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2007年08月10日
FirefoxでもAlexa(アレクサ) / Pathtraqリリース
MarkeZine併載コラム 第六回
今回はWindows/IE以外でのアレクサツールの紹介。
あと最後に、8日に公開されたサイボウズ・ラボの新アクセス解析サービスPathtraq(パストラック)の紹介。
このシリーズは、マーケジンの連載との併載になっている。
Windows/IE以外でもアレクサに参加できる
過去二回に渡り、Windows上のインターネットエクスプロラー(IE)向けのアレクサ・ツールバーについて説明をしてきました。今回は、それ以外の環境でアレクサの統計に参加するためのツールについて紹介します。
また、サイボウズ・ラボが新しくはじめた、アレクサの代わりと成り得るトラフィック集計サービスについても紹介させていただきます。
この記事はAlexa(アレクサ)に関する連載の第六回目になります。アレクサが何で、どう使うかということについては、第一回のアレクサとは何かからお読みいただければと思います。
AlexaデータはWindows/IEユーザの統計だった
前々回からご紹介しているアレクサ・ツールバーは、マイクロソフトWindows上のInternet Explorer専用のツールバーでした。
アレクサでは、ここ何年間のあいだというもの、このIE用のツールバーがAlexaの唯一の情報収集手段でした。(さらにその前には、NetscapeやIEにAlexaの機能が内蔵されていました。詳しくは連載の第三回をご覧ください)
一時期は、この構成でウェブにアクセスする人が90%を大きく越えるようなブラウザのシェアになっていたこともあり、そのような状況ではIEを使うユーザのアクセス先を調べていれば十分だったろう、というのもあったでしょう。。
しかし、その後、ブラウザの市場シェアは、Firefoxのシェアの増加や、アップルのマッキントッシュ(標準ブラウザはSafari)の復調などもあり、Intenet Explorerのバージョン4や5の時代に比べると、Intenet Explorerだけ対応していればいいという状況ではなくなってきています。
アメリカや日本はそれほどでもありませんが、ヨーロッパやオセアニアでは国によってはFirefoxのシェアがIEに迫るほど高いところもあり、IEユーザだけの統計を取っていては正確なトラフィック分析ができなくなりつつあります。(*1 http://www.xitimonitor.com/fr-fr/barometre-des-navigateurs/firefox-juillet-2007/index-1-1-3-102.html)
その様な状況下で先月リリースされたのが、Firefoxブラウザのための公式アレクサ・アドオンSparkyです。
Firefox向けの公式ツールバーSparky
Sparkyとは
正式名称が"The Alexa Toolbar for Firefox"(Firefox向けアレクサ・ツールバー)であることから、Firefoxユーザに対してアレクサ・ツールバーの機能を提供するものです。
また、ブラウザへの組み込みも、ツールバーという形式ではなく、機能追加のためのアドオンの仕組みに従っています。
IE版のツールバーには今はもう有用とはいえない機能も入っていますが、まったく同じ機能を揃えているわけではなく、独自のアドオンとなっています。
Sparkyのインストール
Sparkyのインストールは、他のFirefoxアドオンのインストールのしかたとまったく同様です。ダウンロードページから"Install Now"(いますぐインストール)のボタンをクリックすると、プライバシーポリシーの確認ページが出て、同意するとアドオンのダウンロードが始まります。
もし、次のような警告画面が出るようであれば、
「設定を変更」を押して、Sparkyの配布ドメイン"sparky.mozdev.org"を許可サイトに追加して、再度インストールを試みる必要があります。
インストールが終了したら、Firefoxを再起動すればSparkyが有効になります。
Sparkyの使い方
Sparkyがインストールされていれば、Firefoxブラウザのステータスバーに、最近のリーチ(Reach)の移り変わりをグラフにしたものや、アレクサ順位(Rank)ランクが数字と棒グラフで表示されます。
ページを移るたびに、今見ているページのドメインに関する情報が出てくるので、いろいろなページを見てアレクサのデータをチェックするような人には手間が省けて有用かと思います。
Sparkyのステータス表示の上で右クリックすると、メニューが出てきます。大きく3つにわかれており、1つめはアドオン自身の情報や、どの表示に関する設定です。
