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2007年04月09日
Alexa(アレクサ)の統計情報の読みかた
MarkeZine併載コラム 第二回
当ブログでも同日併載する条件で引き受けたので、元原稿をベースにしたものをこちらでも掲載している。
Markezine側の記事では図表を作っていただいたり、プロの編集の手が入っているので、よりわかりやすいのではと思う。
英語のサービスといってもほとんどがグラフと数値
第一回のAlexa(アレクサ)とは何かに続いて、アレクサ・インターネット(Alexa Internet, Inc. 以下「アレクサ」)の統計情報の読みかたについて解説します。
アレクサは世界中のウェブサイトのデータを収集・解析していますが、ページの表示はすべて英語のみとなっています。日本人マーケッターにとってはその部分がとっつきにくさとなります。
しかし、実際のページを少しご覧いただければわかるように、ページ中に英語の「文章」が出てくる箇所はほとんどありません。変化するデータのほとんどが数値やグラフで表されるので、どこに何があるかということを一通り理解してしまえば、日常の情報収集ではほとんど問題なく使えるようになるでしょう。
アクセス数に関する情報はTraffic Detailページ
前回のAlexa(アレクサ)とは何かの最後に開いた、ミクシィのTraffic Detail(詳細トラフィック)ページをもう一度開いてみましょう。アドレスは以下になります。
http://www.alexa.com/data/details/traffic_details?url=mixi.jp
mixi.jpのTraffic Details(詳細トラフィック)ページ
Traffic Detail以外のページが開かれているときは、画面上部やや右に出ている"EXPLORE THIS SITE"(このサイトを探検しよう)の2番目にある"Traffic Detail"をクリックすることでこの詳細トラフィックのページに来ることができます。
ページの上部左側には、そのドメインの代表的なページの画面を縮小したサムネイル画像と、サイト名、サイトの簡単な紹介文が表示されています。
もしご自分のサイトのドメインを調べたときに、このサムネイル画像がちゃんと出なかったり、紹介文が間違っているようなときは、"edit info"から内容の修正を依頼することもできます。ただし、他人のドメインの情報を勝手に変えようとする人もいますので、本人であることを確認するような手続きが必要となります。この登録情報の更新については、また別の機会に説明したいと思います。
3種類のトラフィックデータ: グラフ
その下のグラフが、Alexaのもっとも重要な、いろいろなところから参照されるデータです。
mixi.jpの詳細トラフィックのグラフ
グラフ部分では、三つの異なる情報を切り替えて見ることができます。三つの異なる情報とは、
- Reach (リーチ, 到達)
- Traffic Rank (トラフィックの順位)
- Page Views (ページビュー)
です。グラフの左上のタブでどれを表示するかを切り替えます。
グラフの部分には他にもいろいろなスイッチがあるのですが、それは後にしてページの下へいきましょう。グラフの下には、先ほどの三つの異なる情報が、数値の表として出ています。
3種類のトラフィックデータ: 表
mixi.jpの詳細トラフィックの数値データ
表では、三つの指標それぞれについて、3つの異なる期間と、過去3ヶ月の変動が表示されます。
- Yesterday (昨日)
- 1 wk. Avg. (最近一週間の平均)
- 3 mons. Avg. Yesterday (昨日)
- 3 mons. Change (3ヶ月前からの変動)
期間と変動
3種類の数値情報の意味
では、グラフと数値の二通りの方法で表される、これら三つの情報について、詳しく見ていきましょう。
Reach (リーチ, 到達)
リーチは、インターネット全体を母数として見たときに、そのうちの何パーセントのネットユーザが一日にそのドメインを訪れたか、という割合を表した数値です。
今回の例では、過去3ヶ月の間、一日に世界のネット人口の1万人に56人(0.56%)はmixi.jpを訪れたということになります。また、3ヶ月前に比べると、この割合は16%ダウンしているということを示しています。
世界のネット人口、というのが公開されていないので、訪問者数の絶対数は不明です。
Traffic Rank (トラフィックの順位)
Alexaの把握しているすべてのドメインについて、アクセス数の多いほうから順位をつけた際の順位です。アクセス数というのは、リーチと次に述べるページビューの両方を総合したものです。
今回の例では、(この画像を取得した日の)昨日の時点で、mixi.jpのアクセス数は世界で48番目に多く、それは3ヶ月前から4位ダウン。つまり3ヶ月前の時点では52位だった、ということが読み取れます。
Page Views (ページビュー)
ページビューは、そのドメインを開いた人の、一日一人あたりの閲覧ページ数です。今回の例では22,23といった数字が出ていますが、これは一度mixiに来た人は平均して22,3ページを閲覧しているという意味です。サイトの中を動き回ることの多いmixiなどSNSに特徴的なもので、一般的なサイトでは一桁程度のことが多いようです。
この数値が高ければ、一度訪れたユーザを長い間ひきつけておけるいいコンテンツがあるということかもしれません。
グラフ側のページビューは、訪問一回あたりではなく、インターネット上の百万回のページビューに占めるこのドメインのページビューの割合(パーセント)となっています。表の部分の数値とはまったく別の値なので注意してください。
グラフの使い方
これで、グラフと表の2通りの表現でトラフィック情報が得られることがわかりました。もう一度グラフに戻って、グラフの操作について見て行きましょう。
Range (表示期間)
