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2006年05月31日
ノークリックリンク
ノーク・リック・リンク? ノー・クリックリン・ク? ちがう、ノー no クリック click リンク link だ。
このページ No Click Links に行って、最初のリンクにマウスカーソルを置いてみてほしい。Javascript が on になっていれば、通常のブラウジングとちょっと違った動きが起こるはずだ。
この効果は、リンク先ページで公開されている Javascript を、動作を変えたいリンクタグより後ろの方で読み込むだけで追加される。
この Javascript のやっているのは、自身のロード時、ページ内の全部の <a> タグに、「1秒マウスを置いたらリンクをフェードしてリンク先へジャンプ」という処理を追加すること。これで、リンク上にマウスを置くことでジャンプするようになる。
じつは、同様のクリックしないユーザインタフェースを Flash で追求したものは前からある。dontclick.it (クリックするな)がそれ。
トップページの「Click Here」だけはクリックしないといけないが。その先はクリック無し。ちょっと不思議なメニューを体験できる。(クリックしないUIのデモサイトなので、間違ってクリックするとエラーになる。)
最初の no click links は、Javascript だけでこれを実現している。また、Firefox ブラウザの場合は、ブックマークレットとして他のページに後付でこの効果をつけることも可能だ。
クリックさせないユーザインタフェースが実用的かどうかはさておき、マウスが横切っただけで背後にいろいろなアクションを起こす、という分野はもっと活用されていいのではと思う。ボタンを押すオン/オフに加えて、押そうかどうかというためらいまで、データとして取ることもできるわけだし。
こういう仕掛けが入っていたとしても、リンク先に飛ばす以外のいろいろな処理を書くこともできるし、ソースや通信を監視しないとわからないので、じつはかなり活用されているが気づいてない、ということもあるのかもしれないなと思った。
[追記] などと書いた一ヶ月半後に出てしまった。押してないマウスの動きまでを記録するサービス ClickTale。
[関連] 人はどんなところをクリックするのか
投稿者 秋元 : 17:39 | コメント (1) | トラックバック
2006年05月29日
Google Checkout とは何か?
GDrive ドメインの謎で書いた、Google が取得したドメインを追跡している記者のブログで、Google Checkout の .net/.org/.info が取得されていることを報じている。
肝心の googlecheckout.com は他人が取っているようだが、商標を含んだドメインなので必要なら取り返すだろう。
Google Checkout は、この Garett Rogers が言うように、やはり Yahoo-eBay-PayPal ラインへの対抗サービスなのだろうか。
2006年05月28日
「中の人」などいない
TechEBlog "Smart Advertising"で紹介されているドイツの転職サイトの広告「間違った仕事をするには人生は短すぎる!」
説明不要の面白さだろう。何で文章が英語なのかは不明だが。
リンク先には他にも2つの広告が紹介されている。
自販機大国の日本だと、もっといろいろな中の人が描けそう。
投稿者 秋元 : 23:09 | コメント (4) | トラックバック
2006年05月26日
HTML構造のグラフによる可視化
[2006/5/28 追記] applet バージョンが公開されたので、自分のページのHTMLを可視化することもできるようになった。
論文にありそうなネタで、じつは同案多数かもしれないが,
Websites as graphs では、HTML の構造を要素ごとに色分けしグラフ化する作業を著名ないくつかのサイトについて行なったという。下はグーグルのもので、
以下のような色分けになっているという。
青: リンク (A タグ)
赤: テーブル (TABLE, TR , TD タグ)
緑: DIV タグ
紫: 画像 ( IMG タグ)
黄色: フォーム (FORM, INPUT, TEXTAREA, SELECT OPTION タグ)
オレンジ: 改行と引用 (BR, P, BLOCKQUOTE タグ)
黒: ルートである HTML タグ
灰: その他のタグ
元記事ではもっとたくさんの実例が出ている。
いくつも見ると、直感的に、サイトが無駄に複雑になっていないか、といったことがすばやくわかるようになったりするのだろうか。
任意のページを渡すとグラフ化するようなアプレットも考えているそうなので、それが出来たら自分のサイトについて試してみると何か気付きがあるかもしれない。
applet 版も公開された。Java applet が on になっている必要があるけど、リアルタイムで生成されていくグラフの様子はとても面白い。
また、作成したグラフを Flickr に特定のタグであげてね、という案内も載っていて、Flickr が成果物の手軽な共有場となっている。いろいろなサイトの描画結果はこちら。こうやって他所のサービスを組み合わせて簡単なコミュニティを作らせるところも面白い。
投稿者 秋元 : 14:02 | コメント (1) | トラックバック
買収された or 消え去ったドットコム?
