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ネットの事件

無給インターン募集で炎上した女性キャリア支援NPO LeanInが、今後のインターンに給料を支払うことに

女性のキャリアを支援する団体が女性のインターンをタダ働きで募集したことで起こった先週の騒ぎは、先週金曜日中(日本の土曜日)に決着がついたようです。

LeanIn.Org の責任者(President)レイチェル・トーマス氏がFacebook上で、公式なインターンプログラムを開始し、そのインターンは有給となる、と発表しました

メッセージによれば、LeanInでは、過去に4名の学生ボランティアが働いていたそうです。それらのボランティアは、可能な時だけ働き、リモートで働くこともたびたびだったということ。また、「そのボランティアの存在で、正規の職員の職が置き換えられたり採用が先送りになったこともありません」とあります。ボランティアを職員の代わりに使ったわけではない、ということを明言していますね。

そして、これまでLeanInにはインターンという仕組みは無く、先日募集して問題になったのは実は無給のインターンではなくボランティアでした、とのこと。

この二つがどう違うのか、については、ProPublicaが、NPOでボランティアが無給で働くのは問題ないし、それが無給のインターンだとしても違法でない可能性が高い、としています。ProPublicaは労働法の大学教授に「ボランティアとインターンがどう違うのか」も尋ねており、「はっきりとはわからない」というコメントを貰っています。

LeanIn責任者はさらに、いずれはインターンを公式に募り、それは有給のインターンとします、と言っています。

今のところこれで騒動は落ち着きつつあるようです。(週末に入ったからという可能性もありますが)

Lean Inの設立者であり、同名のベストセラーで世界中の働く女性に勇気を与えたというFacebookのCOO シェリル・サンドバーグ氏は、問題発生からこれまで特にこの件について発言はしていないようです。何を喋っても騒ぎは大きくなると思うので炎上対策としては正しいのでしょうし、現場の暴走であり自分は知らない、とか切り捨てるよりはましでしょうけど、ちょっとすっきりしないですね。

一連のFacebookメッセージやニュースのコメント欄を読むと、「得がたい経験や大物とのコネを得るために無償で働いて何が悪いのか」「自分も無償インターンで経験を得て今の職にある」という応援のコメントもありますが、多くの人が無給インターンの問題点としているのは、じゃあ無給で働く若者の生活を支えているのは誰なのか? というところのようです。

親が生活を支えていたり、夫が生活を支えていたり、あるいは既にお金の心配がないお金持ちの女性だけが無給のインターンとなることができるのでは、ということですね。自分で稼いで食べなければならない多くの女性を除外している、という指摘です。

Lean Inの応援する、キャリアの向上を目指す女性というのは、もしかすると働かないと食べていけないような女性は対象外なのかもしれませんが。もし本当にそういうことなのであれば、サンドバーグ氏の本や講演ビデオで勇気付けられていた働く女性の中にも、鼻白む人はいるのではと思います。