2006年06月13日

Alexa ランキング―どれだけ信頼できるか―

japan.internet.com 併載コラム

Alexa は、オンライン書店の雄 Amazon が 1999年に買収した子会社で、Web サイトがどれだけの人に見られているかを調査することを事業としている。テレビでいう視聴率調査に似たサービスだ。

http://alexa.com/ で、調べたい Web サイトのドメイン名を入力すると、そのドメイン名のサイトに対するアクセス量(トラフィック)や訪問者数、一回の訪問あたりの閲覧ページ数などの情報が表示される。今のところページの表示は英語だが、主な内容はグラフと表で示されるため、慣れれば英語であることは気にならないと思う。

ユーザーがブラウザで直接それぞれの Web サイトを見に行くという WWW の仕組みで、無関係な第三者の Alexa が「誰がいつ、どのサイトを見たか」というデータをどうして取れるのか。「Alexa ツールバー」というブラウザの拡張ツールがその秘密の鍵となる。

Alexa.com から“Alexa Toolbar”をダウンロードしてインストールすると、Internet Explorer 上で各 Web サイトを閲覧した際に、その訪問情報が Alexa にも送信されるのだ。

Alexa はこのようにして送られてきた訪問先情報を集計することで、各 Web サイトの訪問者数予測やサイト滞留ページ数を求め、さらにそれらを比較することで、人気 Web サイトのランキングなども提供している。

***

Alexa 社は、Alexa ツールバーだけでなく、他にもいろいろなツール経由でユーザーの訪問情報を収集している。

Internet Explorer の以前のバージョンでは、メニューの[ツール]―[関連したリンクの表示]から、閲覧中のサイトの関連サイトを表示させるという機能を有効に設定することで、Alexa ツールバーと同様のレポートが送信されるようになっていた。(*1)

Amazon の提供する A9 ツールバーにも、Alexa のランク情報を表示する機能があり、Alexa ツールバー同様に閲覧した URL 情報を Alexa に送信している。こちらは Firefox でも使うことができる。

Firefox の場合には、SearchStatus という拡張ツールもある。Alexa 以外から提供されているツールではあるが、Alexa ツールバーと同様の情報を Alexa.com に送っていると思われる。

***

しかし、ユーザーの閲覧情報を外部のサーバーに送ってしまうというこれらのツールの仕組みは、スパイウェアであると考える人々もいる。

実際、Norton AntiVirus などのアンチウィルスアプリケーションのいくつかは、Alexa ツールバーをスパイウェアとして駆除するようになっている。このようなアンチウィルス製品がインストールされた環境では、Alexa ツールバーを入れてもすぐに駆除されて作動しないということがある。(A9 ツールバーや SearchStatus などの互換ツールは、ユーザーが少ないために駆除対象となっていない場合も多い)

***

Alexa ランキングは、インターネットにおける自サイトの人気度を示す指標の一つとして、Web サイトの製作者やプロデューサらから注目されてきた。

Alexa ツールバーは、Alexa でのランキングを確認するのが簡単になるため、そういった人達によってインストールされ、かなりの数が使われていると思われる。

このようなプログラムによる自動収集では、より多数のデータを取ることができ、実態に近いランキングが作れるという利点がある。しかし、集約されたデータは「Alexa ツールバーを入れそうな人」のネットサーフィンしか反映していないという欠点もある。

Google のエンジニアで有名ブロガーでもある Matt Cutts 氏は、Alexa のデータで Ask.com の訪問者数が彼の Blog の4倍にしかならないことを根拠に、Alexa ランキングの信憑性に疑問を呈している。

Matt Cutts 氏の Blog は人気 Blog ではあるが、検索エンジンで4位につけている Ask と比べられるほどのものではないのも明らかだ。

この現象は、Matt Cutts 氏の Blog を読むような読者が、検索エンジンや SEO にとりわけ興味を持ち、Alexa ツールバーを入れている人の割合も非常に高いだろう、ということで説明することができる。

その他の Web サイトでも、SEO 関連のサイトや、Alexa ツールバーの使い方を紹介しているサイトなどは、高めの数字が出ているように見える。

***

訪問者のかなり多いサイトであれば、あなた自身やあなたのチームによるアクセスが Alexa ランキングに与える影響は割合としてそれほど多くないだろう。

しかし、訪問者が少ないサイト、元々の Alexa ランキングが10万位よりも低いようなサイトの場合には、社内や関係者のブラウザに上記のツールバーを入れて、日常的にアクセスするだけで、大きくデータが変動してしまう。

そんな操作で変動してしまうランキングだとすれば、当然、プログラムで同様の操作をすることも理論的には可能で、そのようなアンダーグラウンドなツールもいくつか存在する。(*2)

だから、SEO 業者などが Alexa のランキングなどを達成目標として提示してきた場合には注意が必要だ。Alexa ランキングがそれほど正確ではないということを知らないとしたら業者としてモグリだし、知っていて成果評価に使おうと言うならそれも問題だからだ。

途中で恣意的な操作が入っていないことが把握できているのであれば、Alexa のランキングやトラフィックの変化情報は依然としてサイト管理やプロデュースに有用な情報だ。数か月、数年といった長期にわたるアクセスのトレンドを簡単に知ることができる。

「Google ページランクにだまされるな」の話と同様、指標の数値を上げることがビジネスの最終的な目標ではない、ということを理解することが重要だ。


(*1)http://www.imilly.com/alexa.htm
(*2)まっとうな Web サイト製作者には無意味なツールなので、製品名やリンクは記さない。どうしてもという方は検索すれば見つけるのは難しくない。

投稿者 秋元 : 09:00 | トラックバック

2006年05月16日

あのライバルは SEO で抜けるのか?

japan.internet.com 併載コラム

以前のコラム「Google ページランクにだまされるな」で、Google ツールバーで表示されるページランクには実際的な意味がほとんど無く、検索順位に直結しないこと、この数字は操作可能でさえあり、ページランクを Web サイト運営の目標や広告価値の指標にすることの危険性を指摘した。

ページランクはあくまで「楽しむための参考値」で、最終的な目標は検索結果での順位だ、ということは決して忘れてはならない。

SEO 対策を業者に頼むのであれば、頼む前に何位だったのか、頼んだ結果何位になったのか、ということがその業者の成果だ。(*1)

***

しかし、順位の数字だけでは見えてこないこともある。マラソンに例えれば、ライバルが1位で自分が2位だとして、差は一人分ではあるが、その差が5秒なのか、5分なのかでは大きな違いがある。

このような、順位の違いに隠された実際の差については、どうやって調べればよいのだろうか?

キーワードと無関係にページごとにつく、いわゆる「ページランク」以外に、もう一つの隠れた指標が存在する。まずは、その「隠れた指標」を適当な検索ワードで見てみよう。

ここでは、Google ではなく BIGLOBE を使う。BIGLOBE の Web 検索は Google からサービスの提供を受けており、基本的には Google の検索結果と同じ順位で同じ結果が表示される。 (*2)

例: BIGLOBE で“メール管理”を検索

しかし、検索結果の URL の左側に表示されるオレンジ色の縦棒が、Google 検索と BIGLOBE 検索の大きな違いだ。

検索結果が1位のサイトは10本の縦棒すべてがオレンジ色で、2位、3位と順位が下がるにつれて、オレンジの棒の数が減っていく。

このオレンジ色の棒の数は何を示しているのか、という説明は見つからないのだが、BIGLOBE の検索ヘルプの図中では、これが“PageRank”ということになっている。(japan.internet.com 編集部から NEC に問い合わせをしていただいたところ、同社では便宜的に「ランク」と呼んでいるようだ。Google の本家ページランクと区別しづらいので以下 「隠しページランク」 としておく。)

