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ChatGPT で文面を書き換えることで Gmail のスパム(誤)判定を突破する

Tor ノードの運営者が Tor の濫用に関する苦情メールに返答する際に使うテンプレート文面でメールを送ろうとしたとき、Gmail のスパムフィルタにスパム認定されてしまったそうです。

この運営者は ChatGPT を使ってメール文を書き換えさせると、Gmail がスパムと判定しなくなったのでめでたしめでたし、という話。

書き換えてください(reword)で実際にどんな細かな指定をしたのかは書いていないのですが、少し長くなった文章でメールを送り直すと、こんどはスパム認定されなかった。今後はスパム認定されるたびに ChatGPT に書き換えさせようかな、と言っています。

今回はスパムでないメールを通すための正当な ChatGPT の利用でしたが、スパマーがスパムフィルタをかいくぐるために ChatGPT やそれに類する機械学習ツールを使うことは容易に予想できますし、すでにそれは行われているのかもしれないですね。便利なツールを使いたい人は善悪に関わらずいるわけで。

via Hacker News

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技術

リクルートメールにGPT-3を使って自動返信する

転職エージェントや企業が送ってくる(スパムに近い)スカウトメールに対してOpenAI の GPT-3 API を使って自動応答をさせる方法を教えてくれるマット・ビリューさんのブログ記事がありました。

転職に興味が無いなら無視してもよいでしょうが、ビリューさんは3つの理由から返事はしたいと考えたそうです。

  1. それが礼儀正しいから
  2. 無視しても相手は何度もフォローアップのメールを送ってくるから
  3. いつか求職する時のために関係を維持することには興味があるから

2番はあるあるですね。リクルーター側も自動化されていると思いますが、〇日後、△日後に「先日メールを送りましたが、その後…」みたいなメールを送ってこられることはよくあります。

それで短文の「今は職を探してないけどあなたのことは覚えておくよ」的な返事をするのですが、これも手動は面倒なので、自動化したいと考えたそう。そして、一律の固定文面ではなく相手に応じたパーソナライズをしようとした時に、ルールベースでリクルーターの所属と名前を取り出すよりも、機械学習による処理を考えたと。

Python のソースコードが公開されているのですが、OpenAI の GPT-3 API を使って、相手の文面から企業名と相手の名前を抽出させ、返信のテンプレートにその社名と名前を埋め込んで返答を作っています。

メールがリクルートメールなのかその他の一般のメールなのかの分類はこのスクリプトでは行わず、メールサービスの方の機能で分類しフォルダに分けているようです。サンプルの環境変数ではFastmailの名前がありますね。これを IMAP でアクセスしフォルダ内のメールに自動応答をかけています。

スクリプト中ではサンプルのメール文面から”Apple”社の”Steve”さんを抜き出しています。OpenAI で実際にsummarize させてみると、ちゃんと取れてます。

英語のリクルートメールから送信者の名前と社名を抽出する on OpenAI の Playground

これは楽ですね。日本語だとどうなのかなと、適当な文面を作って(元ネタはいっぱいありますし)食わせると、これも取れるようです。

GPT-3 の話でよく見るのはテキストの自動生成だったので、こういう要素の抽出にも簡単に使えると知れたのは良かったです。

リクルートメールの方もどうせ自動化されまくっているので、この先はお互いが自動生成のメールを送りあって関係性を保つみたいなことになるのでしょうか。

[追記] Hacker Newsのトップにも出ました。

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ネットのマーケティング

英文メールの結び方、Sincerely より返事が来やすいのは何か?

英文メールの末尾につける結び、みなさんは何をよく使われるでしょう。僕はだいたい “Best Regards”, “Best”、相手によっては “Cheers”なんかも気分で使い分けています。

電子メールの生産性改善ツールを提供する Boomerang 社の公式ブログで返答が得られやすい(英文)メールの結びかたを紹介しています。

20個のメーリングリストで流れた35万通のメールのやりとりを解析して、アドバイスや助言を求めているメールに対して、どのような結びの時にどれぐらい応答メールがあったかという割合を取得し、ランク付けしています。

全メールでの返答率が 47.5% 、つまり半分も返事をしてくれる人がいないのが普通という中で、トップの “thanks in advance” は 65.7% 、3分の2ほどの返答率を誇るということです。”thanks in advance” はまあ、直訳ではありませんが「よろしくお願いします」みたいなものですよね。

他にも、”thanks”, “thank you”など感謝を示す系の反応が高いということ。まだ回答はもらえていない状態でも、先に謝意を示すと返事が来やすくなる、と言えるのでしょう。

Boomerang's most effective email closing
反応の良かった英文メールの結び方ランキング by Boomerang社

Jupyter Notebook による解析コードも公開されているので、自分が参加しているメーリングリストのデータで確かめることもできるでしょう。ランキング上位として出た以外の結びの言葉のバリエーションも取れていて、あまり使われない変わった結語を探すのも面白いかもしれません。

20個のメーリングリストをざっと見ると、どれもIT技術系のメーリングリストだったので、一般的なメーリングリストや別のジャンルのメーリングリストでは、結語によって応答の良さは変わってきたりするのかもしれないですね。