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バグ

Apple製品でだけ違う表示にできる PNG ファイル

PNG Parser Differential では、Apple のデバイスでだけ異なって表示される不思議な PNG ファイルが公開されています。

Windows + Chrome で見た同ページ

iPad + Safari で見た全く同じページ (Chrome でも同じ)

PNG の表示結果がまったく違い、”Hello World” が “Hello Apple” になっています。不思議ですね。

デビット・ブキャナン氏(David Buchanan)は、マルチスレッド対応のPNGデコーダを自作しようとしている時に、自分が作りこんだバグに気づいたということ。それは、一つのPNGファイルを分割してそれぞれを個別にzlibでデコードしたものを単純に結合しても、必ずしも元の画像に戻らないことに起因するバグだでした。リンク先には PoC のコードがあります。

もし分割の前半部分が非圧縮ブロックの途中であった場合に、単純結合では本来の画像が復元されないという問題が起こるそうなのですが、そうすると PNG を小分けにしてデコードしようとしない限りこのバグを作りこむことはなさそうです。

そして、この問題をさらに調べたブキャナン氏は Apple のデコーダーにも同じバグがあるらしいと気づいたわけですね。Apple のデコーダはマルチスレッドで PNG データを分割デコードしているようです。おそらくパフォーマンスを稼ぐため。そこには iDOT というApple 独自のチャンクタイプも絡んでくるらしいのですが、とにかく、前記のような条件を満たす PNG を人工的に作ることで、Apple デバイス上のレンダリングでは違う解釈をさせることができるというのが、冒頭の不思議な PNG ファイルというわけです。

そのうち修正されるのだろうとは思いますが、これまでもバグを指摘していた人たちはいるようです。このバグをわざと使って何かする人とかでてきますかね。

via Hacker News

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ネットの事件

「サルたちの狂宴」筆者が書籍中の差別的発言で最近入社したAppleから解雇される

シリコンバレーでのネット広告スタートアップの起業・売却と、合流先のフェイスブックでのマネージャーとしての奮闘を描いた2016年の書籍 Chaos Monkey (邦題: サルたちの狂宴)の筆者 アントニオ・ガルシア・マルティネス氏についての炎上事件です。

日本語版も出ていて、シリコンバレーのスタートアップの人たちがどんな考えでどんな暮らしをして 出版時はそれなりに話題になったと思います。

今回の炎上はリアルタイムの発言ではなく、このベストセラーの中の文章に対して起こったものです。

SNSでいちばん出回った書籍のスクリーンショットはこの部分、

「ベイエリアの女たちは多くがやわで意思が弱く、甘やかされていて、世の中をわかっているといいながら本当のところ世間を知らない。基本的にたわごとばかりだと言っていい、」

“Most women in the Bay Area are soft and weak, cosseted and naïve despite their claims of worldliness, and generally full of shit,”

「自己愛的な権利としてフェミニズムをまとい自立した自分を絶えず誇示する一方で、実際のところ、たとえば疫病が流行したり外国に攻め込まれたりすればまさに役立たずのお荷物になって、散弾銃の弾やら燃料の入った容器やらと交換するために差し出されるのがオチだ。」

“They have their self-regarding entitlement feminism, and ceaselessly vaunt their independence, but the reality is, come the epidemic plague or foreign invasion, they’d become precisely the sort of useless baggage you’d trade for a box of shotgun shells or a jerry can of diesel.”

なるほど。こんなこと書いてたんですね。読んだはずなんだけど覚えてない。全体的に露悪的でくだけた感じぐらいには思ったかもしれませんが。

指摘されたあとにじっくり読んでみると、揶揄されている女性の立場であれば間違いなく不快に思う文章だなとは思うわけですが、何も考えずに先へ読み進めた自分にもこういう物言いを許容してしまう部分が有ったのかもしれません。

表現は自由ですから、このような女性蔑視、女性差別的な文章を書いて出版することだけで大問題になることはないかと思います。書いたものに批判されることも、レビューに書かれることもあるでしょう。実際に発売後にこういったトーンが書籍中にあふれていることを批判したブログなどもあったようです。