Acquired or Expired? (買収された? それとも消えてなくなった?) は、以前 Web 2.0 or Star Wars? (Web 2.0 のサービス名? それともスターウォーズの登場人物名? )というゲームを作ったcerado.com による新バージョン。
前回のドットコムブーム(2000年前後)に興った25個のドットコム名を見て、どれが成功して買収されたもので、どれが失敗して無くなったものかを当てるというゲーム。
僕もやってみたが、、、正解は25個中の15個。ランダムに選んだのとそう変わらない。Webvan や eToys あたりは有名なのでわかったんだけど、ペット関連のサービスなんてどれもうまくいかなかったように見えたし。難しい。
ページ末尾の see answers というリンクから、全25個のドットコムの最期についてのニュースへのリンクがまとめられているので、失敗や成功から学びたい人はチェックするといいかも。
2006年05月25日
YahooとeBayが戦略的パートナーとして提携を発表
Yahoo, eBay form Web advertising alliance
ついさっき発表されたニュースのようだ。まだ日本語のニュースは出てない。
発表された提携案では
- eBay に Yahoo がバナー広告、スポンサードサーチを独占的に提供
- Yahoo の検索から eBay の関連商品への連携
- Yahoo がPayPal を採用 広告やSMB向けサービスの支払いもこれになる
- eBayツールバーにYahooサーチ、メール、My Yahoo などの連携機能を統合
- "Click-to-call"(クリック広告から電話へつなげる)の採用を検討
などを行う計画があり、今後数ヶ月のテストフェーズを経て、2007年にはすべて実装できる見通しとのこと。
PayPal 以外にも Skype, Kijiji など eBay 所有のサービスが Yahoo 陣営に入っていくわけだ。重複もあるだろうけどユーザベースは増えるし、残りの列強 ( MSN や Google ) と伍していくに必要となったのかもしれない。
[参考]
[追記]
日本語のニュースも一通り出揃った。
Yahoo! と eBay、広範な複数年の戦略提携を締結 など
New York Post の記事で、マイクロソフトも eBay と統合の話し合いを数週間続けていたのでは、という話もある。Yahoo!-eBayの提携関係が浅ければ、まだこの話も無くなってはいないかも、とのみかたも。
We Endure ソーシャル持久力比べ
We Endure は、自転車、マラソン、水泳など持久力が試されるスポーツのトレーニングを、他人と共有して競うサービス。
早起きを記録して共有する早起き生活とコンセプトは似てるかな。
一日何マイル走ろうとすべて自己申告なので、負けず嫌いの嘘つきの登場と、それによるコミュニティの崩壊とかはどうやって防ぐんだろうか。
ジェスチャーによるウィンドウ切り替え、without マウス
via digg
MacBook Pro を使った、ジェスチャーで仮想ウィンドウの切り替え、という動画が紹介されていた。面白い。
液晶の左右をポンと軽く叩くと、仮想画面がそれに合わせて切り替わる。とても直感的な操作だ。
最初、究極のユーザビリティテスト Eye Tracking(これがまたすごい面白いんだ)で紹介したような、内蔵カメラによる処理かと思ったけど、よく考えたらジェスチャーの位置はどうみてもカメラの範囲外だ。
他のセンサーを使ってるのでなければ、これは実現してるわけじゃなくて「こんなのできたらいいよね?」みたいなコンセプトデモなのかあ。
でも、もっと手前でのジェスチャーであれば撮影して認識というのもできそうだし、タッチパッドやトラックポイントではなく、キーボード上で指揮者のようにPCを操作する、っていうのもできるようになるかも。というかあったら使ってみたい。
# あおやまさん、こぐれさんから、MacBook Pro には落下検知のモーションセンサーがあるので、それを使ってるのかも、という情報をいただいた。MacBook をライトセーバーにする、というので使われているらしい。
[追記] またまた補足。オリジナルのページがあった。システムの書き換えと Perl スクリプトが公開されており、誰でもこれできるらしい。
Thinkpad の最近の機種についている同様の検知システム Sudden Motion Sensor の 解説 および Linux 版のドライバ
[追記] 2006.7.31 Thinkpad を叩いて Linux を操ろう、という解説記事が公開、って、IBM の プログラマーが DeveloperWorks でそれを解説するの!
投稿者 秋元 : 14:22 | コメント (1) | トラックバック
2006年05月24日
超極めるPHP打ち上げ宴会
新宿で打ち上げ。著者・関係者が13人も集合!
超極めるPHPの売れ行きは上々ということ。うまくいってぜひ第三弾の話も出てほしい。
2006年05月23日
サイトの広告価値を判定するサービス
TEXT LINK ADS CALCULATOR では、特定のサイトにテキスト広告を入れるとしたら、どこの位置で月にどれぐらい稼げそうか、というのを見積もってくれる。
1.1 調べたい URLを入れて、
1.2 サイト/ページのジャンルを選び、
1.3 挿入したい広告リンクの数を決め
1.4 広告はそのページだけか、サイト全体に入れるかを選ぶ
2. 右側の画面上の「どこ」にテキスト広告を置くかクリックすると、その場所にそのテキスト広告を置いたときに月額で何ドル稼げそうか、という予想をリアルタイムで表示してくれる。
このサイトでは、単なる無責任な占いではなくて、「もしこの金額でよければ、うちの広告載せませんか?」と続く。もっとも、表示された収入は彼らと折半なのでさらに半額になってしまうけど。
適当にサイトの価値を判定してくれるサービスは定期的に現れて、いろんなサイト管理者やブロガーの興味を引くのかそのたびに流行するけれど、その価値が空手形ではなくてちゃんと実際の広告に結びついているところは感心できる。実際に言ってるとおりの広告が供給されているのかは知らないけれど。
「ちょっと試してみるか」で試した人を誘導するために、Ajax などで軽く反応するのもいいのではないだろうか。
さて、このブログのトップページの最上段に1つ広告を置いたとしたら、月に253ドル分の価値があり、僕はその半分が貰えるということになるらしい。
2006年05月22日