いわゆる総合的なページランクは、検索順位との直接の関係が疑われる参考値だが、BIGLOBE で出てくるオレンジ色の「隠しページランク」は、そのとき検索したキーワードに特化した「検索結果の強さ」と見ていいだろう(*3)。

上記の例では、1位(10本)と2位(7本)はそれほど差がついていないが、2位と3位(3本)は大きく離れている、ということが見て取れる。 (*4)

おそらく、Google 検索を利用している提携各社は、検索結果に合わせて様々なデータを得ており、その中からどれを自サイトで表示するか選べるようになっているのだろう。どうして BIGLOBE だけがこの「隠しページランク」を表示しているのかはわからないが、事情がなにであれ、Web サイト運営者にとって有用な情報であることは間違いない。

***

検索結果における上位表示の重要性については、前回のコラムで書いた。もう一度前回のコラム「検索と広告、予算を割くべきはどちら?」を思い出してみよう。検索結果ページで、1位から3位の結果がユーザーの視線を得ることができたのは100%だった。

あくまで少サンプルの実験だということは注意しなければならないが、「なにがなんでも1位でないと自社サイトに誘導できない」というわけではなく、3位以内に入った上で、表示される自社サイトの名前や要約でユーザーをひきつけることができれば、1位でなく3位表示でも、クリックして見に来てくれるユーザーは少なくないだろう。

順位は高いに越したことはないが、1つ2つの上下は致命的な違いではない。

もし、自社サイトが3位で、BIGLOBE で知った「隠しページランク」の2位との差が非常に大きかった場合、ちょっとやそっとの改善では順位は変わらないかもしれない。その場合は、SEO をがんばって2位を目指すより、表示されるタイトルや要約を改善したり、他の制作や SEM 活動に予算を回したほうが効率がいいだろう。もちろん、4位、5位のサイトとの差にも注意して、抜かれない程度にはがんばる必要はあるが。

また、すぐ一つ上のサイトとの差が非常に小さければ、少しの SEO 対策で順位が逆転できる可能性がある。こういう場合はまず SEO 対策にコストをかけて順位を上げ、その後他の活動をしたほうがいいだろう。

BIGLOBE の検索で表示される「隠しページランク」情報を使うことで、次の効果的な手は何か、という判断に正確さを加えることができるだろう。


(*1)本質的ではない SEO 対策をする業者相手の場合は、「契約が切れたときに順位が落ちたりしないか」というチェックも重要。短期間だけ効くインチキ対策の場合もあるからだ

(*2)順位変動の波及が遅くて結果が多少異なる場合もある。同一ドメイン内での複数ページ表示、タイトルや要約の表示など、何をどう表示するか、といった点でも細かな違いはある。

(*3)NEC によると、検索キーワードとの「マッチング度合い」を示すという。意味としては同じである。

(*4)2006年5月12日現在の検索結果での場合

投稿者 秋元 : 09:00 | コメント (4) | トラックバック

2006年05月02日

検索と広告、予算を割くべきはどちら?

japan.internet.com 併載コラム

検索エンジンで検索をしたなら、

- 左側に検索結果(キーワードに関連の高い順にロボット検索の結果)
- 右側に検索連動広告(検索キーワードを購入した会社の宣伝)

という並びのページが表示される。レイアウトは、Yahoo や Google、その他の検索エンジンでも似たり寄ったりだ。

以前は検索結果と広告の配置も各社バラエティに富んでいたが、Google AdWords の大成功と、Yahoo! がディレクトリ検索からロボット検索へ転換したこともあり、検索結果と広告の配置はどこも Google の配置と似たり寄ったりなものになっている。

検索結果で上位に上げる SEO を専門業者に頼むのも、クリックで課金される検索連動広告を買うのも、どちらも実施するのにコストがかかるとすれば、どちらにどれだけ費用をかけるべきなのだろうか?

SEO 業者は自然な検索結果で上位に出ることこそ重要、と言うかもしれないし、検索連動広告の販売側や代理店は、広告こそ効果あり、と薦めるかもしれない。それぞれ寄って立つ位置が違うから、これはしかたがないだろう。

完全な答えを出すのは難しいが、参考になるレポートはある。Google の検索結果を、一般ユーザがどのように見ているか、というのを調べたレポートだ。

これは ENQUIRO と Did-it、Eyetools らの共同研究で出された有料レポートで、さわりの部分が無料で公開されている

これによると、Google の検索結果(organic search, 訳すとすれば「有機検索」か。手の入っていない公平な結果、というイメージを持たせた用語)の上位から、ユーザがそのリンクに注目をする確率は以下のようになる。

検索結果が目に留まる確率
順位確率
1100%
2100%
3100%
485%
560%
650%
750%
830%
930%
1020%

検索結果の上位、1位~3位はほぼ目が通される。続くページ下のほうのリンクは50%ぐらいの人がチェック、スクロールしないと見えない8位~10位のリンクは、2,3割の人にしか読んでもらえない。

これに対し、広告(paid search, 有料検索)については、通常のページ右側にある場合(*1)は以下のような注目度になったという。

広告が目に留まる確率
順位確率
150%
240%
330%
420%
510%
610%
710%
810%

右側の広告の方はというと、左側の検索結果に比べると、ずっと視線が来ていない。一番上に表示されたものでも、半分の人からは無視されていることになる。

この調査結果からは、「検索結果で上位に出る」ことと「広告で上位に出る」ことの効果は同等ではなさそうだ。

オフラインの世界、新聞や雑誌でも「本文を読み、広告『も』読む」人が多く、広告ばかり読む人というのは少ないのではないだろうか。広告よりも検索結果のほうをより公平なものとして信頼している人が多いのだろう。

***

ただし、と、ここから但し書きが多くなる。話はそう簡単ではない、ということだ。

世の中には検索サイト上での検索結果と広告の区別がついていないユーザもかなりの割合存在する、という説もある(*3)。そういうユーザ相手には、左か右かは関係なく、目立つ場所に表示されることの効果が高いのだろう。

また、検索をクリックして自社サイトにやってくるユーザと、広告をクリックして自社サイトにやってくるユーザでは、自社サイトに来た後の行動特性が違うだろう、という話もある。

広告をクリックしてやってきたユーザは、広告に対するアレルギーが少ないし、そこでさらに広告や売り込みをかけても成約しやすい可能性がある。単純に(広告上位より)検索上位のほうがユーザを呼び込めたとしても、そのあとの成約率まで含めて比較すると重要性が逆転するようなケースもあるだろう。

最初に紹介したレポートの数値は参考にはなるが、最終的には自社サイト内での成約率まで含めて総合的に考えた上で判断する必要がありそうだ。

(*1) 被験者数が50人と少ないが
(*2) 広告でも、検索結果の上位にかぶさって表示される場合もある。この場合については抜粋では語られていないようだ。
(*3) 検索結果のページに広告が混ざっていることを認識していない、すべてが検索結果だと思っているユーザが62%もいる、というレポート。(英文、PDF)

投稿者 秋元 : 09:00 | コメント (2) | トラックバック

2006年04月19日

Open Directory コピーサイト記事に関する補足

昨日のコラム記事 ディレクトリサイトに関する SEO の常識がまた一つ変わった について、渡辺隆広さんのブログでご指摘をいただいた。

4月の Google アルゴリズム変更で Open Directory クローンがインデックスから多数外された事実は無いということなので、この点を撤回させていただく。

今回のアルゴリズム変更では、僕がウォッチしているいくつかの分野で Open Directory クローンを活用しているサイトが順位を大きく下げたために昨日のコラムのような判断をしたが、渡辺さんが違うと書かれてるのであれば間違いの可能性が高いと思う。

指摘いただいたのは渡辺さんの個人ブログだが、この方は日本でのSEO対策を長年研究されているSEO/SEMのプロで、怪しいSEO業者が多い中で、インチキではない(というのも僕の個人的判断だが)SEO対策を指導されている数少ない方だ。覚えておられるかどうかわからないが僕も一度だけお会いして、短時間だがいろいろ教わったことがある。