ただ今回これが炎上してしまったのは、この4月にアップル社が著者のマルティネス氏を「わざわざ」招聘したことが原因のようです。

マルティネス氏のこの著書内でのものの見方に対して、アップル社の中で情報共有のメッセージが還流し、多様性(ダイバーシティー)と包摂(インクルージョン)を唱えるアップル社の方針に反して氏が採用された原因の追究を求めた請願がまとめられ、そこには2000人以上の社員が署名したということ。

結局アップル社はマルティネス氏を解雇するに至るのですが、この騒動をレポートし続けていたThe Verge へ以下のようにコメントしています。

「アップルでは、包括的ですべての人が敬意をもって受け入れられる職場を作り上げるために常に努力しています。人々を貶めたり差別したりする振る舞いが存在する余地はありません」

“At Apple, we have always strived to create an inclusive, welcoming workplace where everyone is respected and accepted. Behavior that demeans or discriminates against people for who they are has no place here.”

氏がアップル社で新たに果たそうとしていた職務についてははっきりわからないのですが、ベストセラーでありシリコンバレー界隈では特に読まれたであろう書籍ですから、アップル社内で氏を招聘しようとした人たちが氏の姿勢について知らなかったとは考えにくいようです。それを特に問題視していなかったか、問題を上回る能力を期待してのことか、あるいはその両方か。

via The Verge, Independent, Jezebel

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ネットの事件

公式で星3以上のレビューをするまで使えないiPhoneアプリが登場(そして発禁)

プロアップストア評論家(そんなのあるの)のコスタ・エレフセリオさん(Kosta Eleftheriou)がツイッターで報告した UPNP Xtreme という iPhone アプリのすごい挙動がこれ。

App Store のレビューダイアログが出ますが、

  • 「後で評価」をタップしてもダイアログは閉まりません
  • 星を3つ以上つけると、”Submit”ボタンが有効になりレビュー投稿されます
  • 星1,2個はタップできず、Submitもキャンセルも効きません

つまり、星3個以上のレビューを投稿しない限り、先へ進めない=アプリを使えないということ。

UPNP Xtreme は、DLNA や UPNP に対応したスマートテレビにiOS 上の動画コンテンツをストリームで送るアプリだそうで、エレフセリオ氏によると7000近いレビューを受け、1500万ダウンロードを誇っていたそう。氏のツイッター上での告発の後にアプリは公式アプリストアから取り下げられたそうですが、このようなインチキを通しているアプリは他にも多数あるのだとか。

こちらのユーザーの解析によれば、このアプリは iOS のレビューダイアログを呼び出した後、ダイアログが可視になるのを監視し、キャンセルボタンや星1-2の部品上に別の何かを置くことでタップできないようにしているようだ、とのこと。

タイミングによってはすり抜けられるようで、星1つでこの不正について報告していたレビューもあったようです。この人はタップではなくドラッグを使って星1つでSubmitできることをデモしています。

多くの利用者は良いレビューをしないと使えないことから、レビューして先へ進んでいたのでしょうね。そしてレビューの数も多く平均点も良い(そりゃそうだ)ことから、さらにダウンロード数が増え、また良いレビューが増える、と。

エレフセリオ氏は、アプリストアは信頼できる場所ではないし、常に用心深くする必要がある、と警告しています。

公式アプリストアへの怒りから開発者が不正ハンターに

The Vergeによれば、エレフセリオ氏がプロのアプリストア評論家となって日夜このような不正を告発し続けるようになったのは、ご本人のAppleウォッチ用キー入力アプリ FlickType に関して、後発のとんでもなく高価な、しかし出来は良くない競合アプリがフェイクの星5レビューを連発して彼のFlickType を抜き去っていったことがきっかけだそうです。

氏はこれまで100以上のこういった不正アプリをアプリストアからの撤去に追い込んだそうなのですが、アプリストアの運営者として手数料を取りながら不正レビューの取り締まりに本腰を入れることなくもっと多くの不正を放置している、と今年初めに Apple を訴えてもいるそうです。

via Hacker News