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2006年03月15日

Amazon S3 ストレージサービス

じつはあんまり目を惹かれなかったので流していた件、POLAR BEAR BLOG のアキヒトさんから

サイボウズ秋元さんのブログあたりで詳しい解説が出ることを期待しつつ、

とすごいバトン(笑)を受け取ったのでなんか書いてみる。(「後で書かせる」メソッド? ありがとうございます)

詳しい解説じゃないが。Amazon の新しいウェブサービス Amazon S3 について。

Amazon は、Alexa Web Search Platform の衝撃 - 誰もが検索サービスに参入できるでご紹介したように、2005年末に検索エンジン環境を有料にて公開提供している。

また、Alexa Web Information Service も、当初ベータの無料公開だったものが、今は有料になっている。このあたりも、最小回数は無料でその上は課金とか、1000クエリーで $0.25 といったような料金体系だ。

Amazon 側のサーバ(巨大なクラスタ)にあるファンクションを呼び出せるのだから、データを呼び出すウェブサービスを作ることも難しくはないはず。公開することにビジネス的な価値があるかどうかは今議論が始まったところだが、公開するデメリット、公開することで大きな失敗をする、といったことはないように思う。

これらのウェブサービスを利用するには、クレジットカードで申し込んでアカウントキーなどをサイト上から入手する。

Amazon はもともとクレジットカードの扱いには長けているし、アフィリエイトサービスでユーザごとの毎日のデータ集計や、集計に応じた課金のところも実績がある。つまり、もともと得意なインフラを使って、外部の開発者向けに内部にあった機能を順次公開しているとみることができる。

--

サービス公開によるウェブへの影響だが、

  • 大きなサイズのファイルを扱うサービス
  • データの信頼性を必要とするサービス

を、より簡単にはじめられるようになるだろう。データを冗長化したり、バックアップから復旧させたり、停電などに対処したり、サービスの可用性を高めようと思ったら様々なコストがかかるが、小さくはじめるときにそれらをすべてケアするのはなかなかたいへんだ。

また、

  • スケーラビリティを Amazon 側が保証してくれる

のもとても重要。小さなベンチャー企業がプロジェクトを始めるときに、「このサービスが大ヒットしてアクセス集中したらどうしよう」というような不安からも解放されそうだ。

Web2.0 的なネットサービスでも、アイデアの良さからあっというまに話題になり、ユーザやアクセスが増えすぎて止まってしまったり、当初の快適なレスポンスが失われたりしたものは多い。

フロントエンドのウェブアプリケーションは、2,3人(や、場合によっては1人でも)で気軽に作れるようになったが、多くのユーザを集めた時点で Google/Yahoo/Amazon/eBay/AOL/Microsoft などの大企業に会社ごと売り払ってしまう例が多いのは、a. 「人を集められても儲ける方法が無い」という点以外にも、b. 「スケールするシステムを作るのは、クールなウェブアプリを作るのとは異なるスキルが必要」ということも大きいのではと思うからだ。

データの保持について、スケールする環境を小口から買えるようになったことで、これまで以上に多彩なネットのサービスが、小さなベンチャー群から登場してくるのではと思う。

もしこれがうまくまわるようであれば、Google, Yahoo, Microsoft などが同様のサービスを出してくるだろう。またそうあってほしい。Web Service という形態であれば、バックエンド側のサービスの乗り換えも不可能ではないし、そうなればコスト競争も発生するだろうし。

また、データのハンドリングに問題がなくても、その他の原因(上記の a. の要因とか)で成功したサービスを売ることになったとして、どうせ下のレイヤが Amazon だったら他じゃなくて Amazon に売ろうか、ということにもなるかもしれない。それも Amazon 側のメリットではないか。

投稿者 秋元 : 2006年03月15日 12:48

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このリストは、次のエントリーを参照しています: Amazon S3 ストレージサービス:

» Amazonのストレージサービス from Flashマインドマップ開発ブログ
米Amazon、容量無制限・高速スケーラブルなストレージのWebサービス http://internet.watch.impress.co.jp/cda/... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年03月22日 18:46

コメント

ものすごいバトンの渡し方ですみませんでした。この辺りの解説を、秋元さんにお聞きしたかったので。

>Amazon はもともとクレジットカードの扱いには長けているし、アフィリエイトサービスでユーザごとの毎日のデータ集計や、集計に応じた課金のところも実績がある。つまり、もともと得意なインフラを使って、外部の開発者向けに内部にあった機能を順次公開しているとみることができる。

この部分がなるほどです。そういえば今朝の新聞にGoogleが電子書籍販売に乗り出す、みたいな記事もありましたが、Amazon/Googleの領域が大きく被り始めた感じですね。

投稿者 アキヒト : 2006年03月15日 13:16

いえいえ、アキヒトさんにそう言っていただけることが光栄です。

それにしても、Amazon/A9 の技術やサービスは面白いですね。Google と被りつつも、なんともいえない Amazon のカラーがあります。(ということもちゃんと言語化すべきかもしれませんが)

投稿者 秋元 : 2006年03月15日 14:47

はじめまして。

WebServiceに注目していますが、Amazonやってくれましたね。
英語が苦手なんで日本語記事しかまだ読んでいないのですが、こんなことを期待しています。

1.データベースのテーブル構成を定義(ユーザ)
2.WebServiceとして実行可能なユーザ関数を定義(ユーザ)
3.1と2をAmazonに提出し、実行可能な状態にしていただく。

これができればすぐに試してみたいです。
また、お客様にサイト作成の提案する場合にも、
「DB部分はAmazonがメンテナンスしてくれます」
と言えますので、提案しやすくなるかもしれません。

サイボウズ様がやってくださるのもよいですね!
日本語でサポートしてくださるところがあれば、利用させていただきたいと思っています。

投稿者 uta : 2006年03月20日 02:20

なるほど。サイボウズの本社にはウェブデータベースのデヂエがありますから、デヂエに対する操作を Web Service 経由で行えればいいわけですね。

今はデヂエは単体のパッケージ製品ですが、サービスとして展開するとすれば Web Service によるアクセスをつけるというアイデアは面白そうです。

投稿者 秋元 : 2006年03月20日 15:29

 
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