ESPer2006に参加した
土曜日、未踏OBの勝手同窓会(?) ESPer に、協賛企業の一員として参加させてもらった。
詳しい内容はここから先にいろんな人の感想があるのでそちらを参照のこと
発表は、特に面白いものや成功している人に対して依頼が行っている部分もあるだろうし、どれも面白かった。これだけのレベルの、ほとんどが若く、起業している人も多い、プログラマが一同に会して情報交換する、という機会はなかなかないのではないだろうか。
そんなすごい人達の数人でもうちに興味を持ってくれればいいんだけど。。。
投稿者 秋元 : 12:55 | コメント (2) | トラックバック
Flash ベースの Visio風サービス gliffy がベータ公開
gliffy から「ベータ公開したよ」の通知メールが来た。
gliffy は、Flash を使い、ブラウザ上で図を描き、サーバ側に保存したり、共有・公開したりできるサービス。
できあいのパーツがそれほど多くないように思うけど、さすがにFlashだけあってデスクトップアプリとあまり使用感が変わらない。
作成した図は、gliffy上で保存や公開もできるし、SVGやJPEG形式で書き出すことも可能。
基本的な図形を組み合わせたパーツをユーザ間で共有して再利用できるようになれば、もっと広まりそうだけどなあ。ネット上のサービスだからそっち側に伸ばしていくことを期待する。
Windowsだと、ペイント系のアプリは入ってるけどドロー系は入ってないので、日常ほとんど図を描くことはないけど年に何回かだけ必要になる、ぐらいの人には、これいいかも。まさに自分がそういう層なんだけど。
[関連]
ajaxLaunch のワープロに続く第二弾はお絵かきサービス ajaxSketch
2006年05月20日
米Amazonがオンデマンド製本サービスを発表
19日、Amazon と100%子会社の BookSurge が、出版社向けに Print-On-Demand サービスを開始すると発表した。
出版側が書籍のデータを Amazon に預けておくことで、注文が入ったときに書籍を印刷して販売することができるようになるとのこと。
これはまず、絶版が無くなるしどんなマイナーな本でも対応できるので、ロングテールをさらに伸ばす効果があるだろう。他で品切れの本が Amazon でだけ買えるとなれば競合はきついだろう。
しかしそれ以上に大きいのは、取次ぎへの影響だろう。既にAmazonでも出版社から直接買い付けている本があるという話も聞くし、ますます中抜きが進むようになる。
「なか見検索」で、一部の書籍については本文のデータやページのスキャン結果がAmazon側に提供されていたとは思うが、Amazon が注文に応じて製本するとすれば、書籍のデータが Amazon 側に渡るということだ。さまざまな書籍のコンテンツを一手に集められれば、検索や統計機能を提供することでさらに他と差別化できるだろう。
データさえ出せば出版元になれるということで、今まで自費出版していた層にも広がるかもしれない。そうすると出版社の位置づけも磐石じゃないかもしれない。
そして、どうせ読者はブラウザで Amazon まで来てるんだから、ということで、集まってるデータをそのままオンラインで読めるようにすれば、一気に電子書籍も普及、ということだ。
この Amazon に対抗できるとしたら、Google Book Search で、検索側から書籍データにアプローチしている Google か。
万が一 Googlezon とかになっちゃうともう他はキツイだろうけど。
[追記]
ITPro で日本語の記事が出た
2006年05月19日
LiVES にサイボウズ・ラボのオフィスが掲載されました
今出ている雑誌 LiVES 2006年6-7月号の[オフィス巡礼]というコーナーで、サイボウズ・ラボを取り上げていただいた。
プロのカメラマンに取っていただいたオフィスの写真がすばらしい。元のオフィス自体もイイけど(笑)。
本屋で LiVES を見かけることがあればぜひ見ていただければと。
家庭教師アウトソーシング
ワシントンポスト.com の記事 "Homework Help, From a World Away" によれば、アメリカでは子供がネットを使ってインドの家庭教師に教わるサービスが始まっているということだ。インドからアメリカへのオンライン教育の市場は既に4億円とか。
すでにコールセンターにかけると出てくるのはインド人など外国人が多い現状はあるし、通信費が安くなってきてるので適用分野はますます広がっていくのだろう。
日本でも IP電話を使った英会話教室が出てきているけど、アメリカと違って海外に日本語を喋る地域が無いから、外国語以外を海外から教えるというのは難しいようには思う。でも、日本語を覚えることで年収が何倍にもなったりするのであれば、地球の裏側の優秀な教師が日本語を覚えることも近い将来起こりうるのかもしれない。
衛星写真に残る鉄道路線のなごり
サンフランシスコのミッション地区の衛星写真から、昔あった線路の後が見て取れる、という話。
東京とかでもこういうのありそう。
2006年05月18日
Bloggers' meetup
Last night, I went to a cafe in a small building in Aoyama, where the "bloggers' meeting" was held. Han, the guy from Holland, whom I met at YAPC (Yet Another Perl Conference) Asia::Tokyo, invited me as I introduced myself as a "professional blogger" ;-)
The monthly meeting is for bloggers around Tokyo area. Webloggers gather to socialize. Han's friend originally organized it but he could not attend yesterday. Instead, there were 7-8 people, including engineer, translator, project manager, etc.
Not all people are writing weblog. For example, one is taking rest after disk crash vanished his archives.