中段は、アレクサの検索エンジンに関する機能へのリンクです。検索エンジンとしてのアレクサはほとんど使う人もいませんが、今見ているドメインに関する検索を行なったり、キャッシュされたページを調べられます。
最後のグループは、今見ているページのドメインに関するアレクサの統計ページへのジャンプです。
また、ナビゲーションバーには、"Related Links"(関連するほかのサイト)を表示するメニューが追加されています。今見ているドメインと似ていたり、関連が深いドメインのサイトが推薦されます。
Firefox向けの非公式なアドオン
Sparkyが出る前から、Firefoxには「非公式」なAlexaツールバー相当のアドオンが複数存在しました。これらは、アレクサ社とは無関係にアレクサ・ツールバーの内部動作などを解析して勝手に作成されたものです。
アレクサの統計データの性格から、ウェブマーケッターやSEOを行なう人向けのアドオンに含まれていることが多いです。
SearchStatus アドオン
南アフリカのネットマーケティング会社Quirkによって提供されているSearchStatusアドオンは、SEOに関する様々な情報を現在開いているページに関して調べてくれる無料ツールです。
SearchStatusをFirefox上にインストールしておくと、ページの切り替え毎に、
- Googleページランク
- アレクサ順位
- アレクサの競合サービスの一つコンピート(Compete)の順位
などをステータスバーに表示してくれます。(表示方式や表示場所もカスタマイズできます)
SearchStatusアドオンは、Googleのページランクや、アレクサの競合サービスであるCompeteの順位も表示します。
Smart Toolbar アドオン
Smart Toolbarも、アレクサ順位、Googleページランク、バックリンク数やWhoisなどその他のSEOに関する情報を表示するためのFirefoxアドオンです。
RankQuest SEO Toolbarアドオン
RankQuest SEO Toolbarも、アレクサ順位やGoogleページランクのチェック機能を含んだアドオンです。
リンク切れのチェックなどSEOやサイトデザインに関する多くの機能を持っています。不完全ですが、メニューの一部は日本語化もされています。
このRankQuestは、Internet Explorer版のツールバーも作って配布しています。
その他のアレクサ関連Firefoxアドオン
About This Site(このサイトについて)アドオンなど、他にもAlexaの情報を取得表示する機能を持つアドオンは存在します。
また、AlexaのRelated Links機能を提供するアドオンとしてAlexa Sidebar AgainやMetaTagsがあります。
どのアドオンも、アレクサの統計データを表示するためにはアレクサに閲覧情報を送信しているので、公式でも非公式でも同じようにアレクサに一人分の閲覧データは送り込まれます。データ収集の内部仕様が変わらなければ、自分にとって一番便利なアドオンを使って問題ないと思います。
Sparkyが出る前から存在していたこれらのアドオンやSparkyによって、Firefoxのユーザの閲覧情報もアレクサの統計に反映されているといえます。また、FirefoxはMacOSXやLinuxなどでも動くので、Windows以外のユーザでもこれらのアドオンを使うことができるようになったわけです。
Pathtraq(パストラック)公開
筆者の所属するサイボウズ・ラボでは、8月8日に新しいトラフィック統計システムPathtraq(パストラック)をリリースいたしました。
アレクサの弱点や限界については、この連載でもいずれお話しする予定となっています。新サービスPathtraqは、それらの問題に対するサイボウズ・ラボからの対案です。
アレクサとパストラックでは、その内容や実現の仕組みに大きな違いがあります。詳しく知りたい方はぜひPathtraqのサイトや今後出てくるであろうニュース記事の解説をお読みいただきたいと思います。
一つだけ例としてあげると、たとえば、Alexaがドメイン単位での集計でしかなく、一つのドメインに異なる複数のウェブサイトやコンテンツがある場合にそれ以上の情報が見えてこないのに対して、Pathtraqではページごとのアクセスやページ間の遷移情報なども活用しています。
アレクサやその競合サービス(これらも今後紹介いたします)とは異なる、後発らしい工夫を盛り込んでありますので、ぜひお試しいただければと思います。ユーザ参加型のシステムですので、参加者が一定数を越えればかなり面白いサービスとなることでしょう。
今後の連載で、アレクサやその他の類似サービスの特徴について解説していきますが、そのときにパストラックについても必要に応じてお話させていただきます。
投稿者 秋元 : 2007年08月10日 15:00
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