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データ可視化

予防接種はみんなが受けないと意味が無い、事を示す英ガーディアン紙のシミュレーション

アメリカで「はしか」が大流行しているようですね。

予防接種が普及しているのでは、と思ったのですが、自由の国アメリカでは「予防接種を受けさせない自由」(personal belief exemption)を行使できる州が20個もあり、そういった地域では接種の副反応を恐れてか一定割合の「予防接種を受けていない人」がいるようなのです。

ガーディアン紙が今回シミュレーションで見せてくれるのは、予防接種を受けた人の割合によって、外から入ってきたウィルスがどれぐらいの速さでコミュニティに伝染していくか、です。

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シミュレーションでは、100人の同質の構成員がいるコミュニティを、ワクチン接種を受けた人の割合が低いもの(10%)から高いもの(99.7%)まで、10個並べています。

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青い丸がワクチン接種者、黄色は感染しやすいメンバー。黄色に青い枠は、ワクチンを接種したけども抗体ができなかったメンバー。ここに、小さな赤い丸が横切ることで示される外部との接触が発生すると、黄色い人が赤い「感染者」に変わり、さらにその感染者から近くへ感染が広がります。

右下の赤いボタンを押すと時間が流れるのですが、左上の10%, 30%、あるいは全体の半数が予防接種を受けている3つ目のコミュニティでも、あっという間に感染が広まってしまいます。

それに対して右下、接種者の割合が高いコミュニティでは、時間が経ってもなかなか感染が発生しません。右下のいくつかでは、長い時間が経ってもまったく感染が起こらないこともあります。(シミュレーションなので、毎回結果は変動します)

4つ目から10個目のコミュニティは、実はそれぞれ、実際にその率で予防接種がされているアメリカの郡をモデルとしています。フロリダ州のGadsdenやカリフォルニアのオレンジ郡では接種率が90%以上なのですが、ワシントン州やカリフォルニア州のほかの地域では、数割の人が接種を受けていません。そういうところでは、結構簡単に感染が広まってしまう、というのが見て取れます。

社会には乳児や高齢者、免疫力が弱い人など、そもそも予防接種を受けられない人もいますし、受けても抗体ができない人もわずかにいます。そういう人を守るためにも、受けられる人は受けて全体としての接種割合を高めておかないと危ないということなのですが。

日本語圏のブログやツイッターでも、子供に予防接種を受けさせないことを宣言したり、それを他人にも勧めたりするような人がいるようですが、病気が流行してしまったらその子供だけでなく社会全体に大きな悪影響が出るわけで、このようなわかりやすい可視化が啓蒙になるといいですね。