Even though some of them seem to have good Japanese command, discussions (or chat, if that word is appropriate) are done in English. With my poor comprehension, I could not follow all topics, especially jokes, but they were still interesting. The main reason their stories are interesting is probably how they see things are a little bit different from I. They talked around their jobs, lives, Bush :), organic foods, etc.
What did I talk there? The one I remember is about Japan Blog Association. The one caused issues immediately after its disclose by some governmental (just "heavily influenced"? I do not know) foundation. They do not check Japanese blogosphere much, and seemed to agree the many Japanese bloggers making spoof sites (such like "Galaxy Blog Association") funny.
I also told about that the TV programme which Mixi and Hatena's CEO showed up. Of course, the number of users are not so big when compare with English service like MySpace, however, those movements are not easily observed by non-Japanese net surfers. Must be interesting for them. One even asked me to invite. I wish I were more vocabulary.
I also asked them that if they have any recommendation of good English weblogs which are about Japanese and/or Japan. I got some URLs. The first entry I saw is so funny. I will check them more.
They said there are more than 300 people on their notification list, but each time the number of attendee varies. They are also interested in Japanese bloggers joining the meetup.
I read that one in eight residents in Minato-ku are foreigners. When living and working in Tokyo, not knowing any of them might be unnatural then. There should be a lot of chances to become to know them. You do not have to pay much to language schools. Seeing different person is always good, fun things for me. Definitely thinking like that helped me to work in different jobs, offices and countries.
投稿者 秋元 : 16:39 | コメント (2) | トラックバック
2006年05月17日
アカデメディア デジタルスタイル会議
今回のスポンサーは SONY 。
昼に新機種発表のニュースを見て仕様など眺めていたので「もしかしたら」と思ったが、今回はその新機種を軸にしたディスカッションだった。
詳細はもういろいろレポート出ているのでそちらを。
japan.internet.com アカデメディア「デジタルスタイル会議」、新作 VAIO Type U の開発秘話とこだわり
Sailing Notes アカデメディア デジタルスタイル会議に行ってきました (詳細)
ueBLOG AcademediA デジタルスタイル会議へ行きました
ネットコミュニケーションの視点 VAIO Type Uに見るハードウェアとソフトウェアの可能性
全体会議では各グループに VAIO Type U が貸し出されて、触りながらの議論、つーか、こんな面白いもの貸し出されたら議論が進まないよ。さっきニュースで見た新製品がいきなりさわれたのはラッキーだった。非常にコンパクトで軽い。重いもの持ち歩くのがいやで(でも デスクトップと同じ環境がよくて) Let's note R3 を使ってる自分としては気になる ノートPC ではある。
今回、個人で考えたアイデアは、グループでかすりもしなかった。残念。
ちなみにそのアイデアは、
Type U のカメラで撮った向こうの風景をそのままデスクトップやアプリの背景にリアルタイム表示させる on/off ボタン。
光学迷彩 + Transparent Screen をワンタッチで、とゆーだけなんだけど。オサレなカフェで作業してたら、Windows の中までカフェが入り込んでまあステキ、みたいな。
2006年05月16日
あのライバルは SEO で抜けるのか?
以前のコラム「Google ページランクにだまされるな」で、Google ツールバーで表示されるページランクには実際的な意味がほとんど無く、検索順位に直結しないこと、この数字は操作可能でさえあり、ページランクを Web サイト運営の目標や広告価値の指標にすることの危険性を指摘した。
ページランクはあくまで「楽しむための参考値」で、最終的な目標は検索結果での順位だ、ということは決して忘れてはならない。
SEO 対策を業者に頼むのであれば、頼む前に何位だったのか、頼んだ結果何位になったのか、ということがその業者の成果だ。(*1)
***
しかし、順位の数字だけでは見えてこないこともある。マラソンに例えれば、ライバルが1位で自分が2位だとして、差は一人分ではあるが、その差が5秒なのか、5分なのかでは大きな違いがある。
このような、順位の違いに隠された実際の差については、どうやって調べればよいのだろうか?
