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ネットの事件

Steam の開発者アカウントを使ってサービスをポルノ倉庫にする濫用事例

PCゲームプラットフォーム Steam で提供されていた EZ VR Video Player というVRビューワーアプリが、アプリと無関係なポルノ画像の交換場所になっていたそうです。

4月にMMO Fallout ブログが指摘したところによれば、このビューワアプリがリリースされる以前から、modやゲームデータを共有するワークショップに多数のデータファイルがアップロードされており、その中に多数のポルノ画像が含まれていたということ。

Gamespark の解説によれば、Steam のワークショップというのは『「メーカーによる審査はなく、ユーザーが自由にダウンロード可能」という形式』で運営されることも多いそうで、設定次第では誰が何を置くのも自由な緩い場所なのでしょう。Gamespark の記事でも盗作のアップロードなどトラブル事例が紹介されています。

しかし、今回リリース「前」にワークショップにデータをアップロードできていたらしいということは、このVRアプリの開発者かその関係者がデータをアップロードしていたということで、単にアプリを購入したユーザーがやったわけではないことを意味するようです。

このMMO Fallout の最初の指摘や、それを受けた reddit での議論からだいぶ時間が経っていますが、先週になって開発者自信による開発停止の発表があり、その直後にSteam を運営する Valve 社による配布停止が発生したようです。掲示板やワークショップ等は今でも閲覧できていて、指摘されたワークショップには一般のデータしか表示されていないようで、開発者かValve社のいずれかが削除したのでしょう。掲示板など他の場所ではまだ書き込みが残ってるのですが、アプリの配布を停止にしても何もかもは止めないのですね。

Hacker News では、この件から連想されるとして Docker Hub に違法コピーのPCソフトウェアを保管するユーザーの存在も紹介されています。ポルノの内容がアジア系だったことや、今も残る掲示板等に中国語の書き込みも多いことから、グレートファイアウォールでアクセスできる海外のサイトが厳しく限定・監視されている中国のユーザーが、開発者としてアクセスできるサービスで大きなファイルを保存できる場所を荒らしているのではという考察も出ています。

アプリの開発には関連するファイルの容量が大きくなることもあり、開発者向けのサービスを隠れ蓑に別のファイルを保管したり交換したりする濫用ユーザーの存在はは各サービスの提供社を困らせる存在でしょうね。

via Hacker News

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ゲーム

ヒール・ヒトラー – 総統のサイコセラピストとして未来の悲劇を止めるノベルゲーム

新作インディーゲーム、Heal Hitler は、1925年にアドルフ・ヒトラーの心理療法士となり、フロイト・ユング流の精神分析を使ってヒトラーが持つコンプレックスを解消し、戦争と大虐殺を防ぐゲームです。

チェコのゲーム開発者ジョン・イージス氏(Jon Aegis)が一人で開発し、声優2人を使ったこのゲーム、歴史のif を体験することになります。ゲームは時々出てくる複数の選択肢を選ぶことで進み、全体が一時間程度で終わるボリュームです。

ヒール・ヒトラー(ヒトラーを治せ)は、ハイル・ヒトラーのもじりですね。タイトルも秀逸。

診察室にやってきたこの新しい顧客は、最初怒りの感情をコントロールできないという悩みを相談します。

ヒトラーの話すドイツの状況や社会制度への考え、オーストリアに対する思いと父や母の思い出、一次大戦での従軍経験、ユダヤ人やマルクス主義者をどう見ているか、美術大学に入れなかったこと、などなど、史実からわかっていることを含め会話の形で聞かせます。歴史の勉強にもなりそう。

扱っている題材が題材なだけあり、ゲームで取り上げることも良くないという批判も出ています。reddit のスレッドにはヒトラーをもしかしたら悪へ進まなかった可能性のある一人の人間として見るということを拒絶する人のコメントも。作者の考えは、誰の中にも善と悪があり環境がどんな人をもヒトラーのようにするのではということのようです。それが正しいかはわかりませんが、サイコセラピーによって人の行動は変わりうるというのが作者がこのゲームで表現したいことなのかもしれません。

このパターンで他の歴史上の人物を扱うこともできそうですね。

via reddit via Boing Boing