コラム全体の主張は変わらないが、上記の点、訂正を入れさせてほしい。ごめんなさい。


あと、今回のコラムはやや多目のトラックバックやリンクをいただいている。

先日Googleの検索デフォルトが「ディレクトリ」から「ローカル」へと変更した事により、Google自身が今後ディレクトリに注力しない方向へシフトチェンジするのかなと予想してみました。

Google のトップページから、ディレクトリが削除され、サブページへ移動されたのは、Google がディレクトリ検索の重要性を無くそうとしている、という点で同意。もともと、人力による作業を排除するのが、Google を Yahoo や AOL とは違わせている特徴なのだし。

また、「SEO はいずれ Google の努力ですべて効かなくなる」という予想がいくつかトラックバック先やさらにその先で書かれているが、僕個人としては SEO や不正なSEO(スパム)が完全に無くなることはないと予想している。

たとえば、友人親戚一同にブログで紹介してもらったら、それはマーケティング活動なのか不正なSEOなのか? そんなことがプログラムで判定できるわけがない、というかそれをさせるための仕様が書けない。

つまるところ、何が不正かを決める明確なラインがあるわけではないから、SEOの考えがなくなることはないだろう。もちろん各検索エンジンは進化するだろうし、十分使える検索結果を出し続けてくれるよう期待もするけど。

投稿者 秋元 : 13:57 | トラックバック

2006年04月18日

ディレクトリサイトに関する SEO の常識がまた一つ変わった

japan.internet.com 併載コラム

Open Directory(オープンディレクトリ)というディレクトリサイトが古くから存在する。

SEO の指南書では「Yahoo! ディレクトリ以外に、この Open Directory にもサイトを登録すると良い」と書かれていることが多い。実際、Open Directory に登録されると Google などのロボット検索で検索順位が上がる現象は存在していた。

しかし、今月あったとされる Google のアルゴリズム変更によって、Open Directory に登録されていることで順位を上げていた Web サイトが多数、順位を落としてしまっている。

今回は、いったいその背景で何が起こっているのか、今後サイトの上位表示を目指すために、Open Directory はどう扱うべきか、について説明してみたい。

Open Directory の歴史

Yahoo! Japan も今は Google のようなロボット検索がメインに切り替わったが、Open Directory は Yahoo! ディレクトリなどのディレクトリ検索サービスが主流だった頃に「企業に紐づいていないオープンなディレクトリサービスを作ろう」という趣旨で立ち上げられた。

このような、全世界から多数の人が少しずつコンテンツを貢献するというサービスで、最近もっとも有名なものはオンライン百科事典サイトのウィキペディア(Wikipedia)だろう。

Open Directory、ウィキペディアともに「みんなで作った巨大なデータ」であり、みんなで作ったという性格上、他の私企業のサービスと大きく異なる点が一つある。それは「データはオープンなもので、誰でも再利用してよい」という点だ。

Yahoo! のディレクトリのデータを丸ごとコピーして勝手なタイトルをつけて公開したら、Yahoo! に訴えられるのは必至だ。多数のデータを蓄積したことでユーザーを惹きつけ、広告収入などにつなげているのだから当たり前ではある。しかし、Open Directory やウィキペディアはコピーサイトを作ることを禁じていないのだ。

その結果、Open Directory と同じ内容を持つ、ちょっとデザインだけ違う Web サイトが数百から数千、Web に存在するようになってしまった。

Open Directory で使われているカテゴリ名などを使って検索してみれば、このようなコピーサイトはいくらでも見つけることができる

ただ、Open Directory のデータは丸ごとコピーしたサイトを作ってもらいたくて公開されているわけではない。本来は特定の地域やカテゴリのデータに独自の工夫を加え、よりすばらしいサイトを作ってほしいという意図だろうが、実際は「タダで入手した大量データで簡単に立派なサイトを作る」という使われ方がほとんどだ。

また、Google Directory という Google 自身のサービスでも、この Open Directory のデータは使われている。Google は元々、ディレクトリ検索に力を入れていなかったが、Yahoo! や MSN、AOL などとの対抗上、手間をかけずにディレクトリ検索も提供するために Open Directory のデータをコピーしたサービスを持っている。

Open Directory に登録すると順位が上がっていた理由

これまでは、以下のような手順で、検索順位の押し上げが発生していた。

(1) 本家の Open Directory に登録申請して、「花形自動車」という名前で自社サイトが登録されたとする。

(2) 本家を500のコピーサイトが順次本家の更新内容をコピーしていき、最終的には500の異なるサイトから「花形自動車」というリンクが自社サイトに張られることになる。

(3) 「500のサイトが『花形自動車』と紹介しているから、Google などのロボット検索エンジンはこのサイトが『自動車』に関係深いサイトに違いない」と判断し、「自動車」で検索したときにこの登録サイトを上位に表示する。

「自由にデータを再利用してよい」というポリシーが、悪い SEO 業者がおこなうリンクファームと言われる不正手法と同じ結果になってしまっていたわけだ。

今回 Google が行った変更とは?

SEO 研究者らのフォーラムで報告されている話では、Google は今回のアルゴリズム変更で、Open Directory のコピーサイトのうちかなりの数をインデックスから除去したという。

このため、Open Directory に登録されていることが原因で上位表示されていたサイトが軒並み順位を下げるという結果になってしまった。

今後の見通し

Open Directory をただコピーしたサイトには価値が無いとする Google の判断は、一般から見ても自然ではないだろうか。今後もコピーサイトをインデックスから追放するという流れは逆戻りすることはなさそうだ。

では、Open Directory に登録申請することにまったく意味がなくなるかというとそうではなく、多少の効力は残るだろう。なぜなら、

- Google 以外の検索エンジンでは、Open Directory+そのコピーサイト群からのリンクがまだ効いている可能性があるし、

- Google は単なるコピーサイトを排除しているだけで、Google 自身も Google Directory というコピーサイトを運営している(このあたり矛盾を感じるが)。このためオリジナルの Open Directory がインデックスから外されるとは考えにくい。

Open Directory への登録は、これまでのような「重要な手法」ではなくなり、数多くある対策のひとつに過ぎなくなるだろう。

投稿者 秋元 : 09:00 | トラックバック

2006年04月04日

Google ページランクにだまされるな

japan.internet.com 併載コラム

ページランクとは

Google ページランク(PageRank, PR)という指標を耳にされたことはあるだろうか。一般的には検索エンジンGoogle の検索結果が決まるときの重要な数値、ということになっている。

この数値は、できるだけ簡単に言うと「良いページからリンクされたページも良いページ」という原則に従って、Web 上の大量のページ間の関係から計算で求められるものだ。0から10で表され、10が最も高い。

PageRank 0 は、Google の検索エンジンに登録されていないときや、以前は登録されていたが何らかのペナルティで未登録の状態に戻されたときにつく値で、つい最近ドイツの BMW や サイバーエージェントなどの企業サイトが不正な SEO と判定され、Google の検索結果に表示されなくなるニュースがあったが、そのときも PR は0となっていた。

たとえば、高いページランクを持つ日本語の Web サイトとして以下などがある(*1)

ページランク企業/団体
10慶応義塾大学
9グーグル
8ヤフージャパン
8goo
8外務省
8文部科学省
8首相官邸
8リアルネットワークス
8マクロメディア
8CNET ジャパン
8アップルジャパン
8アドビ
7ニフティ
7楽天市場
7総務省
7アサヒコム

自分のサイトについてページランクを調べるには

自分のサイトのページランク(ページランクはページごとに付与されるので正確には自分のページのページランク)を調べるには、いくつか方法がある。 Google に認められている正規の方法は、Google Toolbar という Google の提供するツールバーをインストールすることだ。

Windows の Internet Explorer の場合はこちらで、ブラウザが Firefox の場合は、Windows、Mac OS X、Red Hat Linux など用のツールバーが、Google 自身により提供されている。

このツールバーをダウンロードしてインストールすると、現在訪問中のページについて、そのページランクがいくつなのかが、白地に緑色の棒グラフで表示される。

ページランクは、Google ツールバーをインストールすることでもチェックできるが、外部のプログラムをわざわざインストールしたくないとか、会社のポリシーで勝手なものを入れられないという人には、ブラウザ上で確認できるサービスが多数提供されている。

http://pagerank.bookstudio.com/

http://www.gssm.musashi.ac.jp/~ono/grank/

http://tools.the-search.info/pagerank/

http://pr.blogflux.com/

http://www.sitening.com/tools/page-rank/

http://www.freelance-help.com/google-ranking-report/google.php

http://www.1st-submit.com/google-pagerank/

ただし、これらのサービスは Google と無関係に運営されており、無くなったり止まったりすることも多い。

ページランクが高ければすべて良し?

