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ネットの事件

自動化スクリプトで営業員に52時間分の研修をパスさせていたスタートアップ Zenefits

[追記 2016-02-27] 不祥事を受けて交替した新CEOが、250人のレイオフを発表した、という続報がありました。「速すぎた成長により、企業文化と統制についてたがが緩んでいた」「企業文化をリセットする」ということです。

Zenefits は、企業向けの労務管理システムを無料で提供して急成長してきた、アメリカのスタートアップです。

この会社は、給与支払い、健康保険や交通費管理、出退勤や有休管理、契約や退職管理、などの様々な機能をモダンなクラウドベースのツール群として無料で提供することで伸びてきました。どうしてこんな多彩なサービスを無料で出せるかというと、保険会社と提携して関連する保険商品を売り込み、保険会社の方から報酬を得ているのです。

米BuzzFeed が報じたのは、今回の事件が原因で退任したCEOが主導して進めていた、社内の改善効率化の手段。

「マクロ」で講義を終了したことに

研修を受けて資格を取らなければ保険の仲介営業はできないのですが、その資格を取るためには、オンラインのシステムで52時間の講義を受講する必要があります。前CEOは、この営業マンたちの時間を節約し、早期に現場投入するために、社内で「マクロ」と呼ばれるツールを開発・配布して使わせていたそうです。

「マクロ」を動かしながら受講することで、実際に講義を見てなくても、自動的に受講が達成され、資格が得られていたのだとか。Zenefitsの営業担当者たちは、実際に必要と取り決められている知識を得ないままに営業をしていたということになります。

州保険部の取り調べを受けることになったZenefits社は完全に白旗を揚げ、全面的な調査への協力を表明しているということです。

そもそも日本だったら、政府や自治体の定める資格を、セルフのオンライン講義で研修して取得するという仕組みがそんなに無さそうですし、マクロを配布して大規模にショートカットさせるより、サービス残業とか社員個人に押し付ける方向で対応させそうな気もします。マクロはずるい?という議論もありましたし。

インチキをする時もアメリカ人は合理的だなあ、これが成長するスタートアップの仕事観か、と変な方向に感心してしまいました。

これからもオンラインの試験や講義は増えていくと思いますが、出欠確認や本人確認など、インチキを防ぐための仕組みのほうも、必要性に押されて工夫が進んでいくのでしょうね。

photo by chrstphre ㋛ campbell
photo by chrstphre ㋛ campbell

via Business Insider