Android アプリ制作の推奨プログラミング言語 Kotlin を開発し、開発環境ツール JetBrains IDEA で有名な JetBrains 社が twitter で今回のロシアによるウクライナ侵攻を批難する声明を発表しました。
As JetBrains we condemn the attacks taking place. Our hearts are with the Ukrainian people, including our own colleagues and their families.
— JetBrains (@jetbrains) February 24, 2022
「JetBrains は今起こっている攻撃を批難します。私たちの同僚やその家族を含むウクライナの人々によりそうものです。」
JetBrains の本社はチェコの首都プラハにありますが、CEO を始め主要な役員はロシア人、6つの開発拠点のうち3つはロシア国内(モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、ノボシビルスク)に存在します。
特にサンクト・ペテルブルグの開発拠点は巨大なもので、販売・流通中心に50名強しか社員のいないプラハ本社と比べても、実質的にはロシア国内に大きくリソースを持った企業と言えるでしょう。Kotlin の言語名も、サンクト・ペテルブルグの沖合にあるロシアの島の名前からきています。
それだけにいち早くこの声明を出したことは驚かれてもいます。
JetBrains 社は昨年、米国SolarWinds社によるアメリカ政府の情報流出の原因となった疑いを掛けられた経緯があり、他のアプリを開発する際にスパイコード等を注入できるのではという懸念を持たれたこと自体で(実際のはっきりした証拠は出ていなくても)損害が発生しているとみられます。ロシアと結び付けられることで既存ユーザーが離れたり、新規ユーザーの獲得で競合他社に押されたりするのは避けたいところでしょう。
声明のツイートも、よく見れば慎重に言葉遣いが選ばれている感がありますね。「この攻撃」が誰の攻撃かは言っていませんし、「ウクライナの人々」もどの立場のウクライナ人かはわかりません。ロシア政府から追及された時は政府の主張に沿った形で言ったと言い逃れすることもできそうです。まあでもこれ以上は難しいのかもしれません。