たしかに、Google が最初に出てきた頃は、検索結果の上位に出てくるのはページランクの高いページばかりだった。

そのことから「ページランクを上げることが SEO である」という誤解が定着してしまった。これも目的と手段の取り違えである。

しかし、最近では、ページランクの数字が実際にどれほど検索順位に影響するのか、ということに疑問が持たれはじめている。

実例でみるページランクの問題点

DarkSEO チームという、グレーゾーンの SEO を研究しているフランスのグループがある。

彼らが公開している次のページのページランクを、前述のテストサイトやグーグルツールバーで調べてみてほしい。

http://pr10.darkseoteam.com/

なんと、このページはページランクが10のページなのだ。

さらに、ページの下部には、“PR9 - PR8 - ……”とリンクがある。以前は5から10までのページランクのページがきれいに揃っていたが、Google 側もそれなりに監視しているようで、見るタイミングによってはもっと低い、本当の PageRank が出ることもある。現時点(*2)では PR10 のみが成功しているようだ。

念のため付け加えると、この darkseoteam.com は、決してコンテンツの優秀さで多くのリンクをもらってページランク10を達成しているわけではない。ページランクの高い他所のページ(google.com など)から不正な手段でページランク10を「拝借」しているに過ぎない。

では、どうして Google はこのページランク10 のサイトを厳しく取り締まらないのか?

DarkSEO チーム側が取り締まりに対抗し続けているからということもあるだろう。しかし、それ以前に、ページランクが10であってもこの darkseoteam.com がいろんな検索語で1位に出てくるわけではないことに注目してほしい。darkseoteam.com 上にあるキーワードを並べて検索しても、darkseoteam.com のページはまったく上位に出てこない。

また、ページランクについて問い合わせた結果、グーグル自身から「ツールバーで表示されるページランクは楽しむためだけにお使いください」(*3)という回答を受けたという人の話もある。

これらの現象(検索順位がたいしたことがない、Google が厳しく取り締まらない)から考えると、ツールバーに表示されるページランクはたいして信用のおけるものではなく、ちょっとした手法で好きな値にすることさえできてしまう、ということなのだ。

まとめ

現在では、ページランクに関する SEO 研究者達の見解は以下のようになっている。

1. 人気サイト → ページランクの高いサイト

これはおおむね成り立ってはいるが、値の反映は数か月遅れだったり、けっこう変動したりする。

また、ページランクは実際に検索されるキーワードと無関係な「総合的な人気度」を反映するが、実際には「来てほしいキーワード」でページが上位に出なければページランクがいくら高くても意味はないため、ページランクの数値は集客に直結しない参考値でしかない。

2. ページランクの高いサイト → 人気サイト

こちらは、前述したようなインチキもできるので必ずしも成り立たない。

ページランク対策を強調する SEO 業者に会ったら

「我が社のページランクの高いページからリンクを張って差し上げます」というような SEO 業者が存在する。

しかし、上で述べたことから、SEO 業者の成果はあくまで(最終的にユーザがあなたのサイトを検索するときと同じ)検索結果、検索順位で測るべきで、ページランクの数字で評価すべきものではない、ということがおわかりいただけたかと思う。

ネット広告の出稿先の判定なども同様で、ページランクの高いサイトだからといって自動的に「人気サイト、影響力の高いサイト」などという風には考えないほうがいいだろう。

(*1) 2006/3/31現在。網羅しているわけではないので、他にもページランクの高い日本語のページはある。また、ページランクはサイトではなくページごとにつくので、正確にはこれらの企業のトップページのページランクを指していることが多い。

(*2) 2006/3/31現在

(*3) http://forums.searchenginewatch.com/showthread.php?t=3054

投稿者 秋元 : 09:00 | コメント (4) | トラックバック

2006年03月22日

SEO の目的は何? 目的と手段を混同しない

japan.internet.com 併載コラム

SEO の最終的な目標は、検索エンジンで上位表示させることではない。検索エンジンのユーザーを自社のページに引っ張ってきて結果(売り上げとか申し込み)につなげることだ。

必ずしも絶対的な順位が必要なわけではなく、ライバルに勝てれば目的は達成される場合も多い。

1位~3位が同じ言葉でも自社の商売と無関係なサイトや個人の日記で、4位が競合他社の Web サイトだったとしたら、4位に取って代わることは重要だが、1位になることはそれほど重要ではない。

たとえば、自転車を売るサイトを運営しているとして、「自転車」での検索結果が

1. 自転車旅行の Blog(個人のページ)
2. 自転車の修理の仕方(個人のページ)
3. 自転車レースの結果(大会運営者のページ)
4. 自転車のオンライン販売(自社のサイト)
5. 自転車のオンライン販売(競合他社のサイト)
6. 自転車のオンライン販売(競合他社のサイト)

のようになっていたとしたら、キーワード「自転車」についてはこれはこれで OK だろう。自転車を買おうとしている検索ユーザーは、買い物と無関係なサイトは無視してくれるからだ。

もちろん5位や6位の競合サイトに抜かれないように継続して注意する必要はあるが、無理に1位にするために不自然な手段、SEO 対策としてすぐに無効になりそうなグレーゾーンの手法などを使ったりはしないほうがいい。

1位になるにこしたことはないけれど、なんのために SEO 対策をかけてるのかを忘れて単純な順位に一喜一憂してもしかたがない。

(SEO とは無関係だが、この例の場合1~3位のサイトに広告を置けるならそれはそれで別の集客手段としての意味があるかもしれない)

--

もう一つよくある間違いは、業者の言うままのキーワードで対策させること。

「こんどの SEO 対策では『東京のおいしいレストラン』でいきましょう」などと、長い日本語のフレーズで提案を受けたとしたら注意したほうがいい。

Yahoo!や Google で、文章の一部を切り出したような検索をすると、まず検索結果の数が非常に少なくなるし、まったく同じ言い回しを持ったページが簡単に1位になったりする。

このような長文で検索結果の順位が良かったとしても、ちょっと文章を変えて、

-『東京でおいしいレストラン』
-『東京 レストラン おいしい』
-『東京でうまいレストラン』

などで検索されるともう駄目だ。簡単に圏外の順位に落ちてしまう。検索キーワードが長くなれば長くなるほど、そのキーワードでの検索件数が減り、ライバルも減るから、順位が上がるのは当たり前。

もちろん、「東京」で1ページ目とか、「レストラン」で1ページ目にしろ、というような注文はかなり無茶なものだが、あまりにも対象を絞りすぎる対策では効果も小さい。

こういう業者の提案には、思い切って重要なキーワードだけを取り出して、「『東京 レストラン』では対策できないの?」と訊いてみるとよい。

対策の結果を出すために目標を引き下げてしまっては意味がないのだ。

投稿者 秋元 : 09:13 | トラックバック

2006年03月07日

SEO(検索エンジン最適化)の本質を理解する

japan.internet.com 併載コラム

「社長、御社のホームページ、検索エンジンでもっと上位に表示させたくないですか?