キーワードと無関係にページごとにつく、いわゆる「ページランク」以外に、もう一つの隠れた指標が存在する。まずは、その「隠れた指標」を適当な検索ワードで見てみよう。
ここでは、Google ではなく BIGLOBE を使う。BIGLOBE の Web 検索は Google からサービスの提供を受けており、基本的には Google の検索結果と同じ順位で同じ結果が表示される。 (*2)
しかし、検索結果の URL の左側に表示されるオレンジ色の縦棒が、Google 検索と BIGLOBE 検索の大きな違いだ。
検索結果が1位のサイトは10本の縦棒すべてがオレンジ色で、2位、3位と順位が下がるにつれて、オレンジの棒の数が減っていく。
このオレンジ色の棒の数は何を示しているのか、という説明は見つからないのだが、BIGLOBE の検索ヘルプの図中では、これが“PageRank”ということになっている。(japan.internet.com 編集部から NEC に問い合わせをしていただいたところ、同社では便宜的に「ランク」と呼んでいるようだ。Google の本家ページランクと区別しづらいので以下 「隠しページランク」 としておく。)
いわゆる総合的なページランクは、検索順位との直接の関係が疑われる参考値だが、BIGLOBE で出てくるオレンジ色の「隠しページランク」は、そのとき検索したキーワードに特化した「検索結果の強さ」と見ていいだろう(*3)。
上記の例では、1位(10本)と2位(7本)はそれほど差がついていないが、2位と3位(3本)は大きく離れている、ということが見て取れる。 (*4)
おそらく、Google 検索を利用している提携各社は、検索結果に合わせて様々なデータを得ており、その中からどれを自サイトで表示するか選べるようになっているのだろう。どうして BIGLOBE だけがこの「隠しページランク」を表示しているのかはわからないが、事情がなにであれ、Web サイト運営者にとって有用な情報であることは間違いない。
***
検索結果における上位表示の重要性については、前回のコラムで書いた。もう一度前回のコラム「検索と広告、予算を割くべきはどちら?」を思い出してみよう。検索結果ページで、1位から3位の結果がユーザーの視線を得ることができたのは100%だった。
あくまで少サンプルの実験だということは注意しなければならないが、「なにがなんでも1位でないと自社サイトに誘導できない」というわけではなく、3位以内に入った上で、表示される自社サイトの名前や要約でユーザーをひきつけることができれば、1位でなく3位表示でも、クリックして見に来てくれるユーザーは少なくないだろう。
順位は高いに越したことはないが、1つ2つの上下は致命的な違いではない。
もし、自社サイトが3位で、BIGLOBE で知った「隠しページランク」の2位との差が非常に大きかった場合、ちょっとやそっとの改善では順位は変わらないかもしれない。その場合は、SEO をがんばって2位を目指すより、表示されるタイトルや要約を改善したり、他の制作や SEM 活動に予算を回したほうが効率がいいだろう。もちろん、4位、5位のサイトとの差にも注意して、抜かれない程度にはがんばる必要はあるが。
また、すぐ一つ上のサイトとの差が非常に小さければ、少しの SEO 対策で順位が逆転できる可能性がある。こういう場合はまず SEO 対策にコストをかけて順位を上げ、その後他の活動をしたほうがいいだろう。
BIGLOBE の検索で表示される「隠しページランク」情報を使うことで、次の効果的な手は何か、という判断に正確さを加えることができるだろう。
(*1)本質的ではない SEO 対策をする業者相手の場合は、「契約が切れたときに順位が落ちたりしないか」というチェックも重要。短期間だけ効くインチキ対策の場合もあるからだ
(*2)順位変動の波及が遅くて結果が多少異なる場合もある。同一ドメイン内での複数ページ表示、タイトルや要約の表示など、何をどう表示するか、といった点でも細かな違いはある。
(*3)NEC によると、検索キーワードとの「マッチング度合い」を示すという。意味としては同じである。
(*4)2006年5月12日現在の検索結果での場合
投稿者 秋元 : 09:00 | コメント (4) | トラックバック
2006年05月15日
イギリス英語とアメリカ英語 on Google Trends
いちおうイギリスとアメリカで仕事してたことがあるので、イギリスとアメリカで言い方が違う単語、というのがかなりある、というのは知っている。
"British American English"などと検索すると、違いを解説したサイトがたくさんでてくるので、イギリスとアメリカで異なる単語のリストはいくつも手に入れることができる。たとえばこのサイトとかから、いくつか抜き出してみよう。
意味 | アメリカ | イギリス |
---|---|---|
駐車場 | parking lot | car park |
色 | color | colour |
クッキー/ビスケット | cookie | biscuit |
ショッピングカート | cart | trolley |
映画 | movie | film |
秋 | fall | autumn |
ズボン | pants | trousers |
セーター | sweater | jumpere |
休暇 | vacation | holidays |
ただ、単語によっては、TVや映画などの影響で、アメリカ英語でもイギリスで通用するものもあるし、しないものもある。感触としては、イギリス人は「アメリカではどう言うか」を知っていることが多い(ハリウッド映画やTVドラマの輸入で嫌でも気づかされる)のに対して、アメリカ人はイギリスでどう言うかは知らないし、気にしてない。
どの単語だと反対側の国でも通用するのか、みたいなことは、イギリス人やアメリカ人の個人を捕まえて訊いてみたところで、個人の経験からではなかなかわからないだろう。
Google Trends を使うと、そんな微妙な分布が見えてくる。それぞれについて、Google Trends で検索し、"Region"で国別分布を見てみると、
意味 | アメリカ | イギリス | Google Trends |
---|---|---|---|
駐車場 | parking lot | car park | Google Trends |
色 | color | colour | Google Trends |
クッキー/ビスケット | cookie | biscuit | Google Trends |
ショッピングカート | cart | trolley | Google Trends |
映画 | movie | film | Google Trends |
秋 | fall | autumn | Google Trends |
ズボン | pants | trousers | Google Trends |
セーター | sweater | jumpere | Google Trends |
休暇 | vacation | holidays | Google Trends |
くっきりと「アメリカでしか通じない単語」「イギリスでしか通じない単語( trousers, biscuit とか )」というのが出る他にも、「イギリス英語だと思われてたけどアメリカでもそれなりに使われていそうな単語」みたいなものもあることがわかる。
また、「オーストラリアはイギリス英語」「カナダはアメリカ英語+ちょっとイギリス英語」「インドはイギリス英語」みたいなよく耳にするおおざっぱな解説が、実際どれぐらい本当なのか、というようなことも追跡できそうだ。
Google Trends が日本語にちゃんと対応してきたら(もちろん他社がやってくれてもいい)、柳田国男とかが長年かけてやっていたような方言の分析作業を、まあ書き言葉だけではあるけど、より簡単にできるようになったりするのかもしれない。
2006年05月12日
Google Trendsで遊ぶ
昨日紹介した Google Trends は、いろいろ遊びがいのあるサービスのようだ。
Web2.0 は日本でも流行ってるけど、一番流行ってるのは韓国らしい。25個もあるけどいろいろ面白い。特に米国の場合、IPと地域のマッチングがよく合っているので、「西海岸で有力」みたいな分析もしやすいみたい。
Google Trendsが教えてくれるなっちのせつなさ全開ぶり。
……(笑)
ブログ書きの友、といえるかも。
[追加]
投稿者 秋元 : 16:41 | コメント (1) | トラックバック
超極める!PHP の見本誌届いた
見本誌届いた。やっぱり面白い記事が多い。
発行日は 5月17日(水) ということだけど、早い本屋ではその前に並ぶこともあるかも。オンライン書店で買う人も、今注文すると発売日に間に合うかも。
投稿者 秋元 : 15:59 | コメント (2) | トラックバック
Google notebook は Google ブックマーク?
