオフィスに来訪いただいた時の会話を紹介します。

Audrey : 私たちは「Plurality」という言葉を作り出しました。「包括的多様性(inclusive diversity)」や「デジタル民主主義」と呼ぶ代わりに。なぜなら、これらの用語には既に特定の分野での色が付いているからです。例えば、Pluralityのことを「デジタル民主主義」と言ったら、Pluralityが職場で適用できるにもかかわらず、人々は電子投票機を思い浮かべます。「包括的多様性」と言うと、人々はすぐに性別や人種などのことを考えます。それももちろん違いの重要な部分ですが、この高度な調整技術の主な焦点ではありません。

だからこそ、他の言葉と同様に、我々が表現したいことを表現するにはたくさんの形容詞が必要です。しかし、形容詞が多すぎると、言葉が長くなりすぎて誰も聞いてくれなくなります。グレンが試みた「多中心的集団主義(polycentric collectivism)」などもありますが、これは音節が多すぎてさらにコミュニケーションが難しくなります。

Glen: 「Plurality」という言葉よりも、この重なり合った混合の方が優れています。