検索エンジン最適化(SEO)とは、検索エンジンでWeb サイトを上位に表示させるような対策を取ることを言う。

検索結果の一ページ目、それも上位に表示されないと、検索経由で顧客がやってくるチャンスは低くなってしまうため、ネットで商品やサービスを販売している企業にとっては重要なキーワードだ。

書籍などを参考に自社で対策することもあるが、SEO 対策を専業で請け負う、いわゆる SEO 会社というのも多数存在する。Web サイト製作のついでに SEO もやります、という会社から、SEO 対策を専門的に行う会社までさまざまだ。

Yahoo!や Google などの検索エンジンでは、機械的に言葉(キーワード)とページの関連度を集計処理して、入力されたキーワードに対する関連度の高いものを順に表示する。
その集計処理の詳細なルールは公開されていない。これは次のような理由からだ。

1. より役に立つ結果を出して他の検索エンジンと差別化するため
2. SEO 業者による実勢に沿わない順位操作を防ぐため

SEO 業者にとっても条件は同じで、Yahoo!や Google から「順位はこうやってきまるから、こうすれば上がるよ」と教わっているわけでは、もちろんない。毎日毎日 Web サイトをどう変更したらどう順位が変わるかを実験し、その実験結果から検索エンジン側の動作の仕組みを推測しているだけだ。

検索エンジンを提供している Yahoo!や Google の社員でもないかぎり、本当はどんな基準で順位が決まっているか、など知るはずもないということになる。

--

SEO の解説本を複数読んでみたことがあれば、ある本がある手法を「使うべき」と言っているのに、他の本では「使うべきではない」と書かれていて混乱したこともあるのではないか。

SEO をさらにわかりにくくしているのは、去年通用した手法が今年は通用しないかもしれない、というところだ。

1. ひとたびある方法が順位に「効く」とわかると、個人や業者がわれもわれもとその方法を適用する。

2. そうすると、その効く方法を採用したサイトが、コンテンツがそれほど優れていなくても、採用してないサイトより上位に上がっていく。

3. 検索エンジン各社は、コンテンツの関連度を正しく反映した順位がでるように、1.の「効く」対策が無効になるようにプログラムを調整する。

4. 結果、「効く」対策が効かなくなったり、目につく場合は逆にペナルティとして順位が下げられたりする。

検索エンジン各社は、特殊な対策が効かないように知恵を尽くし、SEO 業者はまた次の特殊な対策を発見しようと工夫を凝らす。この(ある意味不毛な)繰り返しとなる。

そのため、少し前の指南本などにある SEO 対策を適用したり、少し前の知識で止まっている SEO 業者に頼んだりすると、検索順位が上がるどころか下がってしまうわけだ。

古いノウハウが変化して役に立たなくなっていくことが、SEO の本質といえる。

--

最良の結果を得るためには常に最新の情報に追従して研究しなければならない、という点で、SEO を専門の業者に頼むことには一理ある。

しかし、何を発注するときでもそうだが、発注した成果を評価する能力は、発注者側が持たなければならない。SEO 対策をお金を払って頼んだとしたら、その対策が効いたかどうかは自社で判断できなければだめだろう。(ものすごく予算があれば、効果を測定するコンサルタントを別に雇うこともできるだろうが)

--

次のような話を実際に聞いたことがある。

SEO 業者に対策を依頼し、期間終了後の成果報告書で「御社の Web サイトを Yahoo!で8位から3位にしました」と誇らしく書いてあるが、その業者に頼む前に本当に8位だったのか証拠が残っておらず、改善が成ったのかどうかわからない、というものだ。

検索順位を改善するのが SEO 対策なのだから、対策の効果が出ているかどうかは、当然、順位でもってはからなければならない。

検索エンジンは便利なので、何でも調べられるように思いこみがちだが、検索エンジンの結果は常に「現在の Web」に関しての結果で、過去のある時点での順位を調べることはできない。また、それを保存しておいてくれるような第三者のサービスも今のところ見当たらない。

SEO 業者のパフォーマンスをチェックするには、仕事を頼む前に、依頼するキーワードのすべてで、対策対象の検索エンジンでの順位を調べ、保存しておく必要があるということだ。

投稿者 秋元 : 10:00 | トラックバック

2006年02月21日

あなたのサイト、検索エンジンには見えていないかもしれない

japan.internet.com 併載コラム

人間が目で見たときと、検索エンジンが調べに来たときではサイトの見えかたが違うことはご存知だろうか。

現在のソフトウェア技術では、画像から意味を読み取ることは簡単ではない。よって、画像に埋め込まれた文章や、Flash など動く画像からジャンプするページのリンクは理解できない。Javascript などを使った「動くメニュー」などの要素も、検索エンジン的にはリンクとしてつながっていないことがほとんどだ。

-----

まず、実際に検索エンジンから見えるあなたのサイトの実態はどんなものなのか。HTML のソースを見たり特別なツールを使わずに、簡単に確認する手順をご紹介しよう。

1. 検索エンジン Google で、調べたいページの URL を http:// から入力する。存在する URL で Google が認識しているものであれば(*1)、「Google のキャッシュ」というリンクが現れるはずだ。

2. この「Google のキャッシュ」をクリックし、

3. さらに、ページ上部の「テキストのみのキャッシュページを参照する場合はここをクリック」の「ここ」をクリックされたい。

ここで表示されるテキストのみのページが、検索エンジンに認識されたあなたのページになる。(*2)

このテキストページと、画像や Flash などを含んだブラウザ上で見えるページ(あなたが普段イメージしているページ)、どれぐらい違っているだろうか?

ブラウザで人間がたどることはできるのに、検索エンジンには見えてない、たどれない要素がたくさんあるかもしれない。

検索エンジンにとって、たどれないリンクは認識もされないので、トップページとリンク先のサブページに関連が無いことにされたり、ひどいときはリンク先のサブページが検索エンジンに登録されなかったりすることもあるのだ。

-----

Alexa による日本の人気トップ100位サイトの中にも、検索エンジンに見つけてもらえないメニューを使っているところはある。

たとえば動画サービスの Gyao だ。前述の手順で Gyao のトップページを確認するとこうなる

普通にブラウザで見た際には目だって見える、中央の「ニュース」「映画」「音楽」などのメニューが、検索エンジンには見えていないのがおわかりだろうか。

また、旅行検索の じゃらん net では、都道府県などを掘り下げていく際にフラッシュのメニューを使っているため、テキスト版ではこうなる

検索エンジン的には、このトップページから各都道府県のページには直接行くことができない。検索エンジンで都道府県ごとのページももっと目立ってほしいのであれば、改善の余地はある。

同じく、Sony のサイトもフラッシュのメニューである。検索エンジンに見えているページでは、事業ごとのページに直接飛ぶことができない。

企業のトップページが最も外部から紹介されているページ(=検索で上位に出やすいページ)だとすれば、その「直接の子ページ」と「何度かリンクをたどっていった孫ページ、曾孫ページ」では、リンク先のページが重要かどうかという検索エンジンの判断も違ってくるので、注意が必要だ。

-----

Flash や Javascript を多用したデザインを行った場合、検索エンジンをちゃんと意識できているかどうかは重要だ。検索エンジン対策の本のなかには、検索エンジンのために特別なページを作りましょう、と勧めるものもある。

ただし、Flash や Javascript が無効なときだけ違うページを返すというやり方はグレーゾーンにある。最近でも、独 BMW の Web サイトが検索エンジンにだけ別のページを見せていたことで一時的に Google からペナルティを受けたのは記憶に新しい。

