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ネットのマーケティング

トロイの小包 – ライバル宅配業者を宣伝マンに変身させたDHLのアイデア

有名宅配業者のDHLが、UPS、TNT、DPDといったライバル業者の配送員達をDHLの動く広告塔にしてしまいました。

動画につけられたTrojan Mailing(トロイの小包)は、もちろんギリシア神話の「トロイの木馬」が元ネタですね。今回敵の陣中に送り込んだのは、兵士を隠した木馬ではなく、”DHL IS FASTER.”(DHLの方が速いよ)という文句を大きく描いた巨大なボックス。DHLのブランドカラーを使ったすごく目立つもの。

しかし、他社の広告を貼り付けた大きな箱を、ライバルの業者が受け取ってくれるとは思えません。実はこのボックスの制作には、温度によって変化する特殊な包装(Thermo-active foil)が使われています。

預ける前に、冷凍庫で冷やしたボックスは、見た目ただの真っ黒になり、

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特徴のない普通の箱として、気の毒な他業者のトラックに引き取られていきました。

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配送先に届くころには、周囲が常温に戻ってくるため、パッケージはこんな風に。

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かくして、各社の配送員が大きな広告を持って街中を歩き回る、という結果となったのでした。

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なお、ConsumeristがDHLに問い合わせたところ、この広告はDHLが承認したものではないということです。DHLと取引している広告会社が社内のコンペ用に作ったもので、一般向けに公開する予定もなかった、と答えているとか。であれば、動画の場所がドイツなのにパッケージの文言が英語であるのも多少説明がつきます。

このイタズラを面白いと取るか、DHLのような企業が仕掛けるのはやり過ぎと取るか、両方の意見があるようですが、動画の閲覧数は100万回を超えて伸び続けているようです。

なお、動画の最後に出ていますが、他社の配送員の中にはうまく対応していた人もいるようです。この人は表彰ものでしょうね。

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via Agency's Ice-Cold Prank Turns DHL's Rivals Into DHL Advertisers | Adweek