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Swift MailerがsymfonyのFabien Potencierさんに移管され、ライセンスがLGPLであることが確認されました

d11wtq: Just finished 3 hour and 15 mins IRC chat with Fabien Potencier. Swift Mailer now handed over, though […]

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d11wtq: Just finished 3 hour and 15 mins IRC chat with Fabien Potencier. Swift Mailer now handed over, though I’m still involved at this point.
d11wtq: Fabien Potencierさんとの3時間15分のIRCチャットを終えました。私もまだ関わっていますが、Swift Mailerはここに移管されました。

先日のPHPカンファレンスに合わせた来日時に話は伺っていたのですが、PHP5用のメールライブラリとして有名なSwift Mailerが、オリジナル作者のChris CorbynさんからFabien Potencier(ファビアン・プートンシェ)さんに移管されました。Fabien Potencierさん、つまりSymfonyプロジェクトのリーダーですね。
Swift Mailer(スウィフトメーラー)は、PHP5ベースでオブジェクト指向的に書かれたメールライブラリで、symfonyのチュートリアルでもメール送信を行う際に使うライブラリとして使われています。
プロジェクトページのトップには、引き継ぎについての案内が短く載っています。

As of September 13, 2009, SwiftMailer has a new project manager, Fabien Potencier. This takeover have been discussed between Chris Corbyn, the current lead of the project, and the main developers behind SwiftMailer. Everything is now in place to keep the project moving forward.
2009年9月13日づけで、SwiftMailerは新しいプロジェクトマネージャーFabien Potencierを迎えました。この移管は現在のプロジェクトリードChris CorbynとSwiftMailerの主要開発者達の間で相談されてきました。プロジェクトを前進させるためのすべての体制が整いました。

移行はオーストラリアのChrisさんとフランスのFabienさんの間でIRCによる3時間半の会談で行われていて、ログを見ることができます。オープンソースプロジェクトの移管を英語で行う実例を読めるので、よい勉強になるかと思います。
前半のドメインやサーバ、リポジトリの移管といった話から、後半はなぜ今のような実装になっているのか、実装方法について疑問があるところなどが議論されています。それにしても社長兼プログラマーで多忙なのに、良く働く人です。
最後の方では、開発者の一人Xavierさんに対して、日本語固有の問題点があるのでは、という質問をしてくれています。(Shift-JISはまあ検討はずれですが、それはしょうがないでしょう)

Swift MailerのライセンスはLGPL! GPLではありません

FabienさんはSwift Mailerと日本語の問題、日本独自のメール仕様に関する問題などについては、今回の来日で多くのPHPユーザーからさんざん聞かされているので、移管後さっそく「日本での問題もすべて解決したいので、問題点についてすべて知りたい。まとめるか、詳しい人を紹介してほしい」というメールをいただきました。これについては別途記事を立てて情報を集めたいと思います。
IRCチャットの冒頭で、FabienさんがChrisさんに対してライセンス問題を明らかにしています。Swift Mailerではバージョン3からバージョン4になったときに、GPLライセンスの文書も同梱されるようになったため、LGPLからGPLになったのではないか、と考える企業や個人がでてきて、それが原因で利用を諦めた、とブログ等に書かれる方もちらほら出ていました。
今回Fabienさんとの質疑で、Chrisさんとしては「LGPLのコードを配布する際に、GPLライセンスの文書も入れないといけない」と思っていたということ(これの真偽はわかりません)で、Swift Mailerのコードは過去も今も、ずっとLGPLのままだ、というのが明言されました。
symfonyのコアはLGPLより緩いMITライセンスですが、symfonyのようにメールライブラリをプラグインとして利用する形であれば、Swift MailerがLGPLであれば特に問題は起こらないのではと思います。

移管の影響

symfonyとの親和性が良くなるのはもちろんですが、symfonyはバージョン2でコンポーネントの切り分けを強く意識しており、Swift Mailerがsymfonyと依存しあうような形になることは決してないだろうと思います。あくまでFabien Potencierさん個人としてプロジェクトを引き受けたようですし。
PHP5のクラス等をつかって書かれたクリーンでわかりやすい/拡張しやすいメールライブラリは、symfonyユーザに限らず需要の高いところではないかと思います。今回の来日でFabienさんに強く感じてもらえたことの一つが、日本のsymfony企業が個別にメールの送受信部分に手を入れたり、古いライブラリを改造して使っていたりしてメールまわりの開発効率が良くない、という点だったので、Swift Mailerがパッケージのままで日本でも問題なく使えるように、お手伝いしていきたいと思っています。