via TechCrunch
来週公開予定の Google notebook だが、スクリーンショットが公開されている。Google 社員のブログで明らかにされたものなので、非公式ではあるが意図的なリークなんだろう。
Google 製のdel.icio.us (あるいは はてなブックマーク)ということだろう。Google の検索結果から notebook に放り込めるようなので、その点有利か? でもブックマークするのはページを見てからで、検索結果から直接放り込むことは少ないと思うけど。
ページ内のテキストをハイライトして notebook に取れるようなエクステンション(対応ブラウザ不明)や、IEとFirefox用のブックマークレットも同時提供されるということだ。
このあたりまでは del.icio.us をひっくりかえす要素にはならないと思う。利用ユーザの数も del.icio.us の魅力ではあるし。Google notebook が伸びるとしたら、Google の名前によってユーザ数がそれなりに増えた上で、 Google の強みである検索がブックマークの検索についても高速に働くか、によるかもしれない。
[追記] タグというより必要な部分をまるごとメモ、bookmarklet より敷居の高い拡張ツールのインストールなど、スクリーンショットから予想したサービスとはかなり違っていたようです。詳しくは徳力さんのエントリを。
2006年05月11日
Google Trends
Google からまた面白いサービスが。goo とかもやってることではあるけど。やっぱりデータを押さえてるところは強いね。
Google Trends は、検索キーワードを与えると、過去に Google でおこなわれた検索量の推移をグラフにして見せてくれる。
また、トレンドグラフの下側は、Google News に登場したニュースの項目数の変遷が折れ線グラフ化され、グラフが大きく変動しているところでは、そのときに起こったニュースをピックアップしてマークし、右側に当該のニュースへのリンクが表示される。
下のほうは、検索者の IP アドレスから、そのキーワードで検索した人を地域や国、言語ごとにわけてランキングしている。
国や言語の分類は、日本語の場合はあまり役にたたなさそうだけど、英語なら英語で検索といっても国はたくさんあるし、アメリカではホットじゃないけどオーストラリアで注目されている、みたいな観察もできるのかもしれない。
入力は日本語でもいいみたいだ。最大5つまでのキーワードをカンマで並べて与えられる。また、それぞれのキーワードは、複数単語や除外単語など、通常の Google の検索と同じように "..." や - が使えるようだ。(詳細は FAQ の 2番)
例: ヤフー, グーグル, ライブドア 日本語のニュースが出るともっと例としていいんだけど。
例2: Yahoo, Google, Amazon, AOL, MSN
このサービスは、正式サービスではなく Google Labs 扱いで、実験的なサービスということになっている。また、メニューもそうだがニュースのピックアップ等の対象は英語のみだそうだ。
[追記]
2006年05月10日
サイボウズラボでは優秀なソフトウェアエンジニアを募集しています
という新聞記事 by Newspaper snippet generator
本物の募集要項はこちら(笑)
投稿者 秋元 : 12:18 | コメント (3) | トラックバック
やさしい使用許諾契約(EULA)
Windows XP EULA in Plain English ( 平易な英語で書いた Windows XP の使用許諾契約 ) というページが面白い。
使用許諾契約(EULA)というと、たいていものすごく長い文章で、わかりにくいったらない。というかまず読むことなんて、、、いやなんでもない。ひょっとしたら理解させないために難しくしてるんじゃないかというものも多い。(Windows XP のがそうだといってるわけではないが)
Linux 支持者によるこのページでは、Windows XP のEULA をより簡単な英語で書き換えて並べてみせてくれている。
たとえば、これが
1.4 Remote Assistance/NetMeeting. The Software contains Remote Assistance and NetMeeting technologies that enable the Software or applications installed on the Workstation Computer (sometimes referred to as a host device) to be accessed remotely from other Devices. When you are using Remote Assistance or NetMeeting (or other software which provides similar functionality for a similar purpose) you may share your session with other users without any limit on the number of Device connections and without acquiring additional licenses for the Software. For Microsoft and non-Microsoft applications, you should consult the license agreement accompanying the applicable software or contact the applicable licensor to determine whether use of the software with Remote Assistance or NetMeeting is permitted without an additional license. As used above, a session means the experience delivered by the Software similar to when a user is using the input, output and display peripherals attached to the Workstation Computer.