Flash についてはよい方法を知らないが、Javascript に関しては、Javascript が無効であっても(=検索エンジンから見ても)普通の HTML リンクとして十分機能させるようなデザインも可能だ。

……ということで実例をいろいろ探し回ったのだが、企業サイトでここまでできているものを見つけることができなかった。日本の大手サイトのほとんどは、ちょっと複雑なことはすべて Flash に逃げているようだ。

海外のサイトになるが、たとえば A List Apart の Blog では、Javascript による動きのあるメニューであるにも関わらず、HTML のリンクとしてもわかりやすく見えている例を紹介している。

元のページと、同じページの検索エンジンからの見えかたを比べてみてほしい。ちゃんと他のページに行ける、という点で、人間向けと検索エンジン向けの見え方を近づけることは、やればできることなのだ。

このような作りであれば、人間向けにデザイン重視で、かつ検索エンジン向けにリンクもはっきりした Web サイトにできる。

「ご希望の動くメニューを作るには Flash じゃないとできませんね」などと軽々しく口にする制作会社には、できないのか、知らないだけなのかをちゃんと確認する必要があるだろう。(*3)


*1 Google にキャッシュを溜めさせない、という通知をしていれば別。
*2 最も良く使われているであろうテキスト検索について。画像検索などはまた別。
*3 単純な動くメニュー以外の効果に Flash を使っている場合は、もちろん Flash でなければできないこともあるだろう。

追記: ここでは japan.internet.com 向けに「ツールをインストールしない」「簡単に確認できる」やり方を書いている。こちらのブログの読者層はもっと便利なツールや効率の良い方法を使っているだろう。

投稿者 秋元 : 10:00 | コメント (3) | トラックバック

2006年02月07日

ただ削除するだけでいいのか? 古いページの「ロングテール」効果

japan.internet.com 併載コラム

「ロングテール」という言葉がある。現実の店舗ではスペースの制約で置けなかったような需要の小さな商品もインターネット上のオンラインショップではいくらでも取り扱うことができ、少量売れるものが多数集まるとその売り上げは無視できないほど大きい、というような現象を指す。

これを踏まえて今回は、実世界の整理整頓と Web サイトの整理整頓は必ずしも同じではない、という話をしようと思う。

Web サイトを制作する際、現実の会社案内カタログや商店の比喩を使って考えることは多い。もちろん、接客という面においては Web サイトも実店舗も同じであるから、この比喩によって類推できる事柄は多く、意味の無いことではない。

しかし、Web サイトが機械(プログラム)による自動応答システムであることを忘れると、人間によるサービスと機械によるサービスの特性の違いを見落として、理にかなわないサイト制作・管理をしてしまうことがある。

「ロングテール」が可能になったのは、自動でお客様の相手をしてくれるWeb サイトにデータを多く置いてもコストがさほど増えないからだ。商品カタログや企業情報、旧製品に関連した紹介・仕様・サポート情報などでも、適切に制作されたページや画像であればページ一枚を置き続けるためのコストは無いに近い。ハードディスクの低価格化もあり、一般企業の Web サイトであればサーバーのディスクのほとんどは空いたまま使われていないということもよくあるだろう。

だが、実店舗のアナロジーを使うと、役目を終えた Web ページを「片付けよう」としてしまいがちだ。現実の店舗やショウルームなら、使い終わったスペースはさっさと片付け、次の商品やキャンペーンのために空けなければトータルのコストが増えてしまう。電車の中吊りでもビルの壁面広告でも撤去しなければコストはかかり続ける。

一方、一旦制作し Web に向けて公開したそれぞれのページは、存続する限りあなたの企業や商品を宣伝し続けてくれる。古いページにリンクしてくれた他サイト、Blog、ソーシャルブックマークなどはあなたの企業の Web サイトが「老舗」であり「重要」であることの証言者でもあるのだ。

検索エンジンはそれらのリンクを順位付けの指標に含むため、古いページを消してしまうことはせっかくネット上で受けた評判を捨ててしまうことに等しい。

役目を終えたページも何らかの検索キーワードに結びついており、たとえ年に数人であってもそこから訪問者はやってくる。その時に「ページが見つかりません」といったエラーページを見せてしまうのは、検索エンジン対策(SEO)の観点からもあまりにもったいない。

では、古い情報の URL にアクセスされた際、企業のトップページや無関係な他のページに転送してあげるのはどうか。これもページを単純に削除するよりはましだがベストではない。

なぜなら、その古い個別ページに貼られた URL は Web 全体からみたら、漠然としたあなたの企業の情報よりも、特定のキーワード(「製品Aの情報」「製品Bに関する他社Cとの共同リリース」など)と結びつく力をすでに持っているからだ。

たとえば、製造中止にする製品のカタログページがあるなら、単に削除したり企業トップページに転送するよりは後継製品や関連製品のカタログページへと案内するのがいい。

もちろん、そのまま残していてはまずいページもあるだろう。たとえば、期限のある懸賞キャンペーンのページであれば、誤解が起こらないように「このキャンペーンは終了しました」とページに大きく追記したり、申し込みフォームを削除して申し込めないようにすればいい。そういうキャンペーンを行ったという記録がきっかけで検索からあなたの企業や商品を見つける人もいるかもしれないのだ。

インターネットから特定のキーワードによって参照されているというパワーを、今やっている他のキャンペーンや、新製品のページへと転送(リンク)してあげる(*1)。これにより、過去に行ってきたすべてのインターネット上のマーケティング活動の残り火を、ロングテール的に今のサイトの集客に積み上げることができるだろう。


(注)今回のコラムで、単純に「サイト内のページの数さえ増やせば検索で有利になるのか」と誤解されると困るので補足しておくが、内容がほとんど同じページを量産しても、最近の検索エンジンは類似ページを認識できるようになっており、このような安易な手段は逆にペナルティ(検索順位低下)の元となる。

(*1)ちなみに、リンクの転送方式にも技術的な選択肢がある。よい制作業者ならどのような転送が最適かわかっているはずだ。

投稿者 秋元 : 09:00 | トラックバック

2006年01月24日

あなたのドメインは本当にあなたのものか?

japan.internet.com 併載コラム

ブラウザで Web にアクセスする際のアドレス(ドメイン名)は、World Wide Web におけるあなたの企業の住所である。

実際の土地に建っている建物なら、住所を決めたり管理したりするのは市町村だが、実体物が無い Web においては、ドメインを管理するレジストリ(*1)という団体があり、その元でドメインの登録や更新を処理する多数のレジストラという団体が、ドメインを誰にいつまで貸し出しているか、といったことを管理している。

「うちの会社の Web サイトを作ってくれませんか」と頼んだときに、頼まれた相手はあなたの会社のドメインを借りるところから作業してくれることだろう。ドメインと Web サーバーを結びつける作業も。

あなたからみれば、お金を出して発注したのだから、成果は当然自社のものだ、と思われるだろう。しかし、時々、Web サイトの制作を頼んだ相手が、あなたの会社のドメインの所有権を持ちっぱなしということがあるのだ。

これは、家を建ててもらって住み始めたはいいが登記簿は確認しないようなものだ。お金を出して自分の家を買ったつもりが、実は所有権は仲介者のはずの不動産屋のものになっていて、自分は借りているだけの立場になっていた、みたいなことが、ドメインの管理ではときに起こっているのだ。

何も問題が起こっていないとき、制作会社との仲がうまくいってるときは、だれがドメインの所有者であろうとあまり問題は無い。

しかし、業者を変えるなどで関係がこじれたり、業者の担当者が引継ぎをせずにいなくなったり、といったことで、そのドメインの管理や更新ができなくなってしまう、という危険性が存在するのだ。