グラフの横軸の表示期間を変更できます。"d"は日(day)、"m"は月(month)、"y"は年(year)ですから、"3y"だと「過去3年間分を表示」ということになります。"max"はAlexaがそのドメインに対して持っている全期間のデータです。
Smoothing (グラフのスムーズさ)
マイナスに近いほど、補正されていない生データの変動がわかります。
Medium/Large (中/大)
グラフの表示サイズの切り替えです。
Compare sites (複数サイトの比較)
グラフ下部のボックスに、5つまでのドメインを入れて"Submit"を押すことで、複数のドメインのデータを同一グラフ上に並べて表示することができます。
ライバルサイトを並べて比較するときなどにたいへん有用な機能です。
グラフのカスタマイズ例-複数のSNSドメインのトラフィック順位をグラフ化
Permalink (パーマリンク/固定リンク)
いま選んでいるタブやグラフの表示期間は、そのままではメールで送ったりすることができません。今表示している内容を送りたいときは、グラフ右上の"Permalink"をクリックしてください。ブラウザが、現在の状態のグラフを示すURLに切り替わるので、この新しいURLを転載することで、他の人に直接グラフを教えることができます。
Get a FREE graph for your site (グラフを自分のサイトに貼り付ける)
このリンクからは、Alexaのグラフ部分だけを、別のページに貼り付けるコードを取得できます。
たとえば、社内のグループウェア等、毎日チェックするページに自社のドメインのグラフを貼り付けておけば、毎回Alexaのページを開かなくても、変動を確認することができていいのではないでしょうか。
その他のデータ
このページの3種類のデータの後ろにも、その他の興味深いデータが続きます。
国別データやサブドメイン別データ
ドメイン名 users come from these countries(訪問者の国別構成)
ネット全体で、どの国・地域からこのドメインにアクセスがあるのかを、トラフィックの高い国から表示しています。
国名をクリックすると、その国での上位ドメインランキングページに飛びます。"more"をクリックすると上位20位程度まで見ることができます。
たとえばmixiの例だと、ユーザ55人のうち1人はアメリカから、110人に1人は中国からアクセスしている、ということがわかります。
ドメイン名 traffic rank in other countries(国ごとのトラフィック順位)
そのドメインのトラフィック順位が高い国・地域から順に、その国・地域での順位が表示されます。
"more"をクリックすると上位20位程度まで見ることができます。
例だと、mixiはニュージーランドではトップ100に入るようなアクセスを稼いでることがわかります。これは、ニュージーランドにワーキングホリデーなどの日本人留学生が多いことと、ニュージーランドの人口が少ないことなどと関係があるのかもしれません。
Where people go on ドメイン名(サブドメインごとのトラフィック割合)
そして、最後ですが重要なデータとして、ユーザがどのサブドメインにアクセスしているのかという割合も入手することができます。
これによって、会社サイトでサービスや製品別にサブドメインを分けているような場合やポータルサイトでジャンルごとにサブドメインがわかれているような場合に、どの部分に人気があるのか、といったことが外部から推測できいます。
たとえば、mixiユーザのアクセスの100回に1回はmixiミュージックというような値を知ることができます。
今回のまとめ
Alexaの詳細トラフィックに出ているデータの読み方を、ページの上から順に見て行きました。ご自身の運営するサイトのドメインや、ライバルサイトのドメインを入れて、トラフィック数の変遷のトレンドや、国別のユーザ割合などをチェックされてみてはどうでしょうか。
次回は、Alexaのデータはどうやって作られているか、ということを解説します。Alexaのトラフィックデータを間違って理解している人が多いのですが、内部的な仕組みを知ることでそれらの誤解も減らせると思います。
おまけコラム: 最近のAlexaの変更
- AlexaブランドのTシャツ販売を開始
- alexa.comトップページに注目サイトのグラフが載るようになりました
- AdBriteの広告がページ最上部に大きくでるようになりました
長い間ウェブサイトのデザインや機能追加については停滞している感があったAlexaですが、最近いろいろなことを試しているようです。先月の連載第一回でのスクリーンショットが、既に昔の画面となってしまいました。
施策の内容を見る限りでは、サービスからの収益をなんとか向上させようとしているようです。いろんなところにTシャツ販売のリンクが差し込まれたりしているのもそれですね。その結果本来の使い勝手が落ちないといいのですが。
投稿者 秋元 : 2007年04月09日 11:38
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コメント
AlexaのPave Viewは説明を斜め読みすると、全世界のページビューを100万と規格化した場合に、そのサイトが見られている数を示しているのだと思っていましたが、秋元さんの解釈で合っていますか。というのも、あるサイトは60前後の数字が出ていて、実態となんとなく乖離しているからです。
投稿者 西島徹 : 2007年04月09日 20:17
Page Viewは、グラフの方は「100万ページビューあたりのそのドメインが獲得したページビュー数」、表の数値の方は「一日一ユーザがアクセスしたユニークなページ数の平均」だと僕は解釈しています。
60というのはかなり高い数値のように思いますが、あるサイトというのを、ここに書かれるのに差支えがあるようでしたらメールにて教えていただければ、こちらでも見てみますがいかがでしょう。メールアドレスは姓@gmail です。
投稿者 秋元 : 2007年04月10日 00:11