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ネットの事件

「マラソン探偵」、有名フードブロガーのマラソン近道をすっぱ抜く

「ハーバード大で学び」「米ハフィントンポストにも寄稿し」「3万人以上のインスタグラムのフォロワーを持つ」24歳の有名フードブロガーが、ハーフマラソン大会で2位の好成績を収めたものの、ネットからの指摘によってコースのショートカットをしていたことが暴かれ赤っ恥をかく、という事件が起こりました。

問題のブロガー、ジェーン・セオ氏は、先週末19日に開催されたフォート・ローダデール・ハーフマラソン大会において、女性2位でゴールしました。

後半のタイムのあまりの加速っぷりに、ゴール直後に運営とも話し合いをしたそうですが、それも切り抜けて2位として表彰台に。当然ながら彼女はその写真もインスタグラムで多数のフォロワーに公開しました。

しかし、ネットでマラソンcheater(不正者)を見つけるのを趣味としているビジネスアナリストのデレク・マーフィー氏(Derek Murphy)は、この怪しげな記録を見逃しませんでした。

セオ氏の当日の記録は、最初の10kmのペースが 7:09分/マイル、残りの11.08km のペースが 5:25分/マイル、と、後半の方がずっと速くなっています。

セオ氏はレース後に移動スポーツの記録を共有するサービス Stravaにタイムを投稿しますが、その投稿はGPSによる走行記録がついてない手動投稿だというコメントがつきました。

しかし、午後遅くにはGPSデータがアップロード、公開されます。


(Strava screenshot via Marathon Investigation)

このGPSデータ上は、彼女の午前中のマラソンのコースに沿っており、またその各ポイントの記録(後半が加速した記録)にも合うものでした。ですが、マーフィー氏は、データに添えられた走行のケイデンスが、マラソンランナーのそれよりも自転車でのそれに見えると、セオ氏の過去のマラソンでのデータと比較しながら指摘します。

さらにセオ氏のゴール後の写真(調査のために、マラソン公式サイトから写真を購入してます)を拡大したマーフィー氏は、セオ氏が腕につけている Garmin の記録デバイスの表示から、彼女の走行距離が 11.65マイル(18.7km)と、ハーフマラソンの距離から1マイル以上足りないことも見つけます。

これらの一連の疑惑を指摘した記事を公開してほどなく、セオ氏のインスタグラムには不正をしたことの告白と謝罪が掲載されることとなりました。マーフィー氏の推測通り、レースの後にGPSをつけて自転車でコースを回ることで、不正の隠ぺいを図った、ともありました。

「気分が優れなくてついコースを省略してしまった」と謝罪の中で述べているセオ氏に対し、マーフィー氏は「気分が優れない人が、ハーフマラソンを走った午後に自転車で同じ距離を走り回れるものだろうか」「ゴール時の写真や表彰式での写真を見ても、調子が良くないとはとても見えない」と手厳しいです。

セオ氏のハフィントンポストへの寄稿は2015年で止まっており最近は寄稿してなかったようですが、皮肉なことにその最後の記事は「とあるレースでマラソン大好きになった私」”How I Learned to Love Running, One Race at a Time”というマラソンに関する記事

というわけで、とあるマラソン大会での個人の不正が一つ、正されたわけですが、それにしても興味深いのはこのマーフィー氏のサイトです。このサイトは、マラソン大会での不正を見つけて公開するという唯一の目的のために運営されているようです。

マラソン探偵の正体

マラソン探偵としてのマーフィー氏を紹介するNBCの記事がありました。先月のものです。

マーフィー氏がNBCに語ったところでは、ショートカット以外にも、ビブスをたすきのように次々と元気な人に回して好タイムを叩き出したり、追跡用のタグだけを足の速い夫に渡して同時にゴールしたように見せたり、市民マラソン大会ではいろいろな不正の手段がまかり通っているということです。

氏は趣味としてこのマラソン探偵をやっているようですが、サイトでは活動を支えるための小口の寄付を募っています。この寄付を使って、怪しいとにらんだランナーの写真を買うなどされている模様。

氏は昨年末のホノルルマラソンでも、通過記録が欠落していて、不自然な高速ペースで走り、好成績を収めている13人のランナーを抽出しています。

GPSや心拍系など多数のデータが公開共有されるようになってきたので、昔よりも不正をするのは難しいのでは、とも思いますが、それもデータにおかしな点がないかチェックする仕組みがあってのことですね。

個々の参加者を疑ってチェックするのはスポーツマンシップとはかけ離れた考え方かもしれませんが、ネットで称賛されたい、褒められたい、という動機で不正を考える「スポーツマン」もまた、増えていたりするのかもしれません。マラソン探偵の活躍する機会はまだまだ増えそうです。

via Miami New Times

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fun

濃霧の中、GPSの指示通りに車で五大湖に突っ込んだカナダ人

霧の深い夜に、有視界運転を諦めてGPS「だけを」頼りに進もうとした23歳の女性が、車ごと湖(五大湖の一つヒューロン湖)に突っ込むという事件があったそうです。

national-post-canadian-woman-plunges-into-lake-by-gps

オンタリオのトバモーリにあるリトルタブ港、ということで、上の写真からしてもこのへんですかね。

湖に落ちてることに気づいたドライバーは、窓を開け、財布も持って4℃の水中から無事に脱出したそうです。その後、沈んだ車も引き上げられたとのこと。不幸中の幸いってこういうのですね。

自動運転車でも、精度がそこまで頼りにならないGPSの情報だけで走行したりはしないと思います。機械を過信しすぎるのも問題かなと。

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ガジェット

陳腐な写真は撮れないカメラ Camera Restricta

ドイツのSchwäbisch Gmündデザイン大学でインタラクションデザインを学ぶフィリップ・シュミット(Philipp Schmitt)さんが製作したカメラ Camera Restricta は、名前が示すように「制限(restrict)」するカメラです。

GPS内蔵のこのカメラ、今いる地点でのネット上の写真の多さを FlickrPanoramio検索し、

(credit: philippschmitt.com)
(credit: philippschmitt.com)

その場所で撮られた写真が多数公開されていると、シャッターボタンが隠れて押せなくなります。

(credit: philippschmitt.com)
(credit: philippschmitt.com)

ファインダーから見た景色もバッテンつき。カメラを持って移動すると、その地点(約35m四方)で既に撮影された写真の数に応じて、ノイズ音が発生もします。

ニセ札を作ろうとしてコピー機に掛けるとコピーが失敗するように、撮影してはいけない所を撮影できない能力をカメラに持たせるのもありなのではないか、とシュミットさんは書いています。

3Dプリンタで作られたこの Cemra Resticta 、カメラの中身とソフトウェアはごらんの通りの iPhone です。

(credit: philippschmitt.com)
(credit: philippschmitt.com)

デザイナーや写真家としては、「既にたくさんあるような景色を撮ってどうする」という意識はあるかもしれませんね。このカメラの音に従っていけば、これまで撮られていない場所の写真を撮る機会は増えるかもしれません。

この試作品では単純なGPSでの位置情報だけですが、ネットの画像検索なども組み合わせれば、同じ構図の写真の多さ、なども調べるように改良していくこともできるでしょう。

ネット上の写真数を使うということだと、どちらかといえば、一般の観光客向けに、既存の写真の数の多さをガイドとして、「みなさんこのあたりで写真を撮られてますよ」とか、「ここからこちらの方角に向けて撮られた写真が一番『イイネ』されてますね」とか、撮るのをアドバイスする方向で頑張るのも面白いのではないか、と思いますが。