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英語学習

アメリカ各州で最もスペルが間違われる英単語 – beautiful や Supercalifragilisticexpialidocious

グーグル検索の検索動向統計を提供する Google Trends が、「これどう綴るんだっけ?」と検索された英単語を、アメリカの各州ごとにまとめています。

グーグルで検索されるから間違う、というのは必ずしも言えないと思いますが、英語ネイティブであっても自信が無い英単語が良く検索されるであろうことも本当でしょう。

beautiful, resume, schedule, sincerely, canceled などが、二つ以上の州でトップに立った、スペルが難しい英単語、ということのようです。

Supercalifragilisticexpialidocious とは?

さて、その中で気になったのが、テキサス州など6つの州でトップの Supercalifragilisticexpialidocious

辞書を引くと「とても素晴らしい」という意味らしいです。とにかく長いということが特徴の単語。映画「メリーポピンズ」(1964)中の楽曲から一般化した単語だそうで。

映画の歌から一般化した単語で、これだけ検索されるということは、使われているんですね。

Google Trendsチームは2017年も同じようにツイッターで発表しています。

2017年には Supercalifragilisticexpialidocious が2つの州でしかトップではないので、この単語の人気が上がったりしてるのでしょうか。

via Spelling Bee 2018: How to spell most misspelled words in America

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ネットの事件

イギリスのEU離脱決定後、日本からの「イギリスとは」検索が急増。日本人はイギリスを知らなかった?

国民投票の結果によるbrexit(EU離脱)を受けて、イギリス人が”What is the EU?”(EUって何?)と検索した、という話が、笑い話的に報道されました。

EUからの離脱が何をもたらすのかを多くの英国民が分からないまま投票に臨み、結果を受けて慌ててネットで調べた様子が明らかになった

「EU離脱とは?」「EUとは?」 英での検索順位発表:朝日新聞デジタル

英国内のGoogle検索で最も多かった検索ワードには、「What is the EU?」(EUとは何か)や「What happens if we leave the EU?」(EUを離脱したらどうなるか)などがあった。前者は、国民投票結果が正式に発表された後、英国におけるEUに関する検索ワードで第2位だった。後者は、投票終了後に250%以上増加した。

英国、離脱確定後に「EUとは何か」のグーグル検索が急増 – CNET Japan

例にあげたこれらはまだ抑制的で上品な方で、まとめサイト等では「自分たちが何に投票したか理解していない馬鹿なイギリス人」的な取り上げ方をしているところもありました。

「イギリス」を知らない日本人?

ではその同じ時期に、日本人は何を検索していたのでしょう。同じGoogleトレンドで、「イギリスとは」と検索した人の変化が以下のグラフです。

google-trends-what-is-the-uk

EU離脱の投票結果を受けて、「イギリスとは」との日本からの検索は、30倍ぐらいに増えています。こんなに「イギリス」が何のことか知らなかった人がいるとは驚きですね。「急増した」と言えば、まあそれ自体は嘘とは言えないかもしれません。

では次に、「イギリスとは」と「イギリス」の検索量を並べて見てみましょう

google-trends-what-is-the-uk-and-uk

実は、ほとんどの人は「イギリス(グラフの赤い方)」で検索していたことがわかります。「イギリスとは」が30倍に増えた、と言っても、青いグラフはそれが増えたかどうかもわからないぐらい、微々たる量だということがわかります。

ピークの6月24日でその比率は100:2、50倍。イギリスのニュースが話題の時に、イギリス関連のニュースやブログを見るために「イギリス」だけで検索する人がいることは特に不自然とは言えないでしょう。

いずれにしても、Googleトレンドでは「他の時期に比べてどれぐらい増えたのか/減ったのか」という相対的な量しか出てきません。

絶対量ならGoogle Adwordsを

では「イギリスとは?」と検索した人は実際何人ぐらいいたのでしょうか? Remy Smithさんが提案したのは、GoogleトレンドではなくGoogleアドワーズのキーワードプランナーを使った検証です。

こちらはAdwordsの利用者である必要がありますし、6月のデータはまだ出てこないので一工夫必要です。

「イギリスとは」「イギリス」で先月5月までの日本での検索量を調べます。

google-adwords-what-is-uk

すると、「イギリス」の検索が月間で11万回ぐらい、「イギリスとは」の検索回数は月間320回ぐらい、という結果が出てきました。

比率にして340倍は、Googleトレンドの方で出てきた50倍よりもかなり大きな値です。Google AdWordsのツールは、それを基に実際に広告を買う人のためのツールなので、どちらがより正確を期した数値を出しているかも想像できますが、仮に50倍の方だったとしても、「イギリスとは」で検索している人は多数派とは言えませんね。

そして、先月までの平常時で「イギリスとは」の検索が月間320回ぐらいなら、一日に10回。6月24日に普段の30倍の人が「イギリスとは」と検索したとすると、検索した人数は推定で300回、同一人物の複数回という可能性は無視して、まあ300人というところでしょう。

日本でグーグルを使っている人の300人が「イギリスとは」と検索した日が有ったからと言って、ニュースにするような話でもないですね。今回の国民投票のニュースで初めてイギリスという国を知った小学生あたりなら、そういう検索をするかもしれません。

面白すぎる話に注意

今回のニュースの元ネタは、他ならぬグーグル社の Google Trends 公式アカウントでした。

そのため、メディアの中には「グーグル社の発表によると」と言っているところもありましたが、一サービスのツイッター担当の一つのつぶやきでしかありません。興味深い結果ではありますが、元のつぶやきが注意深く「言っていない」ことが、広まっていくうちに付け加えられていった感じもありますね。

「EUという言葉を含んだ検索キーワードの中で2位」とは書いてありますが、それがどれぐらい多かったのかは、ツイートからは見て取れません。前述のRemy SmithさんのGoogle Adwordsのツールを使った推定では、「イギリス中でせいぜい1000人にも満たないだろう」ということでした。

イギリス人の「多くが」EUを知らなかった、みたいなニュアンスで書いているニュースを見た時に、「さて、本当にそんなことがあり得るんだろうか?」と思えるかどうかは、異国の市井の人を自分と同じような人間だろうと想像するか、自分とは何か違った人間だろうと想像するか、にも影響されるのではないかな、と思います。

参考: Stop Using Google Trends(Googleトレンドを使うな)