こうなる
リモートアシスタンスとネットミーティングは上記のルールに縛られません。
すごいよね。
もちろん勝手に要約したものだから、これを根拠にするわけにはいかず、最終的には必ず元の EULA を見るべきなのだろうけど、要約でもかなり参考になるし、左の難しい英語が実際にはどういうことを言おうとしてるのか、というのもわかって英語の勉強にもなりそうだ。
2006年05月09日
一方ロシアは鉛筆を使った の真相
via The Space Review
最近ネットで富に「一方ロシアは鉛筆を使った」というセンテンスを見かけるのだけど、プロジェクトX 風ナレーションってやつ?
この一文を見ただけでも全体の話が想像できてしまって、非常に面白い、よくできた話だなあと思っていたところ、この逸話(?)が流行っているのは日本だけではないらしい。
del.icio.us/popular でこんな解説記事を発見。
結論としてはこの話はよくできたジョーク、あるいは都市伝説(どちらであるかは書き手がわかってて書いてるかどうかによる)だということだ。スペースペンの値段は4ドル程度で、鉛筆の値段とそう違わない。
上記の有名な文は英語だと
"The crafty Russians used a pencil."
というのだそうだ。以下解説記事のポイントをまとめると、
- 普通のボールペンが宇宙で機能しないのはホント
- 有名な宇宙航空史学者までこの逸話を紹介したことがある
- ジョーク中のスペースペンの価格は1億円から100億円、一千億円になることも
- 1963年の宇宙行で一本$128の鉛筆が34本、計$4382で買われた
- 高価格は船内作業で使える取っ手部分などの改造費用。鉛筆本体は$1.75 ( 有権者への弁解の手紙 pdf )
- 人々は価格のわかる身の回りの日常品の購入価格ばかりを見てNASAを非難するようになる(ロット数とか宇宙仕様への改造などは無視して)
- 同時に、宇宙飛行士が勝手に持ち込んだペンテルの鉛筆($0.49)やサンドイッチも存在した ( 私物持込への叱責 pdf )
- 宇宙に行った品に高い価値がつくようになり、また危険防止から、数年後には私物の持込と持ち帰りは厳しく制限されるようになる
- スペースペン($1.98)は1960年代中盤に私企業が勝手に開発したもの。
- この私企業が多額の開発費(つまり、税金ではない)をかけていたかもしれないが、NASAは一切無関係
- 製品名が誤解を生むとしてNASAが抗議 ( pdf )
- 1967年 この企業からスペースペンとは別のペン($4)をNASAが購入
- 1972年 さらに別のペンをNASAが購入 ( 購入票 pdf )
- 嘘から始まったスペースペンはアポロ計画等で本当に宇宙へ行き、販売的にも大成功
以上から、元の話は、
- NASA も最初は鉛筆だった
- NASA が巨額の開発費を投入した、というのはウソ
- 無重力で書けるボールペンがあるのはホント
- ロシアが鉛筆を使ったかどうかは不明。$4 で普通に売ってたなら冷戦下でも輸入してそうだけど
ということに。
なんとなく、この話は本当であってほしいな、本当だったら面白いな、という気持ちもあったけどね。
[追記: 2006.07.14] 欧州宇宙機関 の宇宙飛行士の日記で、ソユーズ内で普通のボールペンが使えたよ、という書き込みを見つけた。ロシアの飛行士から普通のボールペンを使えていると聞き、自ら持ち込んで試したらしい。
コメントで書いたように、下から書いたらすぐ使えなくなるのは手元で試せたけれど、これは重力がボールペンの邪魔をするように働くからで、真の無重力下では問題ないんだろうか?
投稿者 秋元 : 15:55 | コメント (10) | トラックバック
2006年05月08日
読んでも読んでも未読が無くならない
RSSリーダー(と伏せてみたり)の未読数が連休のせいでたいへんなことに。読んでも読んでも終わらない。
気にしないで一気に既読にしてしまえばいいという話もあるけど、貴重なエントリやニュースの見落としがないか不安で、ってのがもうビョーキなんだろうな。
まとめて読むと、いかに毎日バカみたいな量のテキストに目を通していたかということに気づかされる。いやはや。
投稿者 秋元 : 22:50 | コメント (10) | トラックバック
Google Maps API のボタンを日本語にする方法
4月27日のブログで、ヨーロッパ主要各国の地図が追加されたのと同時に、API 経由で描いた地図のコントロールを日本語(や他の主要言語)にする方法も書かれていた。
Google Maps API のライブラリを呼び出す際に、以下のように "hl=ja" をつければ、
<script src="http://maps.google.com/maps?file=api&v=2&hl=ja&key=キー">
これまで英語だったコントロールボタンが、日本のGoogle Maps と同様、「マップ」「サテライト」「デュアル」になる。
# それとも、Google Maps のほうも英語ボタンだったっけ? 覚えてない…
解説では version 2 が指定されている(v=2)けれど、API version 1 でも同じように指定すればコントロールが日本語になるようだ。
以前の サイボウズ地図 と 博物館地図 にもこの変更を入れてみた。
他に Google Maps のコントロールで文字が出てくるところがあるか知らないので、この新機能は3つのボタン名をカタカナにするだけのものだとは思う。でも、こういうところを対応していかないと(英語のせいで)敬遠するユーザは多いだろうから Yahoo! Japan を追撃するには重要だろうな。google.co.jp にはまだ "more" とかあるし。
投稿者 秋元 : 21:42 | コメント (1) | トラックバック
ajaxOS か。。。
ajaxLaunch 毎週水曜の新作発表、ゴールデンウィーク休んだから何か出ているだろうと思ったら、Flash mp3 プレイヤー ajaxTunes の後は出ていないらしい。
過去に出したもののバグ修正や要望対応などをしているというブログでの発表で、「毎週一個」を続けるための隠し玉も切れてきたのかもしれない。
あとブログで、ajaxOS 近日公開、というのも書かれていた。Linspire (旧 Lindows)ベースに、これまでの ajaxLaunch 製ウェブアプリケーションとの親和性を高めたデスクトップ OS だそうだ。つまり、ajax と関係ない。これまでのアプリも ajax 関係無いのが多かった(XUL とか Flash とか)けど、ウェブアプリケーションすら関係ない。
OS から入れ替えられるくらいだったら、制約の多いブラウザベースのアプリケーション使うこともないし、ブラウザベースでどこからでもアクセスできるんだったら、OSやブラウザが何でも関係ないので、どうにも理解に苦しむんだが。。。
2006年05月02日
検索と広告、予算を割くべきはどちら?