レジストラの管理画面にログインできて、そのドメインの情報を更新できるのは誰なのか、ということは、はっきりさせておかなければならない。

レジストラに登録された、今ドメインを借りているドメインオーナーが自社になっていることは確認しなければならない。レジストラの管理画面にログインするためのユーザー名やパスワード等は、あくまで自社のもので、それを発注先の製作会社に一時的に使わせている、という形式にすること。

インターネット側から、ドメインの所有者・管理者情報を見るには、whois と呼ばれる検索サービスを使う。whois はオープンな規格で、いろいろなサイト検索できる(詳しくは"whois"で検索してほしい)が、たとえば".jp"ドメインであれば、

!JP WHOIS

などで、「検索キーワード」に"example.co.jp" などを入れて検索できる。".com/.net/.org/.info"などであれば、たとえば、

Whois.net

などで調べられる。

ここで出てくる Contact Information(公開連絡窓口)や Administrative Contact(管理者連絡先)といった情報が自社になっているか、なっていないとしたらそれは誰になっているか(*2)、を確認することができる。

ドメイン名の管理に限らず、外部のサービスにアカウント持つことで管理しているものはすべて、同様のリスクを孕んでいる。ASP 型のアクセス解析サービス、ブラウザ管理型のネット広告出稿サービスなどがそれで、いざという時には自社のスタッフがログインできること、それまで外注していた業者のログインを停止させられること、などを確認するべきだろう。

*1 .com や .net、日本向けの .jp などトップレベルドメイン(ドメインの一番右端にある大分類)ごとに担当しているレジストリが存在する

*2 発注先の社名でもなく、レジストリの情報が表示される場合もある。この場合は、発注先がドメインを所有しているわけではないかもしれない。レジストリに対して、ドメインの所有権が自社にあることを確認する問い合わせをすればよい。

投稿者 秋元 : 09:00 | トラックバック

2006年01月10日

あなたの企業、URL で損していませんか (3) ページ名の統一

japan.internet.com 併載コラム

前回前々回のコラムで、ネットに露出している URL で www の有無を揃えることの重要性を述べてきた。

今回は、ドメイン名以外の URL の不統一に関して説明する。

Web サイトを自分で作成されたことのある方は、index.html などの、サーバーに置いたファイル名がアクセスする際の URL の一部として現れることをご存知だろう。

企業の代表 URL が、こういった index.html などのファイル名を含むかどうか、というのも、前回説明した SEO や口コミサービスに影響してくる要因である。

例をあげてみよう。(*1)(*2)

Google で "http://panasonic.jp/" を検索(890件)

Google で "http://panasonic.jp/index.html" を検索(77件)

おそらく、http://panasonic.jp/ が Panasonic ブランドの代表 URL として設計されているのだろう。しかし、Web 上を探してみれば、http://panasonic.jp/index.html でリンクや言及をしているところが少なからず存在する。

そもそも、ほとんどの Web サーバーには、「ファイル名が指定されていなければ、○○というファイル名(もっとも一般的には index.html)を探す」という機能があり、この機能のおかげで、http://example.co.jp/ という URL でも実際の http://example.co.jp/index.html の内容が表示されるようになっている。

結果として、index.html のついた URL とついてない URL が二つ、内容はまったく同じものなのに Web 上で流通してしまうことがよく起こっている。

このようなことが起こるには、いくつかの異なる原因が考えられる。

(1)自社サイト内のリンク管理ができていない

自社サイト内のページからページへのリンクが、二つの方法でばらばらに張られている。たとえば、ファイル名を見せない URL を代表 URL にしておきながら、ページ内や子ページからは

<a href="/index.html">トップへ戻る</a>

とリンクを張ったりすると、不整合が発生する。トップページに訪れたユーザーは、

a) http://example.co.jp/

b) http://example.co.jp/sub/subpage.html

c) http://example.co.jp/index.html

とサイト内を移動し、a) ではなく c) の、index.html つきの URL にリンクしたり、ブックマークしたりするかもしれないからだ。

a)を開いているときに URL を取ったユーザーと、c)を開いているときに URL を取ったユーザーで、指している URL が別ものになってしまうということだ。

その結果、a)と c)の二つの URL で企業サイトの人気指標が分断されてしまうことがある。

これは Web サイトの製作時に製作者が気を配ることで防ぐことができるポイントだ。

(2)他社サイトや雑誌等に URL を載せてもらう際のリンク管理ができていない

企業の URL を社外に紹介するケースとして、以下のようなものがあるだろう。

  • 検索エンジンへの登録
  • プレスリリース
  • 雑誌等からの取材
  • メールの署名
  • 名刺上での表記

こういった場所で URL を外部に紹介する際に、


  • うっかり代表でない方の URL を紹介したり、

  • 会社として代表 URL をどちらかに統一せずにその場その場で適当に紹介したり


していると、URL の不統一は発生してしまう。

検索エンジンの Yahoo!と Google に登録申請する際に、一方は index.html 無し、一方は index.html 有り、などと申請すれば、これはもう最悪だ。ネット上での代表 URL が、まさに二分して伝播していくこととなる。

こちらは、マーケティングや IR の担当者が留意すべきポイントとなる。

(3)ユーザーが勝手に探してリンクやブックマークをする

実際には一方しかリンクが張られないように注意していても、URL を直打ちして望まないほうの URL でリンクされてしまうことも、少数だが無いわけではない。

このケースまでケアすることができれば完璧だが、実際には(1),(2) ができていれば問題になるほどのことはないだろう。

どうしても完璧にしたければ、二つの URL が並存することが無いように設定をすることになる。

’/’ のほうに手入力で直接アクセスしても、 ’/index.html’ のほうに転送してしまう、といったように。たとえば、JACCS のサイトでは index.html を外してアクセスしても、必ず index.html つきの URL になるようだ。逆に、’/index.html’ をつけてアクセスしても、’/’ に転送するという手もある。

以上のように、URL 一つ伝えるにしても、気をつけるべき点を知らないと思わぬところで損や取りこぼしをすることがある。

逆に言えば、自社のページから協業他社等へリンクを張る場合にも、相手側がそういった点まで気を配っている会社だとすれば、その気配りを無駄にするような勝手な改変が失礼に当たることもあるだろう。

相手が指定してきた URL に、勝手に index.html をつけたり消したりして使ってしまうことで、相手の URL が最大の効果でネットに広まるのを妨害しているかもしれない。

実社会でたとえてみれば、「株式会社」が前につくか後ろにつくかを確かめずに共同プレスリリースに書いてしまう、といった程度の間違いと言えるかもしれない。致命的な間違いということは無いが、やらずに済めば越したことはないとも言えるだろう。

注1: 記事中の検索結果数やブックマーク数は、2005/12/12 時点のもの

注2: Google では、被リンクを調べる link: ではこの両者を区別しないように工夫されているので、単なるテキストとしての出現を比べた。Google に関しては今記事で示したような index.html の有無によるぶれが問題にならないような処理がされている可能性はある。

投稿者 秋元 : 11:03 | コメント (5) | トラックバック

2005年12月20日

あなたの企業、URL で損していませんか (2) www を揃える理由

japan.internet.com 併載コラム

前回のコラムでは、“www.”のつく URL、つかない URL の実例を挙げて、“www.”があってもなくても Web サイトに辿り着けるようにすることの重要性を書いた。

今回は、“www.”の有無に関わらず企業サイトにアクセスできるようにする方法の比較と、その効用について説明しよう。

前回あげた4つのタイプの企業 URL から、“www.”があってもなくてもアクセスできる大手サイトの例として、(3)、(4)を再掲する。

(3)どちらでも接続できる Web サイト

Yahoo! Japan http://www.yahoo.co.jp/ http://yahoo.co.jp/
ライブドア http://www.livedoor.com/ http://livedoor.com/

