Ajax Office じゃない何かを目指すべき

OpenOfficeの発展が意味するものを読んで。

Ajax で MS Office の完全再現は無理だし意味もないだろう、という話は僕も書いたけど、それよりもずっと先を見た考察がされていてたいへん参考になった。まさに、Dave さんの書かれているような製品/サービスがいずれは来るだろうし、(Ajax Office じゃなくて)それを作ったところが抜きん出た立場に立つことになるのではと思う。大事なのはワードやエクセルそのものではなくて、ほんとうに解決すべき問題は何か、ということなのだ。

Ajax Office の話で感じていた違和感を他の話でたとえるなら、以前、オンラインの判子システムを見たときの違和感に近いものがある。

# いまだにそういう製品に携わっている人がいて、非難されていると思われたら申し訳ない。が、個人の意見として書かせていただく。

昔どこかの展示会で見たとあるシステムは、オンラインで回ってきたワークフローに「印影が押せる」ことが売りとなっていた。上司が承認をすると、ブラウザで表示された稟議書の一角にあるボックスに、赤いハンコマークの画像がつく、というものだ。そのハンコを押せるのは、権限を持っている役職者だけで、現実社会と同様、「部下にハンコを預けて代理で押させる」機能も考慮されていた。

今、Web1.5 から Web2.0 といわれるサービスに慣れてきている身で考えれば、こんな形でハンコをシステム化することには意味が無いように思う。ブラウザ上の画面に赤い印影をつけることは、どう考えたって仕事の本質ではない。しかし、こういうシステムを開発しているところも何社もあり、こんなシステムがほしいと要求している顧客もそれに数倍して存在するのかもしれない。

MS Office の操作性を Ajax でブラウザにそのまま持ってこようという試みは、上記のようなハンコシステムと同じ間違いなのではないだろうか。そんな製品が仮に出たとしても、Dave さんが予見されるようなシステムが登場し、大ヒットとなった頃には、ああそんな製品もあったね、と笑い話になってしまっているのではないだろうか。

# 書いた後で検索してみたが、最近の電子印影システムには、電子証明とリンクさせて、印影があることは証明されていることだ、というところまでやっているものもあるようだ。であれば、どうしてもハンコのメタファーがないと仕事にならない組織では意味はあるのかもしれない。が、しかし、うーむ。やっぱりそういう仕様を要求してしまうことには疑問を感じてしまう。