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ネットの事件

仮想通貨ICOに絡んだ「テッククランチ共同創業者」の肩書に創業者が反論

マイケル・アーリントン氏(Michael Arrington)といえば、ほぼ個人ブログに近い形からシリコンバレー中心に最新の起業や新サービス情報を提供するIT業界ブログ TechCrunch を大ヒットさせ、業界を動かす […]

マイケル・アーリントン氏(Michael Arrington)といえば、ほぼ個人ブログに近い形からシリコンバレー中心に最新の起業や新サービス情報を提供するIT業界ブログ TechCrunch を大ヒットさせ、業界を動かすほどの影響力を持つようになった伝説のブロガーです。TechCrunch はその日本版も多くの読者を抱えていて、本家の記事が翻訳されることもあるので読んだことがある人は多いのではないでしょうか。

2010年には TechCrunch をAOLに売却、2011年には編集長を退任してその後はたまに記事を書くぐらいの関係のようですが、「あの TechCrunch を創り上げた人物」ということで今でも業界の重鎮と言って良いでしょう。

そんな彼が最近個人ブログで筆致も激しく書いたのが、「TechCrunch共同創業者」を名乗る人物への不満でした。

「TechCrunch の本当の歴史」と題した記事の中で、アーリントン氏はキース・ティアー氏(Keith Teare)が「やり過ぎた」と述べています。

ティアー氏が最近講演や他社の相談役として露出するにあたって「共同創業者」を名乗っているが、これは事実ではない、というのが氏の主張です。

  • 私は2005年6月にTechCrunchを始めた時、ティアー氏の出資したEdgeioという別の会社で共に働いていた
  • TechCrunch のアイデアを思いつき助けを求めたが、時間の無駄だと却下された
  • WordPressで始めたTechCrunchの急伸を見て良く自分の家やオフ会に来るようになったが、記事を書いてくれることも金を出すこともなかった
  • 6か月後、Edgeioの出資率を基に「TechCrunchの75%は私の物だ」と主張
  • 拒絶しTechCrunchを止める寸前まで行ったところで、TechCrunchの10%を渡すことに合意
  • その後もアーリントン氏がいないところで共同創業者を名乗ったり講演に呼ばれたりしていたが、忙しいのもあり放置した

ということで、その後もずっと黙認に近い形で放置していたのですが、最近になって「TechCrunch共同創業者」の肩書を使って暗号通貨の世界で活発に活動しだし、TechCrunch「唯一の創業者」の自分と間違ってか自分にも連絡や問い合わせが来出したことで、はっきりとした否定をしておこう、という事になったそうです。

「聞いたこともないようないくつかのICO」「ご存知のようにこの一年間、米証券取引委員会SECがこれらICOを監視している」といった表現から、アーリントン氏がICOに対してどういうスタンスかは明らかで、そこに自分が(自分だけが)作り上げたTechCrunch の名前が利用されるのが我慢ならなかった、ということでしょうね。

ティアー氏にはティアー氏の言い分があるでしょうし、前述された10%の持ち分の件やTechCrunch の記事の中にさえ彼を共同創業者と書いたものもあるので、まったく無関係とは言えないのかもしれません。しかし、初期からTechCrunch を読んでいれば、「何も手伝ってない」というアーリントン氏の主張も本当なのではという気もします。