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2005年12月13日

Alexa Web Search Platform の衝撃 - 誰もが検索サービスに参入できる

via John Battelle's Searchblog

Alexa Web Search Platform というのがベータ公開されている。

AlexaAmazon の子会社、ウェブサイトのアクセス数情報(サンプリングによる推測だが)やオーナー情報などをデータベースとして提供している。Alexa によるトラフィック情報は、(じつはそれほど正確なものではないのだが、)他に適当な指標もないことからウェブサービス同士の人気比較などに参照されることが多く、ご存知の方も多いだろう。

今回の新サービスは、Alexa がインターネットに巡回させているクローラーや、Alexa 側のサーバ資源(CPU やディスク、帯域)をウェブサービスとして公開利用させる、というものだ。

ユーザは、scp を使って自分のデータを Alexa のサーバに送り、サーバ内で Alexa の膨大なデータを使った処理をさせた上で、結果を scp で取得することができる。

これを使うことで、Alexa の持つインデックスデータベースに「乗っかる」ことで、特定用途向けの検索サービスなどを、自前のクローラーや大規模なデータベースを持つことなく作ることができるようになるという。

さすがにこのサービスがまったくの無料というわけではなく、利用に応じた利用料がかかる、とはいえ、800万サイトの40億ページを巡回できるクローリングシステムなど誰にでも作れるわけではなく、その一部のデータを利用して自分のアイデアを実現したい、というエンジニアからしてみると、よだれのでそうなサービスだ。

Google / Yahoo / MSN が検索エンジンの覇を競って久しいが、まだこんな手があったか、というサービスだと思う。

検索サービス以外では、オープンな API による開発者を巻き込んだサービス伝播の例をいろいろと見ていながら、Google API (や競合他社の公開 API)のような、結果検索が再利用できますよ、程度のサービス公開レベルがあたりまえだと思い込んでいた。

Alexa 、というより親会社の Amazon は、以前に書籍データを開発者達に API 公開する、Amazon Web Service によって、Amazon のサイトでないインターネットのあちこちに Amazon のアフィリエイト広告を載せること、つまり「WWW 全体を Amazon の出店にする」という成功を一度達成している。

検索エンジンの検索部分の利用権を売るというこのサービスでも、開発者がほしいものを大胆に提供することで、開発者を巻き込んだ再度の成功を狙っているのではないだろうか。

Read/WriteWeb など、いくつかのブログでは Ning.com との類似性が指摘されている

この Alexa のサービス自身も広まってほしいし、儲かってほしいと思うが、これに刺激された先行 3 社も、クローラーや検索結果データのオープン化やその対価の低価格化を競うようになってくれると、非常にいいと思う。Google などがどう応対するのか、あるいはしないのか、を注目していきたい。

ユーザガイドの PDF より

サービスを使うべき人

  • 研究者
  • すごいアイデアのあるスタートアップ企業やホビープログラマ
  • 現行ウェブサービスを機能強化したい企業

Platform 内に送り込んで使える言語

  • C
  • Perl
  • Java

参考リンク

ツアー

デモサイト: カメラの検索サイトを Alexa のデータを使って実現している。

FAQ

価格表

ユーザーガイド(PDF)

Alexa の Geoffrey Mack による公式ブログでの発表

The Wall Street Journal オンラインの記事

Wired News の記事: あなたの Google を始めよう

Kickstart my heart さんの trackback 経由ご指摘: Web Service 公開までがサポートされている。(たしかにこれ重要そう)

Rauru Blog::ultraviolet さん経由「サーチエンジンはコモディティ化する」

Read/WriteWeb: Alexa turned into web service - Amazon back to its innovative best

MYCOM PC WEB: Amazon傘下のAlexa、Web Crawl公開で垂直型検索サービス構築を支援

eWeek 翻訳: Amazonがレンタル開始――商品ではなく、検索エンジンを


投稿者 秋元 : 2005年12月13日 15:22

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トラックバック時刻: 2005年12月13日 17:16

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