世界のソーシャルネットワーク勢力図が更新(2010冬版)

イタリアのソーシャルメディア評論家Vincenzo Cosenzaさんによる、世界のSNS事業者の国別のシェアを表した地図の新版が発行されました。 Worldmapofsocialnetworks201012 この地図は、毎年6月と12月に、AlexaとGoogle Trends for Websitesの数字を使って世界各国の1位のSNSを算定し、サービスごとに色を塗ることで作成されています。半年前の時もご紹介しました。 前回の地図では、131ヶ国中111ヶ国でフェイスブックが首位となりましたが、半年経った今回は、132ヶ国中の115ヶ国がフェイスブック1位の国となったようです。新たにフェイスブックに加えられた4ヶ国は、

  • ハンガリー: Iwiwから奪取
  • ポーランド: Nasza-Klasaから
  • モンゴル: Hi5から
  • パラグアイ: Orkutから

ということで、東欧などこれまでFacebookが広がってきた領域の境界にある小国での変化があった、と言えると思います。アルメニア・グルジア・オランダでは、Alexaでの結果とGoogleでの結果が異なったということで、半年後はFacebookの版図となっているのかもしれません。 Facebookがあまり強くない大国、ロシア・中国・日本・ブラジル等では、前回と同じプレイヤーが首位を守っています。 ということでこの半年の変化はそれほど大きくなかったと言えるでしょうけれど、2009年6月の最初の地図と比べると、地図に表示されるソーシャルネットワークの数も減り、Facebookの青色がだいぶ多くなってきたと言えます。 Worldmapofsocialnetworks200906

日本一のSNSはアメーバ?

作者のVincenzoさんとは前から情報交換でメールのやりとりをしてたのですが、今回「新しいのができたよ」とメールを貰った時には、地図の日本のところは"Ameba"となり、Amebaの黄緑色で塗られていました。 Worldmapofsocialnetworks201012first この地図、毎回発表のたびに話題になりますし、今回もすぐにTechCrunchMashableなどの超有名ブログでも記事になっていたのですが、彼らの引用した地図はまだその古いものになっていて、訂正は入っていません。 そこで、彼とメールでやりとりをして、どうしてAmebaを日本のトップSNSと決めたかを聞き、こちらからも関連する情報を提供しました。以下その際のやりとりの抜粋。 Akky : 日本の1位がアメーバとなってますが、これは正しくない可能性があります。どこで入手したデータですか? Ameba自身はソーシャルネットワークというよりポータル/ブログホスティングのブランドで、この7月のユーザー数は1000万人です。Amebaの下のPiggはアバターSNSですが、ユーザー数は500万人です。現在のNo.1はグリーで、2100万人を超えています。こういう新聞のソースもあります。著者は私ですが(笑) Vincenzo: 地図はユーザー数ではなく訪問者ベースです。日本のデータはAlexaのここと、Google Trends for Websitesのここからのもの。(英語の)ウィキペディアにはAmebaはソーシャルネットワークサービスだと書いてあります。 Akky: 日本の1位と2位はグリーとモバゲータウンですが、彼らのトラフィックの99%・100%はモバイルからで、Alexaはそれらを捕捉できません。その英語のウィキペディアはあまり正確ではないと思います。日本のウィキペディアではアメーバのところに「ソーシャル」という単語は一切出てきません。「コミュニケーションサービス」となっています。ameba.jpドメインの下にはニュースやブログ等も含まれているので、そのドメインをAlexaで見るのは、Bloggers.comやYouTubeのトラフィックを含めてGoogleをSNS一位だ、と言うようなものになります。 Vincenzo: わかりました。それらの情報をあなたのコメントつきで更新します Akky: Alexaをもう一度見たら、Ameba.jpは日本16位で、Mixiの11位よりも下ですね。6位のAmeblo.jpと間違えたということはないですか? そっちはBloggersのようなブログホスティングサービスです。どちらも同じCyberAgent社のドメインですが。 Vincenzo: 結局、トラフィック1位はMixiで、ユーザー数一位ならグリーと言うことですか? Akky: あなたのメソッドではMixiが1位になるべきです。グリーやモバゲータウンのトラフィックはその二つの方法では計測できませんから。でももし計測できたら、グリーやモバゲータウンのトラフィックの方がたぶん多いでしょう。彼ら自身の業績発表に出てくるPVではそうなっています。 というやり取りがあり、すぐに日本の部分を修正してくださいました。あちらは132ヶ国とか扱っているのでその中の一国分に過ぎませんが、面倒なツッコミにもちゃんと対応していただき、非常にありがたいです。 また、この件は、世界の違う国の情報を同じ基準で比較するのがいかに難しいか、という事のよい例だともいえますね。Alexaで出てくるグリーのトラフィックは、グリー全体からみると1%分でしかない(99%がモバイル版と発表されています)のですが、そんなことは海外の人にはわかりません。また、日本のソーシャルネットワークは携帯ウェブを中心に回っていることや、携帯ウェブのアクセスを第三者が測定するのは、ブラウザの機能等からとても難しく、海外で英語で運営しているAlexaなどではまったく存在が見えてこないことなども、見えにくいところでしょう。 逆に、こちらから見ても、国によってはAlexaやGoogle Trendsでは変な値しか出てきていない国がある可能性も十分あるでしょう。日本のように携帯ウェブが大きくなっていて見えてないところも他にあるのかもしれませんし。スマートフォンに関してはPCのウェブと同じ方法で情報が取れているケースも多いでしょうから、日本の事情が本当に変わっているという可能性もありますが。 難しいといえば、Amebaがソーシャルネットかどうかも本当は難しいところですけどね。Piggやなうはどうみてもソーシャルネットなので、Alexa/Google Trends for Websitesでそこだけ測定できるなら、その部分はカウントするべきでしょうし、ニュースが含まれるという意味では、日本の3大SNSも内部でニュースを提供しているのでその部分はポータルっぽく、Facebookとまったく同じようには比較できません。