(4)どちらでも接続でき、どちらか一方に転送される Web サイト

楽天 http://www.rakuten.co.jp/
Mixi http://mixi.jp/

ブラウザから入力して、その企業サイト/サービスに行くことができる、という意味では、(3)と(4)にはまったく違いがない。しかし、(3)のタイプの設定をしている URL では、潜在的な顧客を取りこぼしている可能性があるのだ。

SEO(検索エンジン最適化)に関する逸失利益
検索エンジンで上位に表示されるための要素の一つに、被リンクの数や質がある。非常に簡略化して言うと、人気投票的に「たくさんの人(他のサイト)からリンクが張られているサイトは良いサイト」というものだ。

この場合に、上記の(3)のケースが思わぬ差を産む。あるサイトからは http://www.example.co.jp/(www.つき)に、他のサイトからは http://example.co.jp/(www.なし)にリンクされていたとすると、検索エンジンによってはこの二つを別々に集計してしまうことがあるのだ。

あるドメインへリンクしているページを検索する方法があるので、この二つの差を見てみよう。

Google で調べた www.yahoo.co.jp へのリンク 59万3,000件

Google で調べた yahoo.co.jp へのリンク 1,770件

この通り、見つかったページ数から、Google の場合は“www.”ありとなしが別々にカウントされていることがわかる。検索エンジンによっては、このように“www.”つきとなしの二つを別のサイトとして認識してしまうことがある。

この例では“www.”なしの件数は非常に小さいが、この数が伯仲しているようなケースがあれば、せっかく張られた100のリンクの SEO 効果が、たとえば60程度に落ちてしまっている、つまり、検索結果の順位を損している可能性が高い。

ネット上のクチコミサービスに関する逸失利益
はてなブックマーク という共有ブックマークサービス(ソーシャルブックマークサービス)がある。ここでは、ブラウザのお気に入りとは違い、より多くの人が登録したサイトが「人気サイト」や「注目サイト」として目立つような仕組みがあり、その結果を参考に、ある企業サイトの評判や企業の知名度を判断する人もいる。

このはてなブックマークで、http://www.yahoo.co.jp/ をブックマークしている人 は288人なのに対して、http://yahoo.co.jp/ をブックマークしている人 は20人である。

http://www.rakuten.co.jp/ をブックマークしている人 は55人なのに対して、http://rakuten.co.jp/ をブックマークしている人 はいない。

つまり、タイプ(4)の URL を持つ楽天は、注目してくれた55人全員を一つのブックマークに集めることができているのに対して、タイプ(3)の Yahoo!Japan のほうは、本当は308人が注目しているのに、20人分の注目度が別にそれてしまっているということだ。

この二つでは、ブックマークしている人の数自体に差があるが、もし興味を持っている人の数が同じ、たとえば100名だったとして、100個のブックマーク一つがついている企業サイトと、30個のブックマークがついている(あと70個は URL の違いで存在に気づかない)企業サイト、ユーザはどちらが人気のある企業だと判断するだろうか?

結論として、「“www.”があってもなくてもユーザーが辿り着けるようにする」、という前回の工夫に加えて、「“www.”があってもなくても結果的に同じ URL となるように誘導する」ことが、よりよい Web サイト集客のために重要である。

「同じ内容を返す URL は常に一つ」という概念のことを“Permalink”といい、今回例にあげた SEO や共有ブックマークに限らず、Web における重要な概念の一つとなっている。“Permalink”関連で注意すべき他の事例については次回に説明させていただく。


注:記事中の検索結果数やブックマーク数は、2005/11/30時点のもの

投稿者 秋元 : 10:15 | コメント (2) | トラックバック

2005年12月06日

あなたの企業、URL で損していませんか(1)www を再チェックしてみる

japan.internet.com 併載コラム

“http://”ではじまる URL = Web サイトのアドレス、が一般にも理解されるようになってしばらく経つ。ネット上で商売/広報を行う企業にとっては、URL こそが企業やサービスの存在を指し示すネット上の住所といえる。

実世界で会社の本社所在地が二種類あったり、二つの事務所が本社を名乗ったりしたらどのような混乱が起こるだろうか? 会社の Web サイトのトップはここですよ、という会社の代表 URL だが、意外にもこの URL がおろそかにされているケースが多い。

あなたが、ある潜在的な取引先から口頭で URL を聞いたとしよう。「株式会社イグザンプルで、後ろは co ドット jp です」

帰社してから言われたことを思い出し、ブラウザに URL を入力する。

http://example.co.jp/

しかし、なぜか企業サイトには接続できず、エラーとなってしまった。

ここで少しネットに詳しい人なら、先頭に“www.”をつけて

http://www.example.co.jp/

で無事企業サイトを閲覧できるかもしれない。しかし、万人にそれを求めるのは難しいだろう。会社の綴りを間違えて聞いたか、などと思いあきらめてしまうかもしれない。

歴史的に、ドメイン名の前に“www”がある場合とない場合のどちらでも同じようにつながるようにしよう、という設定をしている組織は多い。が、それは必ずしもルール化されているわけではないため、どちらか一方でしかつながらないサイトも多い。

実際の企業で調べてみよう。

(1) “www”が無いと接続できない Web サイト

朝日新聞http://www.asahi.com/
トヨタhttp://www.toyota.co.jp/
ソフトバンクhttp://www.softbank.co.jp/

(2) “www”があると接続できない Web サイト

del.icio.ushttp://del.icio.us/

(3) どちらでも接続できる Web サイト



Yahoo!Japanhttp://www.yahoo.co.jp/, http://yahoo.co.jp/
ライブドアhttp://www.livedoor.com/, http://livedoor.com/

(4) どちらでも接続でき、どちらか一方に転送される Web サイト

楽天http://www.rakuten.co.jp/
Mixihttp://mixi.jp/

(5) まったく別々の内容が出てくる Web サイト

大手サイトではこのケースは見つからず。“www.”をつけたときとつけないときで出てくるコンテンツが異なるという設定だが、混乱の元なのでこういった設定はおすすめしない。


(1)や(2)のタイプの設定がされている Web サイトでは、“www”があるか無いかを、訪問者が正確に覚えたり、打ち込んだりすることを要求していることになる。この時点で、どちらでも接続できる(3)や(4)のタイプの設定をしている企業サイトに比べて、訪問者を取りこぼしている可能性があることになる。

今現在(1)や(2)で運営している有名企業サイトは、いまさらネット経由のユーザーを取りこぼすことに対してはあまり気にしていないのかもしれない。すでに有名な企業であれば、Web サイトがあることは疑いがないし、検索エンジン経由で辿り着いてもらえるだろう。しかし、あなたの会社がそれほど有名でないとしたら、こういった URL について改善することで何も損はしないはずだ。

(3)と(4)の違いによって企業サイトの集客にどのような差がつく可能性があるか、については次回述べることにしたい。

投稿者 秋元 : 11:04 | コメント (3) | トラックバック

japan.internet.com でコラムを書くことになった

japan.internet.com でコラムを書くことになった。カテゴリは Web テクノロジー。頻度は、数週間に一本の予定。

コラムは、Web サイトの製作を発注する側の立場で、どのようなチェックによって製作側のスキルを確かめることができるか、というテーマで書いていく予定。このブログで想定している読者の方とは少し異なるジャンルになる。

このブログでは、技術的に最新の情報を(ときどき誤報など失敗もあるが)お伝えしようとしているが、あちらのコラムのほうは、ある程度知っている人には自明のことも含まれるだろう。コラム内容は当ブログでも併載していくが、内容のばらつきについてはご容赦いただきたい。

また、僕自身が間違って理解していたり、突っ込みが足りなかったりということもあるはず。みなさんからの情報を頼りに、なんとか続けていければと思う。

japan.internet.com 上での初回コラムはこちら当ブログ上での第一回は次のエントリにて。

投稿者 秋元 : 10:48 | トラックバック