ダークパターン - ユーザーを騙そうとする悪いウェブデザインに名前をつけて共有するサイト
DarkPatterns.orgは、Webデザインを悪用するブラックハット・デザインを無くすことを目的に、わざわざ分かりにくかったり、望んでいないこと実行させるようなデザイン要素に共通の名前(パターン)をつけ、それを使っている不良サイト・企業に文句をつけるための新しいサイトです。
たとえば、パターン「買い物かごに忍び込ませる(Sneak into basket)」パターン。これは、ユーザーが入れていない商品がいつのまにかショッピングカートに紛れ込むようにデザインされているフォームのパターンです。 例として、旅行予約サイト大手のTravelocityで、ホテルや飛行機のチケットを購入した確認画面のフォームの中に、旅行携行品保険の購入チェックボックスがデフォルト「はい」で追加されている、などといった例が載っています。
$19.95という額はチケットに比べて安いため、人によってはその保険を買ったことに気づかないまま支払いをすることもありそうです。
単に使いにくいデザインは「バッド・パターン」ですが、それは怠惰や間違いによって引き起こされます。それらは「デザインのアンチ・パターン」として知られています。「ダーク・パターン」は、間違いでは無く、人間の心理を深く理解した上で作成され、作者はユーザーの利益になるかどうかは気にしていません。
サイトでは、これまで掲示板で寄せられたダーク・パターンが、既にかなりの量公開されています。
これからもっと良い名前が出てきて変わる可能性もありますが、今メニューに並んでいるダーク・パターンは以下。
- ごきぶりパターン(Roach Motel) - 登録は簡単だけど解約がものすごく面倒
- 撒き餌とスイッチ(Bait and Switch) - ユーザーがそれしかできない状況にしておいて、選んだらまったく違うことが起こる
- 買い物かごに忍び込ませる(Sneak into basket)
- 静かなクレジットカード入会(Silent credit card roll-over) - 無料の入会時にカード情報を聞いておいて、期限後に自動的に有料プランへ
- 見つかりにくいひっかけ質問(Anti-scan trick questions) - ユーザーに何かを選ばせているが、そこでは実際に別の隠れた事も選択させている
- 隠れたコスト(Hidden costs) - 支払いの最終段階で、検索結果等に出てなかった追加料金が上乗せされる
- プライバシー・ザッカーリング(Privacy Zuckering) - ザッカーリングはFacebook CEOザッカーバーグ氏の名前からの造語。プライバシーの設定画面で、業界用語を混ぜ込んでユーザーが望む以上の情報を公開状態にする
- 価格での比較を妨害(Price Comparison Prevention) - 価格で並べる機能をつけず、価格は日付や場所等を選択した後の詳細ページでしか出なくする
- 広告に見えない広告(Disguised Ads) - 例: 「ダウンロード」と書いてあるボタンは全部広告で、書いてないボタンがダウンロード、なダウンロードサイトdownload.com
- 友人スパム(Friend Spam) - Twitterや無料メールのパスワードを聞き、あなたの友人に勧誘メールを送りつける
- 強制情報公開(Forced Information Disclosure) - サービスに関係のない個人的すぎる質問に答えないと先へ進めなくする
毎日ウェブを使っている人なら、上記のようなデザインはどこかで見たことがあるかと思います。元のデザインパターンと同じで、「名づけることで知識を共有しやすくする」というのは素晴らしいですね。この試みがうまくいってほしいと思いますし、その結果としてそういうウェブデザイン・UIデザインをする企業が減ってくれればいいなあと。
via Darkpatterns.org: naming and shaming sites that use black hat, anti-usability design patterns.
[2018-04-04 追記] ダークパターンに関する記事「悪のUIデザイン、ダークパターンの実例を見せる動画」を書きました。