検索エンジンで検索をしたなら、
- 左側に検索結果(キーワードに関連の高い順にロボット検索の結果)
- 右側に検索連動広告(検索キーワードを購入した会社の宣伝)
という並びのページが表示される。レイアウトは、Yahoo や Google、その他の検索エンジンでも似たり寄ったりだ。
以前は検索結果と広告の配置も各社バラエティに富んでいたが、Google AdWords の大成功と、Yahoo! がディレクトリ検索からロボット検索へ転換したこともあり、検索結果と広告の配置はどこも Google の配置と似たり寄ったりなものになっている。
検索結果で上位に上げる SEO を専門業者に頼むのも、クリックで課金される検索連動広告を買うのも、どちらも実施するのにコストがかかるとすれば、どちらにどれだけ費用をかけるべきなのだろうか?
SEO 業者は自然な検索結果で上位に出ることこそ重要、と言うかもしれないし、検索連動広告の販売側や代理店は、広告こそ効果あり、と薦めるかもしれない。それぞれ寄って立つ位置が違うから、これはしかたがないだろう。
完全な答えを出すのは難しいが、参考になるレポートはある。Google の検索結果を、一般ユーザがどのように見ているか、というのを調べたレポートだ。
これは ENQUIRO と Did-it、Eyetools らの共同研究で出された有料レポートで、さわりの部分が無料で公開されている。
これによると、Google の検索結果(organic search, 訳すとすれば「有機検索」か。手の入っていない公平な結果、というイメージを持たせた用語)の上位から、ユーザがそのリンクに注目をする確率は以下のようになる。
順位 | 確率 |
---|---|
1 | 100% |
2 | 100% |
3 | 100% |
4 | 85% |
5 | 60% |
6 | 50% |
7 | 50% |
8 | 30% |
9 | 30% |
10 | 20% |
検索結果の上位、1位~3位はほぼ目が通される。続くページ下のほうのリンクは50%ぐらいの人がチェック、スクロールしないと見えない8位~10位のリンクは、2,3割の人にしか読んでもらえない。
これに対し、広告(paid search, 有料検索)については、通常のページ右側にある場合(*1)は以下のような注目度になったという。
順位 | 確率 |
---|---|
1 | 50% |
2 | 40% |
3 | 30% |
4 | 20% |
5 | 10% |
6 | 10% |
7 | 10% |
8 | 10% |
右側の広告の方はというと、左側の検索結果に比べると、ずっと視線が来ていない。一番上に表示されたものでも、半分の人からは無視されていることになる。
この調査結果からは、「検索結果で上位に出る」ことと「広告で上位に出る」ことの効果は同等ではなさそうだ。
オフラインの世界、新聞や雑誌でも「本文を読み、広告『も』読む」人が多く、広告ばかり読む人というのは少ないのではないだろうか。広告よりも検索結果のほうをより公平なものとして信頼している人が多いのだろう。
***
ただし、と、ここから但し書きが多くなる。話はそう簡単ではない、ということだ。
世の中には検索サイト上での検索結果と広告の区別がついていないユーザもかなりの割合存在する、という説もある(*3)。そういうユーザ相手には、左か右かは関係なく、目立つ場所に表示されることの効果が高いのだろう。
また、検索をクリックして自社サイトにやってくるユーザと、広告をクリックして自社サイトにやってくるユーザでは、自社サイトに来た後の行動特性が違うだろう、という話もある。
広告をクリックしてやってきたユーザは、広告に対するアレルギーが少ないし、そこでさらに広告や売り込みをかけても成約しやすい可能性がある。単純に(広告上位より)検索上位のほうがユーザを呼び込めたとしても、そのあとの成約率まで含めて比較すると重要性が逆転するようなケースもあるだろう。
最初に紹介したレポートの数値は参考にはなるが、最終的には自社サイト内での成約率まで含めて総合的に考えた上で判断する必要がありそうだ。
(*1) 被験者数が50人と少ないが
(*2) 広告でも、検索結果の上位にかぶさって表示される場合もある。この場合については抜粋では語られていないようだ。
(*3) 検索結果のページに広告が混ざっていることを認識していない、すべてが検索結果だと思っているユーザが62%もいる、というレポート。(英文、PDF)